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蜂乃屋と幸運体質少女

全体公開 エイトリ 9 678文字
2025-09-08 08:40:44
Posted by @tirichann

 新しくHAMAツアーズに入ってきた苗字は、とにかく運がいいらしい。道を歩けば雨が上がる。偶然セールに出くわす。飲食店でおまけをされる。それは誰かと一緒にいる時も有効であり、不幸体質の凪は苗字と一緒にいる時だけ普通でいられた。

「苗字さんと一緒にいると何も不幸が起きない、すごい……

 凪にとっていいのは、凪まで幸運になることではなく普通にでとどまることだ。もし凪にまで幸運が起こっていたら、凪は運を調整するために大量の花を配らなければいけないだろう。

 苗字の幸運体質は凪の不幸体質を相殺し、平凡な人間でいさせてくれる。凪は思わず苗字に言っていた。

「オレと一生一緒にいてくれませんか」

 苗字は目を瞬いた後、「はい」と告げる。隣で見ていた夏焼が思わず尋ねた。

「それってプロポーズじゃないの?」

 言葉だけとればそうだ。しかし、凪にとって恋愛感情はない。

「利害が合うから一緒にいるだけ」
「でも、苗字さんは幸運が全部なくなっちゃうんだよね?」

 運を相殺されているのは苗字もだ。せっかくの幸運がなくなっていいのだろうか。夏焼が苗字の方を見ると、苗字は秘密だと言うように唇に人差し指を当てていた。どうやら、鈍い凪が気付かないだけで苗字は凪に惚れているらしい。凪と一緒にいられるならそれだけで幸運なのだろう。

 野暮なことはしまいと夏焼は部屋を出て行った。果たして凪が苗字の思いに気付くのはいつになるだろうか。


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