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【ォョ】海デート

全体公開 ォョ関連 21 2990文字
2025-08-27 17:56:35

なんかよくわからんけど現パロだと思う

Posted by @kurato0o




海に行きたい、そんな要望にまず思ったのは、「いやオマエ泳げないだろ」という現実味を帯びた指摘であった。
言い出しっぺのショウは瞬時にむくれて、ぶすっとしたままウォロを引っ張って水着と誰が使うんだ?というほど大きな浮き輪を買った(正しくは買わされた)。暑い。年々暑さが増している。そのおかげでいつも以上にショウに歯向かえなくなる。いや、別にショウの方が上にいると言いたいわけではなく、単純に色々面倒なのだ。
そんなこんなで暑さでだるいウォロを引き摺って、今、夏の海にいる。
――地獄だ。
見渡すばかりの人、人、人。うだる暑さ。だだっ広い海にはぽつぽつと人が浮かんでいて、綺麗とかそういう問題なのだろうかと思う。
「海だーーーっっっ!!」
ばんざいの姿勢で喜ぶショウを横目で見ながら、ウォロは生真面目にビーチパラソルを立てた。これはショウのためじゃない。自分のためである。焼けるのは別にいいが、日陰がないと間違いなく死ぬ。雪国生まれ雪国育ちに南国っぽいこの空気感は純粋に疲れる。
ビーチパラソルの下でぼんやり海を眺める。というより、波打ち際で足だけでばしゃばしゃ遊んでいるショウを見ている。流されかねない。ショウは泳げないのだ。へその辺りまで水に浸かっただけでパニックになるのに、何が楽しくて海になんか来たがるのだろう。女というものはよくわからない。
「ウォロさんもおいでよー!」
元気な声で手を振るショウに、ぴらぴらと手を横に雑に振り返した。
――絶ッ対嫌。
なんなら今すぐ帰りたい。流石にそう言うわけにもいかず、またむくれるショウを眺めることしかできない。
何度かなんだか声の高い女に声を掛けられたが、暑くてとても返事をする気にならなかった。



「もうウォロさん、折角海来たのに全然遊ばないじゃないですか」
両手に焼きそばとタコ焼きを持ったショウが、ウォロを見下ろして唇を尖らせている。
いけない。若干意識が飛んでいた。
ショウから食べ物を受け取って、はあと相槌を打つ。
「そもそもワタクシは最初から乗り気ではなかったんですけれど……
「じゃあ最初からそう言えばいいじゃないですか」
すとんと軽やかにウォロの隣に座る。どっち?と尋ねるとタコ焼き!と元気な返事が返ってきた。大人しくタコ焼きを手渡すとわーいと明るい声が飛び交う。いけない。別時空からショウの声が聞こえる。もしかしたら自分は思っているよりも暑さに弱いのかもしれない。
「ウォロさん疲れてる?」
「疲れてるようにしか見えないでしょう」
「おじさんだね」
「なんか言いました?」
「なーんにも。いただきまーす。ウォロさん焼きそば食べていいですよ」
慈悲深いのか冷たいのか、ショウはウォロを一瞥してさっさとタコ焼きを頬張り始める。ウォロも渡された焼きそばを食べることにした。
空からは依然ガンガンと日差しが照り続けている。隣でショウがあちっ!と言いながら、はふはふとタコ焼きを頬張っている。流石に彼女も熱いのか、頬がリンゴのように朱く色付いていた。
――幼稚園児みたいだな……
元々幼いとは思っていたが、こうして純粋に楽しんでいるところを見ると、いよいよ幼女のように見えてくる。いけない。なにかやばい思想に憑りつかれそうだ。
ウォロは近くにあった水を一気に飲み干した。
暑さとこの異様な解放感が人をおかしくさせる。
早く帰りたい。
ぺろりと平らげてしまった焼きそばのゴミを適当に放る。ショウはまだあちあちと呟きながら二個目のタコ焼きを齧っている。口も小さいから食べるのに時間がかかるんだろう。肘をつきながら眺めていると、おもむろにショウはタコ焼きのパックを置いた。
「冷めてから食べる……
諦めたらしい。
思わず無意識にふっと笑うと、ショウがこちらをじっとりと睨んだかと思いきや、パッと顔を輝かせた。
「あっ!ウォロさん!あれやろ!買ってくれたやつ!」
「え?」
「スイカわり!」
「ええ……
「あたしがわる方ね!」
一度は呻いたが、それならいいか。座っていても許される。
やりたいならやらせた方がうるさくない。
ちゃっちゃと準備を済ませると、当の本人はちゃっかり目隠しをしている。何故か胸を張って、仁王立ちしている。
「どっからでもかかってこい!です!」
――ワタクシの思っているスイカわりであっているのだろうか?
一抹の不安を抱きながら、ウォロは棒を手渡した。
「よし!」
「まずまっすぐ進んで――
「はい!」
――お?ちょっと待てよ?
悪魔の囁きがあった。
ここまで苦労させられたのだから、少しくらい意地悪をしても許されるのではないのだろうか。にたりとひとりほくそ笑んだのに、通りがかったひとがびくりと後退りしていた。
「次右です」
「はい!これくらいですか?」
「はいはい。もう少しですね」
「はい!」
こちらがこれほど疲れているんだ。少しくらい体力を削っておこう。
口から出まかせ。適当なことばかりを言ってショウを操る。本人はあまり気にしていないのか、はい!と元気よくその場でくるくる回っている。通行人の子供がきょとんとショウを見上げていた。変人に見られている。ウォロは気付かれないように心の内でひとり腹を抱えて笑った。
ざまあない。
情けない姿に完全に悦に入ってしまう。その異質な空気に勘付いたのか、本能なのか、ぴたりとショウが突如固まった。
……だましてます?」
ギクッ。
明後日の方向を見ているはずのショウの声がウォロを刺した。
「いやいやそんなまさか」
「騙してますよね!?」
「気のせいでしょう」
「こんな辿り着かないことないでしょ!」
そりゃバレるか。
やれやれと自分をかなり棚に上げて呆れてから、しょうがない、真面目に指示してやるか……と思った矢先、シュンッとショウの握った棒が風を切った。矛先は何故かウォロの方角をきっちりと向いていた。
――殺される。
不意に思ったのはそんなことで、そして、
「こっちだ……
誰にともなく呟いたショウの言葉に再度「殺される」と悟った。目隠しをしているはずなのに、並外れた嗅覚を発揮しているのか、ショウはしっかりとした足取りでウォロの方へと向かってくる。醸し出す異様な圧に、なんということだろう、動けなくなる。ごくりと生唾を呑んで、そのままじっとしていることしかできない。
――死ぬ!
人間ってこういう時、意外と動けなくなるもんなんだな……、と心の底で考えているウォロに、ショウは一歩一歩着実ににじり寄ってくる。矛先が適格にこちらを向いている。
――こんなことなら余ったタコ焼き食べておくんだった……
途方もない(しょうもない)後悔をしていると、すっと凶器が下ろされる。ん?と異変に気付いた瞬間、ばっとショウが走ってウォロの胸に飛び込んだ。
「えい!」
「ぐぇ」
思いもよらない体当たりに、情けない声を出して後ろに倒れる。
ビーチパラソルの下に横たわるウォロの上で、きゃっきゃっとした明るい笑い声が聞こえて、ショウは目隠しを外して楽しそうにけらけらと笑っている。
「おおあたりぃ~!」
…………散々だ…………
ウォロの上で悪びれなく笑うショウに、今日は自分の完敗だと素直に思うあたり、やはり暑さには苦手なようだ。



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