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大徳寺先生無き後の錬金術の授業にて(遊戯王GX×ZEXAL)

全体公開 遊戯王ZEXAL(Pixiv未UP) 2 2318文字
2026-02-01 22:11:11

「遊馬vsクロノス校長!」の後、デュエルアカデミアに入学した遊馬が受けた授業の一幕。GXとZEXALの繋がりを描いた物語。
遊馬がデュエルアカデミアに体験入学する話はこちら
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17239359

デュエルアカデミアには、伝統的に錬金術の講義がある。
既に専門の講師は退職してしまっているようだが、一年生の一般教養科目の中に、1時間だけ錬金術の講義があるのだ。
現在それを担当しているのは、デュエル科学の講師だった。

「錬金術ぅ? 眉唾だな、大昔のイカサマ師だろ?」
「ところがそうとも言い切れない」

錬金術師の多くは水銀から金を作ることができると主張していたが、
当時、水銀から金を作るのは不可能と言われていた。水銀を他の金属の表面に塗って、まるで金に変化したかのように見せる手品だった、とな。

しかし、近年になって、核融合によって水銀を原子的に崩壊させ、金を精製することが本当に可能だと分かった。

錬金術師が活躍したのは十二世紀から十七世紀のヨーロッパだ。現代科学が金の精製に成功したのは二十一世紀、2025年のアメリカのこと。
つまり、錬金術師と言われた人々は、400年以上も前から、元素と核融合に纏わる独自の理論に目を付けていた、類稀な化学者と数学者の一団だったのではないか、とも言われているんだ。

実は量子力学の世界では、『数式的に間違いない』と大昔から理屈では証明できるが、それを再現できる装置が無いために実証できない理論というのは星の数ほどあるんだ。
かの有名なアインシュタインが1916年に相対性理論と共に発表した重力波の理論は、実験で実際に証明できたのは99年後の2015年だった。これは複数の宇宙が繋がっていることを証明するもの。
つまり、天才的に優れた科学者と数学者は、100年近く前から現代の科学を遥かに凌駕する数式を組み立てることができたんだ。

だが、証明できるのは数式だけだ。機材が無いから物理的に証明することができない。
そんな科学を何百年も先取りした高度な数式を、どんなに説明しても一般大衆が簡単に理解できるはずもなく、そうしてイカサマ師だと石を投げられてきた優れた数学者や科学者は、実は星の数ほどいたのではないかと言われているんだ。

一説には、錬金術師の一団は、古代におけるデュアハ、つまりデュエルの不思議を研究していたという話もある。
デュエルには未だ現代の科学で証明できない不思議な物理現象がいくつもある。それを解析し続けた錬金術の世界では、こうとも言われているらしい。
『最高の錬金術師は最強のデュエリスト』とね。

遊馬はうつらうつらと眠そうにしていた頬杖から起き上がって、きょとんと目を丸くした。
「錬金術師が、最強の、デュエリスト?」

ああ、錬金術は別の金属から黄金を作り、永遠の命を与える賢者の石を研究していた、という話が有名だが
デュエルを通して魂の次元を崇高なものに高めるとか、世界の始まりのカードを精製する、なんて不思議な研究も盛んに行われてた、って話だな。

「魂を高度な次元へ?」
アストラルがぴくりと興味を示した。遊馬が目をぱちくりさせた。
「なあ、アストラル、これって」
「ああ、魂のランクアップと、ヌメロンコードの話かもしれない」
エリファスたちアストラル世界の住人が目指した、魂のランクアップ。そしてヌメロンコード。
「実に興味深い。デュエルを通して魂をランクアップさせようとヌメロンコードを研究していた人々が、数百年以上前にいたかもしれない、とは」

さて、この講義で諸君に知って欲しいのは、錬金術そのものじゃない。
デュエルの世界にはまだまだ研究が進んでいない不可思議な現象が多く眠っていて、それを研究するのに常識の思い込みや決め付けは厳禁だということだ。

間違いだと言われていたものが正解で、正解だと言われていたものが間違い、なんてことは、科学とデュエルの世界にはよくあることだ。

今の科学は結局、君たちではないどこかの頭の良い誰かが書いた文章の集まりなんだ。
つまり、きみたちこそがその常識をひっくり返す最初の人物になるかもしれない。
デュエルは未知の科学の入り口なんだ。

「さて、今日の授業はこれでおしまい。明日からは普通の科学の授業だ」

ぱたん、と資料を閉じて、科学の講師が皆を眺めてこう言い添えた。

「けれど、今日の講義の意味を忘れないでくれ。正しいと言われることが間違いで、間違いと言われるものが正しいなんて、科学とデュエルの世界にはしょっちゅう転がっている」

「きみたちに知って欲しい。教わる正解を鵜呑みにするんじゃなく、常に疑い、自分でデッキを新しく作り上げ、証明する気概。それ無くして科学とデュエルの発展はないということを」


キーンコーンカーンコーン。授業の終了を告げる鐘が鳴り、生徒たちがざわざわとお喋りする休み時間。

「ねえねえ、思ったより面白い講義だったね」
「ああ。錬金術っていうからどんな胡散臭いオカルト話かと思ったが」
「確かに、まあ、今の環境の常識を疑って自分でデッキを組むってのは、デュエリストにとって大事な初心ではあるよな」

ここにいる生徒はもちろん
講師陣もまた、知らない。

当時、三幻魔の危機に、アムナエルが遊城十代へ託したエメラルドタブレットの奇跡のカード『賢者の石』。
それは、ライフ半分をコストに、3回までこのカードをあらゆる好きなカードに『書き換える』カードだった。
十代が使った後は、役目を終えたように自ら崩壊して消えた。

そう、書き換える。

あれは、錬金術の研究という、人の手で再現された、限定的なヌメロンコード。
錬金術師としての大徳寺は、ヌメロンコードとリ・コントラクトユニバースの神秘のわずかな一端を、ついに人の手で再現するに至った天才科学者だったということを。


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