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木兎と会うことを制限される

全体公開 HQ 671文字
2026-02-18 08:34:29
Posted by @tirichann

「木兎さんともう会わないでください」
 恋愛感情を拗らせた女子小学生か中学生のようなことを、私は言われている。だが相手は男子高校生であり、ばりばりの運動部だった。何なら全国大会にも出場している。彼は確か、副主将の赤葦くんだ。木兎と壮行会に出ていたのを覚えている。
「何で?」
 木兎は赤葦くんの後ろでしょぼくれた表情をしていた。赤葦くんから言われた言葉と木兎の表情で大体の状況は察せるけれど、予想だけで信じるには自意識過剰だ。赤葦くんは木兎の恋心をいとも簡単に告げた。
「木兎さんはあなたを好きなんです。一挙一動に振り回されて試合に影響が出るので、大会前は会わないでほしいです」
 梟谷のバレー部は強豪である。部活のためと言われたら私は頷くほかなかった。だが私にも返事をする権利や、自分の恋愛について言及する権利はあるはずだ。
「私の気持ち言っていい?」
「俺を通してであれば」
 ここまで厳重に守られた木兎は、ハリウッドのスターのようなのかはたまたただの子供なのかわからない。仕方ないので私は木兎の後輩相手に「私も好きだよ」と言った。木兎と対面していたら感動的な光景だろうが、現実はよく知らない後輩に告白まがいのことをしているだけだ。
「それは木兎さんが非常に動揺する恐れがあるので、大会後に伝えます」
 赤葦くんは意気込んだような顔をして去って行った。人生でされた中でもっとも奇妙な告白だった。木兎がバレーを続ける限りこんな感じのことが続くのだろうかと思う。けれどやはり、私は木兎のバレーをしている姿が好きなので、いいかと思えるのだった。


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