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影山についた嘘の話

全体公開 HQ 1029文字
2025-11-17 17:13:30
Posted by @tirichann

 男子バレー部が寄付金を募り始めたらしいと聞いて、私はそのポスターを見た。ポスターの中では日向くんがジャンプをしていて、これを撮った時はさぞかし気持ちよかったのだろうと思った。人にフォームを見せてほしいと言われたら、彼らは簡単に写真を撮らせるのだ。
 私は影山くんに恋をしていた。日向くんと同じバレー部だ。恋する乙女である私が彼の写真を欲しいと思うことは至って自然で、そのためにフォームを見せてほしいと言えばいいという案は彼らのポスターを見て浮かんだ。あまりにも不純すぎる動機だから、商店街の募金箱に百円募金した。それから、私は影山くんに近付いた。教室の片隅で、私達は喧騒に紛れていた。
「今度体育でバレーやるから、フォームを見せてほしいの」
 体育でバレーをやるのは事実だった。影山くんはたかが体育にそこまで、と思うような不真面目な人間ではなく、昼休みに体育館に行ってサーブやトスを見せてくれた。私はその雄姿を写真に収めた。計画があまりにも上手くいっていることに興奮しているのか、影山くんに興奮しているのかわからなかった。
 影山くんの写真は私の携帯の中で常に見られるようにしてある。体育のバレーは適当に流し、私は活躍などすることがなかった。元からバレーにやる気があるわけではないので当然と言えばそうだ。影山くんだけはその結果に違和感を覚えたようで、私の嘘は呆気なくバレた。私は正直に、影山くんを好きだから興味がないバレーの話をして写真を撮らせてもらったと話した。影山くんは長く息を吐いた。言いたいことすべてを体から逃してしまうような息のつき方だった。今告白のようなことをされたし、影山くんの好きなバレーを侮辱されたも同然だ。一体影山くんは私に何の罰を設けるのだろうか。影山くんは、バレーボールを取り出した。
「嘘ついた罰としてフォームを覚えてもらいます」
 ボールをバウンドさせ、もう一度手に馴染ませてからお手本と言うようにトスをする。バレーを上達させるために写真を撮らせてほしいとお願いしたのだから、その分上手くなってもらうというのはまあ筋が通っている。だが影山くんは私とこれ以上一緒にいることに辟易しないのだろうか。影山くんのことはよくわからないけれど、私はこの罰を受けるしかない。昼休みは体育館でトスとサーブ練習をするのが日課になっていた。影山くんは一向に上達したと認めなかった。それは影山くんがバレーに対し目が肥えているからなのか、わからない。


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