12/1過ぎてるしおねメガ様のお誕生日は9/20では?というのはあるけども書きたくなったので。
遅れてるしメグスいないけどメグスお誕生日おめでとう。
@fao_scherzo
Happy Birthdayの呪いを貴方に
「お誕生日おめでとうございます」
目の前で跪き頭を垂れる相手を前に、メガトロンは目を丸くする。
相手の言葉を反芻し、今日の日付を思い返して首を傾げる。
「誕生日……?」
D-16が製造されたのは今日じゃない。
一体誰と間違えているのか、今日は一体何があったかと記憶を漁る。
メガトロンの困惑が伝わったのか、スタースクリームは笑みを浮かべてその手を取った。
彼らの悲願を成就したその右手。
裏切者を引き千切り、奪われたかつての主のコグを取り戻してくれた手。
破壊を齎すその手を引き寄せる。
「今日は貴方が『貴方に成った日』ですよ、メガトロン様」
D-16がメガトロンに成った日。
センチネル・プライムを殺した日でもあり、オライオン・パックスを殺した日。
「ああ……そうか……」
合点がいって、ただぼんやりとスタースクリームが右手に口付けを落とす所作を眺めていた。
見た目だけは良いこの男は、こういう仕草をさせると妙に様になる。親衛隊の隊長を務めていただけはあって、姿勢は正しく流麗な所作にはどこか気品すら漂わせた。
D-16がメガトロンに成った日。
それはつまり、ディセプティコンを結成した日。
スタースクリームが彼に翼を捧げた日。
彼にとって今日は親友を殺した日なのだろう。
忌避すべき過去の一つなのだろう。
思い出したくもない、唾棄すべき過去なのだろうが。
──忘れさせるわけが無いだろう。
彼の裡に渦巻く嚇怒の、原点となる日。
彼には覚えていてもらわねば。
親友を殺した?
裏切者を殺した?
メガトロナスのコグを奪還した?
そんなものは些事でしかない。
彼がメガトロンに成ったことへの副次的なものでしかなく、真に重要なのはそこじゃない。
今日は、親衛隊が、スタースクリームが、メガトロンにスパークを捧げた日だ。
この焼き印を戴いた日。
彼の怒りを焼きつけられた日。
ディセプティコンであれば、この日を祝わずにはいられない。
未だ理解が及んでいない幼い主を前に、スタースクリームは微笑んだ。
「少し、外に出ませんか。メガトロン様」
スタースクリームに連れられて、途中彼に抱えられて空を飛び辿り着いたその場所は、曰くメガトロンの誕生日の翌日に彼に一度だけ連れられて来た場所だった。
青い花が咲き乱れたその場所は、あの日より少しだけ青が増えている。
ゆっくりと地面に降ろされて、メガトロンはスタースクリームを振り返ることなく前に進み出ると、青い花畑を見渡した。
『よく覚えておいてください、この光景を。この先この場に咲く花は全て、貴方が殺すオートボットと、貴方に捧げられたディセプティコンのスパークになる』
初めてこの場所に連れられた日にスタースクリームに告げられた言葉。
よく覚えているとも。
この場に咲いていた花の数も、その言葉の意味も。
──目の前に広がる青は、あの日から少し増えていた。
■
それから毎年、スタースクリームはこの場にメガトロンを連れてきては同じ言葉を告げるのだ。
スパークの花を踏みつけながらメガトロンの前に跪き、その手を取って恍惚とした笑みを浮かべて。
「お誕生日おめでとうございます、メガトロン様」
これだけの数の命を奪った相手を前に、その生誕を心の底から言祝いだ。
見渡せるだけの青は、今ではもう地平線を埋め尽くすほど広がっていた。