□自分の評価は軽くくだせる鳩原未来
@wtkotaji
「鳩原さんて自分のことどう思ってる?」
「急になんですか」
吐く傍から息が凍りつき、そのまま結晶となるような気候だった。
ここはかつて居た地ではない。防寒の装備も充分にはないし、この肌を刺すような寒冷地は身体を芯から意識を剥ぐような痛さを持っていた。
鳩原未来は寒さに弱い。
いっその事冬眠してしまいたい衝動に駆られるが、口にすることはなかった。
誰しも一日中換装体でいるわけにはいかない。トリオンを回復するには、休息を取らねばならないからだ。今はその時間帯なのだが、予定は未定だ。そうも言っていられないこともある。
鳩原は今、協力者の一人の代わりに見張りに付いていた。これで食事にありつけるのだから有難いというべきだろう。余程の戦闘にならない限りは、トリオンもなんとか持つ筈だ。
それでも一応節約とばかりに、換装はせずじっと周囲を警戒していた。
そんな鳩原に、寒さで意識を手放さないようにと隣の男が話しかけたのだ。
内容はどうでもいいのだろう。
鳩原もそれは理解していたのでさらと答えた。
「身勝手な奴ですかね」
「鳩原さんて自分に対してだけは辛辣なんだ」
「好きじゃないので」
「そう」
普段は何かの質問に対して曖昧に誤魔化すのが常だが、自分の評価は即答出来た。
己が好きではないという鳩原に、それに大した反応も男は見せない。落ち着いた表情で答える鳩原は、肯定も否定も望んでいない。それがわかっているのでただ相槌を返した。
利害が一致しているから、この男とはやりやすいのだと鳩原が気付いたのは最近だ。
この人はきっと分かっていたんだろう。
だから、協力を申し出たのだ。
今更どうでもいいことを考え、鳩原は首周りに巻いた防寒着に鼻を埋めた。
(──あぁ、ユズルとあたたかいものが飲みたいな)