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紅葉舞う空に手を伸ばして

全体公開 トワスト 3 2 1915文字
2025-09-27 19:04:59

第49回トワスト、テーマ「あと一歩」制作作品です。制作時間約40分。朝恵ちゃんと真雅お兄ちゃん(ジェフ)のお話です。

 ひらり、ひらりと空を紅葉の葉が舞っていた。

 その鮮やかな赤は、空の青によく映えている。

 紅葉の葉はやがて地面に落ちて、道路を赤色に染めていた。――秋ならではの光景だ。

 綺麗な葉は、次々と落ちてくる。地面に落ちたあとの紅葉よりも、落ちる前のものの方が断然良い感じだ――地面に落ちる前の紅葉の葉が欲しくなった朝恵ともえは、ひらひらと落ちてくる葉に、手を伸ばした。

 あと一歩で紅葉の葉に手が届く、と思ったところで朝恵の小さな手は宙をかく。狙っていた紅葉の葉は、地面に落ちてしまった。

「はっぱ、おちちゃった……

 しょげていたのは一瞬だけ。紅葉の葉はまだたくさんある。次々と落ちてくる葉に、何度も朝恵は手を伸ばし続けた――




 落ちゆく葉は、なかなかに手強い存在だった。どれもこれも、あと一歩というところで取れないのだ。結構長い時間頑張っていたが、朝恵の取れた葉は一枚も無かった。

「どうしても、二まいほしいのに……でもあとちょっとだけ、がんばろうかな」

 再び朝恵は紅葉の葉に手を伸ばし始める。夢中になっていたから、その様子を見ている者がいるのには、全然気付かなかった。

――何をさっきから頑張っているんだ、朝恵ちゃん?」

「おにいちゃん!」

 声をかけられた方を振り向くと、そこには背の高いすらりとした男が立っていた。朝恵が世界で一番かっこよくて優しいと思っている男、真雅しんがだ。ウェーブした黒髪と、黄色の瞳が今日も綺麗だった。

「あのね、おにいちゃん。わたし、もみじのはっぱがほしかったの」

「紅葉の葉、か? ……ここに落ちているのではいけないのか?」

「おちているのよりも、おちるまえの方がきれいでしょ?」

「なるほどな。それは一理ある。――だからさっきから、朝恵ちゃんは懸命に手を伸ばしていたのか」

 ――どうやら真雅は、少し前から朝恵の様子を見ていたようである。

「そうなの。わたし、ほしいからがんばるの」

「そうか。――よし、俺様もやってみるか」

 朝恵と並んで立った真雅が、その大きな手を紅葉の方に伸ばす。何枚かの葉はすり抜けて落ちていったが、一枚の赤い葉が手の中に残った。

――こんな感じだな」

「すごい、おにいちゃん! 一回でとれちゃうなんて」

「俺様は、朝恵ちゃんより手が大きいからな。――ほら、これを朝恵ちゃんにあげよう」

「いいの、おにいちゃん?」

「勿論だとも。これは朝恵ちゃんにあげるために取ったんだからな」

 真雅が朝恵の手に紅葉の葉をのせてくれた。それは小さくて可愛い、赤い葉だった。

「おし花にしたら、ずっとおいておけるかな」

「出来るかも知れないな。また調べてみると良い」

「わたし、また本をしらべてみるね」

 朝恵の分の紅葉は真雅が取ってくれた。出来れば、もう一枚――これは何とか、自分の手で。

「おにいちゃん。このはっぱ、もっていてくれる?」

「それは構わないが、どうしたんだ?」

「もう一まい、ほしいの」

 朝恵は真雅に紅葉の葉を預けると、また手を空へと伸ばす。――あと一歩だから。あと少しだから、きっと取れる――

「とれた……!」

 ついに一枚の葉を、朝恵はその小さな手の中に掴むことに成功した。少し大ぶりで、鮮やかな赤が目にも美しい葉だ。

「お、取れたな。良かったな、朝恵ちゃん」

「うん。わたし、どうしてももう一まいほしかったから。――はい、おにいちゃん。これ、あげる」

――こいつを、俺様にか?」

 真雅がその鋭い瞳を僅かに丸くしている。朝恵は真雅の手を揺らすと、取ったばかりの葉を渡した。

「わたしの分と、おにいちゃんの分をとろうと思ってたの。だから、これはおにいちゃんのね」

「これは、良いものを貰ってしまったな。――ありがとう、朝恵ちゃん」

 紅葉の葉を、真雅は空にかざして見つめている。その横顔は、いつも以上に穏やかに思えた。

「さて、朝恵ちゃんも疲れただろう。ずっとここで頑張っていたからな。――俺様と一緒におやつにしないか?」

「いいの、おにいちゃん?」

「ああ。今日は栗まんじゅうを人にいただいてな。朝恵ちゃんが一緒に食べてくれたら、俺様は嬉しいぞ」

「おにいちゃんのお店の、じゃまにはならない?」

「それは大丈夫だ。今日は店を休みにしているからな」

「じゃあわたし、おじゃまします」

 真雅がその大きな手を差し出してくれる。

 ふたりは手を繋ぐと、秋晴れの道をゆっくりと歩いていったのであった。 


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@Marumeroke
エー!!!かわいい!!!ってめちゃめちゃ声出そうになりました←
なんて可愛いと尊いが溢れている秋の風景なんでしょうか…ちっちゃな手を一生懸命に伸ばす朝恵ちゃんの様子がありありと想像できてかわいすぎます…
桜とか紅葉とかって落ちる前のを掴んでみたくなりますよね…なんかわかる…
でも小さいのにこんなにいっぱい頑張って(´;ω;`)お兄ちゃんの応援でもう一枚取れた時ヤッター!って叫んじゃいそうになりました←
運動した後でおやつもきっと美味しく感じる事だろうなあと…尊い…
2025-09-27 20:02:01
@xxxyueyunxxx
≫Marumeroke ご感想ありがとうございます!
朝恵ちゃん可愛かったですか? それなら何よりですー!
桜とか紅葉って、落ちる前のを掴みたくなるし、欲しくなりますよね……そんなところからテーマに結びつけたお話でした。
ちっちゃいのに、朝恵ちゃんはたくさん頑張れる子です(*^^*)そんな朝恵ちゃんだから、つい応援もしたくなるのかも知れませんね。
きっとおやつも美味しかったと思います(´∀`*)
2025-09-27 23:14:39

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