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轟くんにレターセットを貰う

全体公開 ヒロアカ 861文字
2025-12-12 17:42:11
Posted by @tirichann

 寮から出て行こうとすると、轟くんに呼び止められた。時間も遅いので、先生に怒られることを心配してくれているのだろう。私の用があるのは歩いて数分の雑貨屋だし、買いたいものも決まっているので心配には及ばない。
「レターセット買いに行くだけだから、大丈夫」
 私が言うと、轟くんは意外な反応をした。
「レターセットなら俺持ってるぞ」
「待ってろ」と言い、轟くんは一度部屋に戻った。少し後、轟くんはシンプルなレターセットを手にして帰ってきた。私が第一に思ったのは、轟くんも手紙を書くのだということだった。轟くんはモテるだろうし、返事を書くのに必要なのかもしれない。
「ありがとう。せっかくだし貰うね」
 私がレターセットを必要としていたのは轟くんにラブレターを書くためなのだけど、自分があげたレターセットで返事が来たら轟くんはどう思うだろうか。やはりあげなければよかった、と思うかもしれない。既に弱気になっている自分に気付いて、勢いでラブレターを書いた。そのまま轟くんの郵便受けに手紙を出し、私は彼からの返答を待った。
 一方の轟くんは、母への手紙を書こうと思ったらラブレターが出て来て驚いたらしい。そういえば自分がレターセットを渡したのだと思い出して、自分があげた手紙を読む時母はこんな気持ちなのだろうかと思いながら読んだそうだ。寮の外に呼び出され、こんな話をされている私は脈なしなのだろう。私はお母さんと一緒、つまり恋愛対象外なのだ。
「読んでくれてありがとう。じゃあ……
 出て行こうとする私に轟くんはあるものを掲げる。それは私が貰ったのと同じ、レターセットだった。
「俺も返事書いたんだ。読んでくれねぇか」
「じゃあ部屋で」
「ここで読んでくれ」
 随分と厳しい要求をするものだと思った。フラれる場合、気まずいことこの上ない。私は手紙を開いて、轟くんはお母さんと文通をするならもう少し文章力を磨いた方がいいと思った。そこにはただ、「俺も好きだ」としか書いていなかったのだから。
 私が顔を上げて笑うと、轟くんも笑った。


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