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キリシタンすり抜け主と和泉守兼定〜癖毛に遊ぶ血脈の〜

2025-10-18 10:54:22

兼さんが髪切ったぜ〜な短いほのぼの話

「うお、バッサリいったなあ」
戦の最中で背後からの一太刀を紙一重でかわし、髪を思いっきり切り落とされた和泉守兼定は、すっかり軽くなってしまった襟足を、心許なさそうに触った。
「まあ、手入れで直るんだがな」
「ねえ兼さん。せっかくだから、帰るまでの時間で短く整え直そっか。あるじさんに見てもらおうよ」
「そうだな、主人の目を楽しませんのも役目の内ってな。カッコイイ俺のイメチェンでも楽しんでもらうとすっか」

第一部隊帰還、負傷者なし。
先に一報を入れたのち、堀川に整えられたショートヘアで和泉守が帰還すると、帰城を待っていた主は、ととと、と駆け寄ってぱあっと表情を明るくした。

「わぁ! 兼さん、ショートヘアもカッコイイね!!」
「だろぉ? ま、色男にはなんでも似合っちまうってこったな」

まーたオレのファンが増えちまうかな
和泉守はそう、手慣れた調子で笑った。

彼女があどけなく手を伸ばすので、兼定は心得たように屈んでやった。和泉守の髪を指先で遊ぶと、彼女はほっとしたように微笑んだ。

「怪我ないね」
「おうよ。ちょっくら色男がもーっと色男になって帰ってきただけだぜ」
「兼さん、短くすると髪柔らかかったんだね。ふわふわしてる」

ふふふ、と笑った彼女は、ひどく嬉しそうにこう口にした。

「ふふ、こうして見ると、兼さん、横顔がとっても歌仙に似てるね」
「之定に?」
「うん、ひと目で血が繋がってるように見えるくらい」

ぱちん、と瞬いた、大きく見開かれた和泉守のその瞳は、澄んだ空色。
歌仙と同じ色だ。

柔らかに遊ぶ猫っ毛、切れ長の眼、美しい陶磁の肌、三揃いの赤いピアスまで続く繊細なフェイスライン。

端麗な横顔は、柔らかくウェーブした髪に彩られると、驚くほどに、雅を愛するかの刀に面影が重なる。

「わたしね、兼さんだいすきだよ。でね、おんなじくらい歌仙もだいすき。兼さんもいっしょでしょ?」

まるで内緒話でもするように、こっそりと耳元に囁いた主に。
パチパチと丸くした目で瞬いた和泉守は、次いで、くすぐったそうに笑った。


さて、その後。
外見にこだわるはずの和泉守が、次の戦の負傷までウェーブした柔らかな短髪をそのままにさせていた事を見れば、答えは一目瞭然といった所だった。


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