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君の瞳にはお見通し

全体公開 トワスト 2 2 2264文字
2025-08-10 16:42:50

第45回トワスト(遅刻参加)テーマ「ダウト」参加作品です。ランフォード達とゲームのお話です。

 さあ、自分の番だ。何度確認しても、正しい札は無い。……今はこれを出して凌ぐしかない。大丈夫、きっと大丈夫。素知らぬ顔をして出せば、何も言われないはず――

「七」

 どきどきする胸をおさえながら、ランフォードは数字をコールして場に一枚のカードを出した。さあ、このまま次に順番が回ればそれで……

「ダウトだ、ラン」

 そこに低いよく響く声が、容赦なくかけられた。――ジェフだ。ランフォードはじと目になりながら、ジェフを見つめる。ジェフはというと、いつも通り涼しい顔をしていた。

「ほら、ラン。札を返せ」

 ――万事休すだ。ランフォードは札を表にする。自分ではよくわかっている、ジェフを騙し通せなかったその札――数字の七では無いカードを。

……ねえ、ジェフ。もう少し手加減というものをだね」

「そうよ! おじさん、性格悪すぎ!」

「ほう? そういうことをされて、お前はゲームが楽しいタイプだったか? あとソレイユ、俺様はこんなところで手心は加えないぜ」

 積まれていた札を全て手札に加えなながら、ランフォードは小さくため息をつく。ジェフを相手にするダウトは、これで今日だけで十連敗であった――




 ランフォードはたびたび、ゲームをする。それはテレビゲームのこともあるし、ボードゲームのこともあるし、はたまた今日のようにカードゲームのこともあった。

 相手はその日による。家族であるサティナやソレイユ、友であるジェフ、あとは忠実な部下であるヴァレールなんかも相手にする。

 ランフォードはゲームが好きであった。――ただ、好きこそものの上手なれ、とはいかなかっただけで。

 今日のゲーム相手は、娘のソレイユと、遊びに来ていたジェフであった。娘のソレイユは自分と似たようなタイプであったが、問題はジェフだ。

 ジェフは、ランフォードの苦手なタイプのゲーム――七並べやチェス、そして将棋に囲碁、そして今日やっているダウトのようなゲームに滅法強かったのである。現在通算何敗しているかは、正直考えたくない。

 ならばその手のゲームをしなければ良いのに、やりたくなるのがランフォードであった。

「ほら、手札がなくなったぜ。――また俺様の勝ちだな」

「えー、もう? おじさん、無茶苦茶よ! さては、全部正しい札が来てたんでしょ?」

 手に持った手札を振り回しながら、ソレイユがジェフに突っかかっている。ジェフはというと、にやりと不敵な笑みを浮かべていた。

「そんなことがあるわけ無いだろう。俺様に騙されるのが悪い」

 ――ランフォードも全くわからなかった。一体ジェフは何度嘘をついていたのだろう。ジェフはこういうゲームの中以外では、絶対に嘘はつかない。つまり、ランフォードもソレイユもまんまとジェフに騙されていたということになる。

「あーもう、またあたしたちの負けよ、パパ! もう一回やり直しよ、やり直し!」

「そうだね、ソレイユ。――ジェフ、次こそは負けないよ」

「ほう? 本日十一回目の勝負を挑むのか? ――上等だ」

 ジェフがその大きな手でカードを切っているのを見つめていたそのとき、背後に突然誰かが立った。一瞬身構えたが、よく知る気配にすぐに警戒を解く。

「ランフォード様」

 振り返ると、思った通りの者が立っていた。整えられた短い黒髪を真ん中でわけて、細いフレームの眼鏡をかけた黒瞳の魔族――ランフォードの部下、ヴァレールだ。

「おや、ヴァレール。何か変わったことがあったかね?」

「いえ。何も変わりないことを伝えに参りました」

 何だ、そうだったか。――席を外そうとしていたジェフに、その必要は無いことをランフォードは示した。

「こちらが報告書です。後でお目通しお願い致します」

「わかったよ。ありがとう、ヴァレール。――ところで、君はすぐに帰らなくてはいけないかね?」

「いえ、別にそういうことはございませんが……

 ランフォードは内心ほくそ笑んだ。そうだ、ヴァレールもゲームに参加させてしまおうと。実はヴァレールもゲームには強い。一度、ジェフと勝負してほしいと兼ねてから思っていたのだ。

「それなら私たちと一緒にゲームをしよう。ルールは私が教えてあげるからね」

「俺が、ですか? あの、しかし……

 ヴァレールは他部族の長であり、ランフォードの友でもあるジェフがいるので、遠慮しているようだ。頭を下げてヴァレールが固辞しようとしたところで、ジェフが口を挟んできた。

――俺様のことなら、気にするな。向こうでの地位は一切考えず、対等な勝負を願うぜ、ヴァレール」

……そういう、ことでしたら。――一勝負お願い致します、ジェフ様」

「前にランが、お前は強いと言っていたからな。楽しませてもらうぜ」

 ヴァレールが、ソレイユが示した場所に座り込んだ。いつも通り、きちんと背筋を伸ばして。

「あのね、ヴァレール。あたしたち、さっきからおじさんに負けっぱなしなの。ビシッと勝っちゃってね!」

「ソレイユ様のご期待に沿えるかは分かりませんが、俺のやれる限りのことはやってみましょう」

「私も期待しているよ、ヴァレール。もうジェフには何回負けたかわからないんだよ」

 ランフォードはヴァレールにダウトのルールを教えはじめる。――さあ、君の瞳はどこまで見通せるかな? 札を配りはじめるジェフを見やると、これから始まる勝負に思いを馳せるのであった。


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@Marumeroke
こ、これはまた!珍しい方がゲームに参加してますね!
ヴァレールさん、厳格な雰囲気がありつつもランさん思いの優しい秘書って感じがして好きなのですが、まさかゲームも強いとは…
それもジェフさんともいい勝負を期待できるほどの腕となると、勝負の行方が気になりました☺️それにしても、地位とか領土関係なくみんなでこんな風にゲームして遊んでるの、何かいいですね…
2025-08-10 18:18:53
@xxxyueyunxxx
≫Marumeroke とても珍しいキャラのゲーム参加でした~(´∀`*)
たまにしか出てこないヴァレールのことを覚えていてくださるだけで、本当に嬉しいです!
ランフォードとはまただいぶ違うタイプのヴァレールは、ゲームには強かったりします(ついでに本人もゲームが結構好きです)
ジェフとの勝負はどんな結果になったのでしょうね。私も気になります。
魔界じゃなくて人間界だからこその光景ですが、なんか良いですよね。
2025-08-10 22:24:16

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