@tirichann
付き合ってください、と告白をした。普段ため口で接している佐久早に敬語になるのはおかしな話だった。しかし私の方がお願いをしているのだと思えばそれも普通なのかもしれない。佐久早は動揺するでも照れるでもなく、その丸々とした瞳を大きく開けた。
「ダメだ。だけど、一週間後にもう一回告白してほしい」
私は今フラれたのだろうか。それとも、オーケーされたのだろうか。「ダメだ」という言葉を考えればフラれたのだろうが、それならばもう一回告白させる意味が分からない。佐久早はとんでもないサディストなのだろうか。困惑する私に、佐久早は念押しする。
「きっかり一週間後だぞ。わかったか」
佐久早の顔が近付いてきたので、慌てて私は承諾した。それを見ると、佐久早は「よし」と言ってどこかへ行ってしまう。私が呼び出すのに使った勇気は、どうなったのだろう。
とりあえず、佐久早には告白しないといけない。一度フラれたようなものだし、二度も三度も変わらないだろう。これでまた日を改めてほしいと言われたら、その時佐久早を見切ればいい。気付いたら私の方がフるような形になっている。私は佐久早の言われた通り、来週ではなくきっかり七日後に佐久早を呼び出した。自分で告白の約束を取り付けたくせに呼び出しに応じる佐久早は、なんだか一人で劇をやっているみたいだった。
付き合ってください。もう一度同じ言葉を繰り返す。この先どうなるのか私にもわからない。何故今日でなければいけないのか、二回繰り返す意味とは。切迫する私の気持ちとは裏腹に、佐久早は呆気なく「いいぞ」と言った。その簡単さに、私は呆けてしまう。佐久早はネタバレ解禁だと言うように説明口調になった。
「今日付き合い始めれば百日記念日がお前の誕生日になる」
そのためだけに、私の告白を断ったのか。私のことが好きなのか嫌いなのかわからない。だが好きならば相当好きなのだろうし、嫌いならば相当嫌いなのだろう。私は佐久早に重い感情を持たれている。それがどう働くかは、これから見届けるところだ。