□その理由を話す鳩原未来
※CPの類はありません
@wtkotaji
──雨取麟児を共犯者として選んだ理由は
「えぇ?はは、急に訊かれても困りますね。…ほら、雨取さんて近界に連れて行っても死ななそうじゃないですか。あとは自分が傷ついてまで協力関係者を庇ったりしないだろうし、あたしが死んだとしても気に病まないだろうし。お互いに興味がないことが丁度良かったので。あとは単純に能力が高いところですかね」
「スラスラ答えるな。鳩原さん」
「雨取さんも大体同じ理由じゃないですか?」
「まぁそうだな」
「だからあたしは雨取さんにお願いしたんですよ」
──二宮隊やボーダーの誰かではだめだったのか
「駄目でしたね。迷惑にも負担にもあれ以上なりたくなかったし。二宮さんはあたし達の保護者代わりのつもりなのか、いざとなったら部下を庇うじゃないですか。だからこんな個人的なこととても頼めないです。正規の手段で行けるならそれが一番でしたけど、それはもう諦めました」
「鳩原さんて、帰国する時の勘定に自分を含んでいないよね」
「意思はありますよ。無事に送り届けたいですし。でも最悪仕方がないとは割り切っているかもしれないですね。優先すべきことは決まっていますから」
互いに興味がなく、大切でない存在。
目的で動ける共犯者が欲しかった。
そんな状況に彼等を巻き込む気になれなかったので、深くは知らない雨取麟児を共犯者に選んだ。
それがわかっていても、当人の口から聴かされても。納得出来るかと言われたら答えは否だ。
質問
「本当は、焼肉そんな得意じゃないんですよね」
「……」
「脂飛ぶし、臭い付くし、肉より魚が好きだし」
「……」
「だからもう、」
「なら寿司屋にでも変えればいいだろう」
「そういう問題じゃ」
「俺にとってはそれ位些細な事だ」
お前がいない理由にはならない。
もう帰れない理由を並べる鳩原と、自分の部下がいなくなる理由をどれもくだらないと二宮は一蹴した。腕を引っ掴んで連れ戻すくらいが丁度いいのだ、この鳩原未来という女は。
連れ帰れば記憶を消されるだろう。鳩原はそれを出来れば避けたかった。元に戻りたいとは口にしないから、過去の記憶は持っていたいと願っていた。
だがそれは口が裂けても言えないことだ。
弟のことだけは諦められないからとそれ以外は置いてきた筈なのに、無意識で捨てきれない。その唯一が、ボーダーにいた時の過去だった。
「今あたしはあなたの部下でも何でもないですし、なんなら二宮隊の誰かも撃てる薄情者ですよ」
そして後から嘔吐くのだろう。
贖罪のように仲間を撃っては身を削る。
自虐にも程がある。
二宮は苛立ったように眉間に皺を寄せた。
「往生際の悪い奴だなお前は」
「はは、すいません」
相も変わらず曖昧に、こころにもない謝罪を口にする。この笑い方が張り付いたものだと理解したのはいつだろうか。
「二宮さん」
「なんだ」
「質疑応答は、そろそろ終わりですか」
「……あぁ」
ランク戦開始の合図の時のように鳩原がわらい、通信はそこで途切れた。