全年齢です
@tirichann
「先に言っとくけど、ごめん」
五条は自らの家へ案内する時、決まり悪そうに頭を下げた。その時は、言葉の意味がわかっていなかった。
私の家は没落した名家であり、家の復興を第一に掲げていた。娘の私が五条家の当主と同級生であるとなれば、縁談が持ち掛けられるのは自然なことだった。五条は嫌がるのではないかと思っていたが、案外承諾した。自分も家のことを面倒だと思っていて、どうせ結婚するなら顔見知りがいいとかそんな理由だろう。
かくして婚約者になった私達が第一にすることは子づくりだった。高専生だとかは関係ない。呪術界において、女の学歴はどうでもいいのだ。
用意された部屋にて夜伽が始まった。だというのに、五条のお付きの者は私達のそばを離れない。まるでそうするのが仕事であると言うように、背筋を伸ばして正座をして私達を見下ろしている。
私は五条に目で合図をした。五条はだから嫌だったのだというように頭を掻くと、一度私の上からどいた。
「五条家の当主から生まれた証拠っつーことで、立ち合い人が必要なんだよ」
本物の名家となるとこういうこともあるらしい。不貞を犯した結果ではないことを証明するために、誰かが見届けるのだ。頭では理解できても体では受け入れられるはずもなく、私は五条を拒否した。五条は無理に致すことなく、私を解放した。「そのまま泊まってけよ」と言い、自室で寝たようだ。
それから私と五条の間で子づくりは行われていない。私の心の準備ができたら五条に言うべきなのだろうけれど、その覚悟がなかなかできなかった。見かねた五条が高専の寮で言い出す。
「じゃあ練習しようぜ。傑に見てもらいながらすればいいだろ」
夏油の名前が出たことに、私の心臓は大きな音を立てた。何と言ったって、結婚が決まる少し前私は夏油に告白されたばかりなのだ。夏油の顔が見られない。彼は今、何を思っているのだろう。
「それがいいよ。私も二人のためなら協力するよ」
本当に、私達のためだろうか。そこに夏油の私欲はないだろうか。五条は何も知らないまま、これで話が進んだとばかりに解放された表情をしている。私だけが重く苦しい感情の中にある。夏油は、どういう気持ちで私と五条のセックスを見るのだろう。