@tirichann
ドゥリンは最近私にできた友達の一人だ。アルベドから彼をよろしく頼まれて日々お世話をしている。ドゥリンはアルベドが作った命らしく、モンドのことや暮らしについて何も知らなかった。私はドゥリンと一緒に食事をし、買い物に出かけ、モラの使い方やモンドでの生活の仕方について教えた。だがまさか、性教育までするはめになるとは思わないだろう。
「名前ちゃんとの子供が欲しい。アルベドにお願いすればいいかな?」
突然放たれた言葉に、私は「違うよ」と返すのでやっとだった。自らがアルベドから作られたドゥリンは、みんな錬金術で生まれてくると思っているのだ。そうではないと否定されれば、思い当たるのは彼の友達第一号らしい。
「じゃあ笠っちみたいに稲妻で作ってもらうの?」
笠っちもまた、複雑な出自をしている。普通の人間は錬金術で作られたり人形として生まれるわけではない。私はそのことを、すっかり教えていなかったのだ。
「人間の子供の作り方は違うの」
今私達がいるのはモンドの城下町だ。人がたくさんおり、性的な話をするのははばかられる。私はこれからドゥリンに性的なことについて話さなければならないのかと恐々としているのに、ドゥリンはすっかり興奮している様子だ。
「じゃあ作ってみたい」
初めて知った果実を食べてみたいと言うような口調だが、子作りとはそう簡単にできるものではない。子作りについて教える前に、家族について教えた方がいいかもしれない。
「好きな人とじゃなきゃダメだよ」
私がそう言えば、ドゥリンは穏やかに笑った。
「名前ちゃんのことは好きだから大丈夫」
ドゥリンは、その「好き」の意味を理解しているのだろうか。子供は恋愛の好きではないと作ってはいけないとわかっているのだろうか。確かめることすら恐ろしい。もし恋愛の意味だとしたら、私は子作りに誘われた後告白されたことになる。順番が滅茶苦茶だ。ドゥリンと付き合っていくなら、普通の恋愛にならないことは覚悟しておかなければいけないのだろう。
「とりあえず、子作りは待って。普通に付き合って」
気付けば私がドゥリンに交際を申し込んでいる。これでドゥリンが恋愛の意味で好きと言っていなかったらどうすればいいのだろう。でもドゥリンの嬉しそうな顔を見たら、まあいいかと思ってしまうのだ。こうして私は流されるままに、ドゥリンと子供まで作ってしまうのだろうか。それは神のみぞ知ることである。