ザイード誕生日おめでとう!
@vmon1202
【形のない想い】
穏やかな午後。アルと買い物帰りに談話室へ向かうと、知り合いの顔があり、アルがその名を呼びました。
「ザイード! カシム! お菓子とケーキ買ったよ! ティータイムしよ!」
「アルとゼタが……分かりました。お茶を用意しますので、少しお待ちを。」
僕たちの顔を見るなり、ザイードはすぐに茶を淹れ始めた。
「何かいいことあった? なんかニヤニヤしてる。」
「昔のものを見つけ出していたからです。」
アルの問いに答えながら、ザイードはステラから一枚の絵を取り出した。
「なんでここに持ってくるんだよ?」
「むしろ、なぜ残っていたのでしょう?」
絵を見た瞬間、僕たちは思わず文句を言い出した。なぜなら、それは小さい頃に自分たちが描いた絵だったからだ。
「私は可愛いと思いますが。」
乱れた線、歪んだ形、幼さゆえの純粋さが滲むその子供の絵は、普通に可愛いと思われるだろう。
「やめて! 黒歴史みたいなもんを本人の前で褒めないで!」
アルの叫びに、ザイードは仕方なさそうに絵をステラへ戻した。
「まさかとは思いますが……持ち歩くつもりなんですか?」
僕の問いに、ザイードは「私の物だ、私の勝手だが?」と言いたげな顔をしてみせる。誰かに似ている気がする。
実のところ、ザイードに大事にされているのは、僕もアルも嬉しくて、恥ずかしくて、くすぐったい気持ちになる。
そんな僕たちの照れ隠しを、ザイードもカシムもただ微笑んで見ていた。
——思い出は、何らかの形に残しておきたいものだし、その中には形のない思いも宿る。
あの絵は、小さい頃の僕とアルがザイードへ贈ったもの。
ときには、カシムが見つからず寂しくならないようにと、僕とアルがザイードへ贈った僕達四人の似顔絵だ。
(終わり)