X以外のSNSでの投稿にはPrivatter+がおすすめです

リンバス夢主

全体公開 1 21197文字
2026-03-05 03:23:47

お相手:ホンル
BLD
⚠️4章キャラクターとの深い接点、オリジナルNPC有り
8章のネタバレが含まれます。ものすごい捏造をしています!!!!!!!!本当にすみませんが許してください

Posted by @8x2wgd

ジュリアン
身長:170cm 体重:50kg
出身: 裏路地
現在の所属: リンバスカンパニー
特技: 異常なレベルの記憶力と、複雑な事象を瞬時に解析する演算能力

……その視線を収めてくれないか?私の中身に興味があるなら、まずはキミ自身の腹を裂いて、内臓の並びを正しく理解することから始めるべきだと思うが」

●パーソナルデータ
趣味:複雑な数式の暗算
脳内の雑音をかき消すために、円周率の計算や熱力学のシミュレーションを常に行っている

●好きなもの
静寂:他人の視線や声がない場所を好む
冷たい紅茶:沸騰した熱い飲み物は、かつての手術の「熱」を連想させるため、氷のように冷えたものを好む
甘いもの:幼少期に縁のなかった、宝石の様な果物が乗った甘味を好んで食べる傾向がある

●嫌いなもの
K社製アンプル(および緑色の液体全般)
「美しい」という形容詞
→自分に向けられた際、それは「解体対象としての価値」と同義であると脳が変換してしまう

→自分の右半分の「美」と、左半分の「醜」の対比に耐えられず、バス内の鏡の一部は彼によって叩き割られるか、布で覆われている

⚠️管理人へのアドバイス
1. 視線の管理
彼の左側に立つことは避けてください。死角からの接近は、彼のリミッターを解除させ、無差別な解体行動を誘発する恐れがあります

2. 「美しさ」への言及
彼の働きを褒める際は、「効率的だ」「精密だ」という言葉を選んでください。決して「綺麗」と言ってはいけません。

●外見
燃えるような赤色の長髪と藤色の瞳を持つ。
かつては「裏路地に咲いた奇跡」と称されるほど、性別を超越したような透明感のある恐ろしいほどの美貌の持ち主だった。しかし現在は、顔の左半分がグロテスクな爛れた人工皮膚で覆われている。普段はそれを隠すため、精巧なハーフマスクをつけている。
残された右半分の顔には、かつての美貌の面影と、底知れぬ疲労感が刻まれている。

●生い立ち
裏路地の最貧民層で孤児として育ったジュリアンは、生き残るために自身の「知恵」だけを武器にした。
ゴミ山から拾った旧時代の専門書を読み漁り、独学で工学と生物学を習得。その並外れた知力は裏路地のフィクサーたちの目に留まり、情報屋やハッカーとして資金を貯めた。
裏路地の最下層の廃棄場で、ジュリアンには一人の「友人」がいた。
名はリュカ。ジュリアンと同じく身寄りのない少年であったが、彼はジュリアンとは対照的に、手先が器用で、ガラクタから「動くおもちゃ」を作る天才だった。
ジュリアンが本から得た数式で「最も効率的な解体順序」を導き出し、リュカがそれを形にする。二人は廃棄場の中で、誰にも邪魔されない小さな「工房」を作り上げていた。リュカは、ジュリアンの透き通るような容姿を「宝石みたいだ」と無邪気に褒め、ジュリアンはそれを「演算に必要のない情報だ」と切り捨てながらも、リュカが作った「ゼンマイ仕掛けの青い鳥」だけは大切に持っていた。

「ジュリアン、お前の頭と俺の腕があれば、いつか『巣』に行ける。そこは雨も降らないし、空は本物の青色をしてるんだってさ」
その言葉通り、二人は協力してK社の入社試験に挑む。しかし、合格通知が届いたのは、ジュリアン一人だけであった。

K社の居住権を得るためには、同行者一人につき膨大な「移住税」が必要だった。当時のジュリアンには到底払えない額。
ジュリアンは「必ず迎えに来る。K社で地位を築いて、お前を引き上げる」と約束しました。しかし、リュカは静かに首を振り
「だめだよ、ジュリアン。お前があそこに行けば、俺みたいな『不純物』は君の足枷になる。……その顔を、もっと高い場所で輝かせてくれ。俺はここで、お前が作った数式をなぞって生きていくから」
リュカは、ジュリアンに手渡すはずだった「銀のブローチ」を、自ら泥の中に投げ捨てた。
それは、ジュリアンが未練なく「巣」へ向かえるようにするための、彼なりのあまりに不器用で、ままならない訣別であった。
ジュリアンはリュカを裏路地へ置き去りにしたという「生存者の罪悪感」を抱えたまま、白衣を纏うことになる。

●転落
巣での生活は順風満帆に見えたが、ジュリアンのその「とてつもない美貌」が災いを招いた。
ある夜、翼の重役たちが集まる非合法な秘密の社交界(「指」と呼ばれる裏組織の幹部や、ねじれた趣味を持つ貴族たちの集い)に、ジュリアンは「余興のゲスト」として騙されて連れ込まれてしまった
彼らの目的はジュリアンの知脳ではなく、その「美しさ」そのものだった。都市の上流階級の一部で流行していたのは、「生きたまま最も美しい人間のパーツを切り取り、自分の身体に移植する」というおぞましい美容整形手術で、ジュリアンの美貌に魅入られたある重役は、麻酔なしで手術台に縛り付け、その「完璧な左顔」と「美しい声帯の一部」をゆっくりと剥ぎ取った。
ジュリアンの肉体が単なる「高級な素材」として切り刻まれる中、自分の頭脳や学歴がいかに優れていようと、都市の絶対的な暴力と狂気の前では全くの無力であることを、絶望の中で悟った

●視線恐怖症と自己嫌悪
他人の視線、特に自分の顔を見られることに恐怖を抱くようになる。
また、「美しかったが故にすべてを奪われた」というトラウマから、自身の残された右半分の顔をひどく憎んでおり、鏡を見るたびに発作的にそれを掻き毟りたくなる衝動に駆られる

権力への憎悪: 自分が信じていた「知力と努力で得た地位」が幻想であったことを知り、都市の上流階級や翼というシステムそのものへ強い憎悪を抱いている。

●翼との関係性
彼はK社の第3区・生命工学部門の若手エリート研究員として、肉体の再生と拒絶反応の抑制に関する研究に従事していた。
彼自身も、K社の技術が都市の人々を救う(少なくとも、まともな医療を提供する)と信じていた。

●転落・K社
社交界でジュリアンの顔面を切り刻んだ重役たちは、他ならぬ「K社の上層部」やそのスポンサーである富裕層たちであった
彼らがジュリアンに目を付けたのは、「美しさ」だけではなかった。「自社の特異点(回復アンプル)を使えば、この美しい顔のパーツを”何度でも”収穫できる」という、悪魔のような閃きによるものであった。
ジュリアンは手術台に縛り付けられ、麻酔なしで顔の皮膚や肉を剥ぎ取られ、激痛でショック死しそうになるたびに、K社の高純度アンプルが注射され、強制的に意識を叩き起こされる。
そして傷が中途半端に再生した端から、より「完璧な形」を求めて再びメスを入れられる……。 アンプルがあるせいで、ジュリアンは死ぬことすら許されず、終わりのない解体と再生の無間地獄を途方もない時間の中で味わされた。

●現在の容姿
度重なる肉体の切除と、高純度アンプルの過剰投与により、ジュリアンの左半分の顔面細胞は限界を迎え、度々暴走を引き起こす。
かつての美しい顔は二度と元には戻らず、現在マスクの下にあるのは、緑色の液体を滲ませながら不規則に蠢き、絶えず増殖と壊死を繰り返す醜い肉塊。
彼が着けているハーフマスクは、単に傷を隠すためのものではなく、「異常増殖しようとする顔面の細胞を、物理的に押し潰して抑え込むための強力な拘束具」でもある

●トラウマの深刻化
回復への嫌悪
彼は「傷が癒える感覚」そのものに強烈なトラウマを抱えている。
戦闘中に味方から回復処置を受けたり、K社のアンプルを目にしたりすると、当時の終わらない解体手術の激痛と恐怖がフラッシュバックし、過呼吸や嘔吐を引き起こすことがある。

●習慣と後遺症
現在のジュリアンの行動に影響を与えている、裏路地時代の些細なクセ
「雨」への過剰な反応

裏路地の雨は、時に工場の排煙で酸性度が高く、皮膚を焼ききってしまう。ジュリアンは今でも雨が降ると、無意識に自分の身体(まだ無事だった頃の肉体)を庇うように抱きしめる癖がある
音のない会話

裏路地の「掃除屋」や「指」の末端に見つからないよう、二人は指先を叩くリズム(モールス信号に近いもの)で会話をしていました。今でもバスの中で、ジュリアンが膝の上で指をトントンと叩いている時、それは無意識に「リュカ、そこにいるか?」という信号を打ってしまっている証拠


ジュリアンはK社の地下実験施設で、上層部の「生きた装飾品」兼「アンプル適応実験体」として幽閉されていた
しかし、ある時職員の隙をついてセキュリティをハック。自らの左顔面を包帯で覆いながら脱走を図る。
ボロボロになりながら裏路地へ逃げ延びた彼を拾ったのが、ファウストだった
「あなたのその『終わらない再生』という呪い、解放されたくはありませんか」
ファウストはジュリアンの「K社の内部機密」と「高い演算能力」を買い、彼を13番目以降の特殊な「囚人」として迎え入れた。
ジュリアンにとって、ダンテの「巻き戻し」による蘇生は、K社のアンプルによる「強制的な再生」よりも幾分かマシな地獄に見えたようだった

⚠️管理人へのレポート①
この時期のジュリアンにとって、ダンテは敬意を払う対象ではありません。あくまで「死を無効化する装置」であり、K社のアンプルよりも幾分かマシな代替品に過ぎません。
距離感: 常に数歩下がり、ダンテの「左側(自身の醜い顔側)」に立つことを極端に嫌います。
 「管理人、キミの時計が刻む音は、私の脳内の雑音をかき消すには少しテンポが遅すぎる。……だが、無能なアンプルよりは使い道があるようだね」
態度の特徴: 徹底的に事務的。時たまダンテを「時計頭(クロックヘッド)」と呼び、意思疎通の努力を放棄しています。

●囚人「ホンル」との関係性
ジュリアンにとって、ホンルは最も「神経を逆撫でされる存在」であり、同時に「唯一、自身の本質を理解されかねない恐怖の対象」
ジュリアンから見たホンルは何不自由なく「巣」の頂点で育ち、残酷な現実すら「珍しいもの」として眺める無垢な残酷さに、激しい嫌悪感を抱いている。
ジュリアンが死ぬ気で手に入れ、そして奪われた「上流階級の余裕」を天然で持ち合わせているホンルに対し、殺意に近い劣等感を覚えることも
ホンルはジュリアンの仮面の下にある「淀んだ空気」に勘づいている。
「おや、ジュリアンさんのその顔……僕の家にも似たような装飾品がありましたよ」と、悪気なく彼のトラウマを抉る発言もしばしば
共に戦う中で、ジュリアンはホンルもまた「家族」という名の檻に囚われた犠牲者であることを理解し始める。

●K社「ドンラン」との関係性
「夢を捨てた者と、夢を壊された者」
ジュリアンがK社を目指した理由の一つが、かつて純粋に技術を追い求めていた頃のドンランの論文であった。
ジュリアンにとってドンランは「実力で這い上がった先駆者」というロールモデルだった
再会したドンランが、過去を切り捨て「翼」の維持に汲々としている姿を見て、ジュリアンは絶望する。ドンランはジュリアンの変わり果てた姿を見て、「君も気づいたはずだ。この都市で何かを成すには、自分自身の何かを切り売りするしかないのだと」と語りかける。
ジュリアンはドンランの中に、「もし自分がもっと早く絶望に屈していたら、こうなっていたかもしれない未来」を見てしまい、激しい自己嫌悪に陥る

●K社での再会
リンバスの囚人としてK社へ足を踏み入れたジュリアンは、LCCBからの情報により、ある「高危険度実験体」の処理を命じられる。
地下の最深部、アンプルが過剰投与され続け、もはや人間の形を保っていない何かがそこにいた。
その「何か」の首元には、かつてリュカが泥に捨てたはずの、錆びついた銀のブローチが、皮膚に直接縫い付けられていた
リュカは、ジュリアンが去った後、彼を追うために自分の肉体をK社の「アンプル適応試験」の被験体として売り払っていたのだった。
彼はジュリアンと同じ場所へ行きたかった。たとえそれが、人間としての尊厳を捨てることになっても。

●決別のやり直し
リュカ(だったもの)は、ジュリアンの顔を見るなり、緑色の液体を吐き出しながら震え、その歪んだ眼球には、かつての親愛ではなく、自分を置いていったジュリアンへの執着と、自分をこのような姿に変えたK社への憎悪が混ざり合っていた。
「ジュ……リアン……綺麗……………………僕の………………君に……あげ……ようか……?」
ジュリアンは、かつて自分が計算した「最も効率的な解体」を、かつての親友に対して行わなければならなかった。 メスを振るうジュリアンの左顔面が、共鳴するように緑色に脈動し

……計算違いだ。君をここに呼ぶべきではなかった。……あるいは、私が最初から泥の中で死ぬべきだったんだ」

ジュリアンは、リュカの心臓を貫く直前、彼にだけ聞こえる声で囁く


「……リュカ、演算は終わった。キミが次に再生するまでの0.7秒の隙間に、キミの核を、私のこの醜い左手で握りつぶす。……これが、私たちが『巣』で再会する唯一の数式だ」

●4章後の変化
ドンランの最期を見届けた後
以前よりも自虐的な言動が減り、「奪われたものを取り返す」のではなく「残されたこの醜い力で、誰かを解体する(守る、とはまだ言わない)」という意志を持ち始める
彼は基本的に「高潔で理知的な振る舞い」を崩さないが、その裏にある「欠損への病的な執着」と「過去への憎悪」が、日常の会話の端々に毒として混じるようになる。

⚠️管理人へのレポート②
「美しさを搾取された過去」を暴かれ、精神的に磨耗したジュリアンは、ダンテが囚人たちの「痛み」を共有している事実に気づき始めます。
態度の変化: 毒を吐く頻度は変わりませんが、時折、自嘲的な問いかけをダンテに投げるようになります。

……なぜ、キミは痛みに耐えられる? 囚人が死ぬたび、針を巻き戻し、彼らの地獄を肩代わりしている。計算に合わない。そんな自己犠牲に、一体何の『美しさ』があるというんだ」

ダンテが時計を鳴らして蘇生させた後、ジュリアンは無言でダンテの服についた泥を払うようになります。
親友を自らの手で「解体」し、救いようのない絶望の底に沈んだジュリアンにとって、ダンテは「自分の顔を見ても、何も言わずにただ苦しみを分かち合ってくれる存在」へと昇格します。

●信頼の形
「視線の管理」が緩和されます。ダンテに対してだけは、左側の顔を見られることへの殺意が消え、代わりに「諦念」と「信頼」が混ざった複雑な色を見せます。
「ダンテ。私の演算では、これ以上歩むのは非効率だ。だが、キミがその時計の針を止めないと言うなら、私の残された半分の『知恵』は、最後までキミの指針として使うと約束しよう。それ以外の使い道は、もう捨ててきてしまったからね」

●イサンとの関係
共に「並外れた知能」を持ち、それゆえに世界の残酷さをより精密に理解できてしまうという共通点
彼は「鏡」を通じて世界を客観視しすぎてしまい、自己を喪失した。ジュリアンの「演算能力」がもたらす絶望を、イサンは「自分と同じ、閉じ込められた鳥」として見ることになる
またジュリアンは、イサンの持つ浮世離れした、しかし本質を突く言葉選びに自分と同じ「知性が生んだ孤独」を感じる。

●「理想」を失った者同士
ジュリアンにとってのドンランは、イサンにとってもかつての盟友であり、自身の「理想」が変質した姿でもあった
ドンランがイサンに「九人会」の夢を捨てさせたように、ジュリアンのエリートとしての夢もまた、K社の重役という暴力によって物理的に剥ぎ取られた
→イサンからの感情
イサンは、ジュリアンがドンランに対して抱く「自己嫌悪」を、自分のことのように理解している。イサンもまた、九人会の崩壊とドンランの変節を見て、何もできなかった自分を責めていたから
そしてイサンは「美しさ」そのものに執着するタイプではないが、それが「消費される素材」として扱われたジュリアンの尊厳の踏みにじられ方に、静かな怒り(あるいは同情)を抱いている。また、一度声帯を失ったジュリアンをイサンは憐れむ事もある。
イサン自身も一時期、言葉を失っていた為。二人の間には、「語り合わないことで成立する会話」が生まれるようになる。

4章以前のイサンは、深い虚無感の中にいて、この時期の彼は、ジュリアンに対して「同族嫌悪に近い、静かな痛みの共有」を感じていた。
イサンは、ジュリアンが「美貌」という理不尽な理由で肉体を奪われたことに、自らの「技術」が翼(T社やK社)に切り売りされ、摩耗していった過程を重ねる。
ジュリアンがドンランに抱く「憧れと絶望」は、イサンにとっての「九人会の崩壊」そのものであり、ドンランの変節を知っているイサンは、ジュリアンがその事実に打ちのめされる姿を、「止めることもできず、ただ隣で共に泥に沈むことしかできない傍観者」として見つめていたはずだから

ジュリアンにとっての「元・憧れ」であり、イサンにとっての「元・友」であるドンランとの対峙。ここで二人の関係は大きく揺れ動かされる
→ドンランがジュリアンに放つ「自分を切り売りするしかない」という呪詛に対し、イサンは自らの過去を清算しながら、同時にジュリアンの心をも守ろうとする

●「理想(イサン)」の提示
イサンがドンランとの決着をつけ、自らの翼を広げる姿は、ジュリアンにとって「奪われた肉体や地位がなくても、人は再び飛べるのか」という衝撃的な問いかけになる
4章を乗り越えた後の二人は、単なる「傷の舐め合い」から、「互いの欠落を認め合う、静かな戦友」へと変化する

●イサンからジュリアンへ
イサンは、ジュリアンが失った左顔を「演算による過去の再現」で埋めるのではなく、「今ある傷を抱えたまま、どう歩むか」に興味を持ち始める。

「左側の視界が暗いのであれば、私が右側に立とう。貴殿の優れた演算に、私の『想像』を足せば……あるいは、あの頃よりも遠くが見えるかもしれぬ。」


●囚人「ホンル」とのやり取り

「ジュリアンさん、その仮面、僕の家にある東部の古い磁器に模様がそっくりですよ! もしかして、あれも内側にトゲが付いていて、着けるたびに血が出る仕組みなんですか?」
……これは単なる拘束具だ。きみの家の『装飾品』と一緒にしないでもらえるかい?それと、私の顔を覗き込もうとするのもね」

「ええ〜でもジュリアンさんのその右側の目は、とっても澄んでいて綺麗なのに。……あ、左側はどうなっているんです? 宝石でも埋まっているんですか?」
…………ああ。上層部が喜んで削り取っていった、世界で一番価値のないゴミが詰まってるのだけど……見てみるかい?」
「わあ、ぜひ今度、お茶を飲みながらゆっくり見せてくださいね」
「(……話が通じない……)」


ホンルは悪気なく、ジュリアンが一番隠したい「内側の地獄」を「珍しい遊び」のように接する。
ジュリアンは彼を激しく嫌悪しているが、同時にホンルもまた「家」という名の巨大な暴力の中にいたことを本能で察しており、完全に突き放しきれない複雑な関係となる

●ジュリアンの席
ジュリアンはバスの最後尾、窓際の席に座っていることが多い
窓の外に流れる「都市」の景色を眺めながら、彼はいつも自身の細い指先を眺めている。その指は、かつてペンとメスを握り、今は殺人の道具を握っている。









以下、8章のネタバレ・ホンルとの恋愛描写が含まれます



​───────​───────



●第8章とこれから
ホンルの地獄をジュリアンが「理解」する瞬間
ホンルの家族(過剰な贅沢と残酷な儀礼が支配する一族)の異常性が露わになり、そこでジュリアンは気づく
「この男が、私の過去を『遊び』のように扱っていたのは、無神経だからではない。彼にとって、『肉を削ぎ、心を壊すこと』が、日常という名の呼吸に過ぎなかったからだ」

●「眺めることしかできない」
鴻園という異常な箱庭に足を踏み入れた時、ジュリアンの脳内を常に駆け巡る演算は、かつてないほどのエラーを弾き出し始める。
彼が憎悪していた「何不自由ない上流階級の余裕」など、そこには一切存在しておらず、そこにあったのは、完璧な笑顔を貼り付けたホンル(宝玉)の周囲で繰り広げられる、血を血で洗うような儀礼と、精神をすり潰すような同調圧力だった。
ジュリアンは、自身を美しい「素材」として切り刻んだK社の重役たちと、ホンルを「H社を繁栄させる完璧な器」として扱うジア家の人々を完全に重ね合わせる。
ジュリアンが「物理的」に解体されたのだとすれば、ホンルは幼い頃から「精神」を麻酔なしで解体され続けてきたのだと、ホンルの記憶を通じて理解してしまう。

「なんだ、ここは……。K社の地下実験室よりも、よほど悍ましい処理場じゃないか」

ジュリアンは、自身の長い赤髪を苛立たしげに掻き上げながら、これまでの計算式を根本から修正する。ホンルがこれまで見せていた無神経にも思える態度は、無知や傲慢からくるものではなく、そうしなければ「自我が完全に崩壊してしまうから」という、極限状態での生存本能だったのだと。

●死んだ魚の眼で笑う「美しき人形」への怒り
ジア家の異常な礼節と、その中心で完璧に振る舞い続けるホンル。その姿は、ジュリアンが最も憎む「K社の上層部に並べられていた、感情のない装飾品」そのもののように見えた
耐えかねたジュリアンは、周囲に人がいない廊下でホンルを壁に押しつけ、その仮面のような笑顔に鋭い言葉を突きつける。
……いい加減にしろ、ホンル。キミは、自分が今どんな顔をしているか見たことがあるのか?」
「おや、ジュリアンさん。急にどうしたんです? 僕の顔がそんなに変でしたか?」
「その目だ。……光を屈折させることしか能のない、死んだ硝子玉のような目をして……流されるままに、与えられるままに、心を殺して笑うことが『生きている』ことだと思っているのか? キミが今やっていることは、かつて私を切り刻んだ連中が喜ぶ『都合のいい素材』としての振る舞いと、何ら変わりないんだぞ!」
……ふふ、素材、ですか。それは素敵な表現ですね。僕はこの家の一部として、綺麗に収まっているだけですよ。それが一番、波風が立たなくて済むんです」
「黙れ!……そんなものは生存じゃない。ただの『腐敗』だ。裏路地の泥水の中を這いずり回る虫の方が、よほど高潔に生きている! キミのその空っぽの器に、中身を詰める努力すら放棄するなら……今すぐ、私がその腹を裂いて、中身が空洞であることを証明してやろうか!?」

ジュリアンが怒りに震えているのは、ホンルの中に、かつて絶望に屈して「ただの素材」に成り下がろうとした自分自身の影を見てしまったから。だからこそ、彼はホンルを罵倒せずにはいられなかったのだった

●家主決戦後の変化
家主決戦を経て、ジア・チォウとの決着をつけたホンル。
彼は少しずつ、今まで埋もれていた喜怒哀楽を零すようになる。
それは、完璧だった磁器の肌に、醜くも生々しい「ひび割れ」が生じるような過程でもあった。
ジュリアンはその変化を細かく観察し、自らの心境を変化させていく

●初期の困惑

決戦後、ホンルがふとした瞬間に寂しげな顔をしたり、あるいは自分の意志を口にしたりするたび、ジュリアンの脳内演算はエラーを起こす。
「完璧な人形」であれば予測は容易であったが、「感情を持つ人間」となったホンルは、ジュリアンの計算をことごとく裏切るようになる。
その予測不能な揺らぎを、ジュリアンは「不快」だとは思わず、ただ目が離せなくなっていく。

●中期の共鳴

ホンルがふとした時に見せる憂いの表情を垣間見たジュリアンは、かつて自分がリュカを置いてK社へ向かった時の、あの胸を抉られるような「生存者の罪悪感」を思い出す
「ああ、キミもようやく、こちらの地獄へ降りてきたのだな」
それは同情ではなく、孤独な深淵にようやく隣人が現れたことへの、安堵に近い感覚であった。

●現在の献身
保護者であり、共犯者。

「奪われた美しさ」を持つ自分と、「与えられすぎた空虚」を持つホンル。二人は正反対でありながら、どちらも「人間としての尊厳」をズタズタにされた被害者であると、ジュリアンは認めざるを得なくなる。

●美しさへの嫌悪と「搾取の象徴」
初対面から、ジュリアンにとってホンルの左目は、最も不快な「上流階級の象徴」だった
自分の「美しさ」がK社の重役たちにパーツとして搾取されたトラウマを持つジュリアンにとって、生まれながらに輝く宝玉を宿したホンルの瞳は、傲慢な特権階級の証にしか見えなかった
「その目は、どれほどの他人の犠牲の上に輝いているんだ?」という苛立ち。自分は奪われて「醜く」なったのに、何故この男は「美しい」ままでいられるのか。その理不尽さへの怒りが、ホンルへの刺々しい態度に繋がっていた。

●8章での転換・同じ「収穫物」としての認識
ホンルの瞳が「仙人たちの道楽や一族の維持」のために、彼の意志とは無関係に埋め込まれ、観測され、利用され続けてきた「呪いの受信機」であることを知った瞬間、ジュリアンの演算は180度反転する。
ホンルが「僕の目は、僕が見たいものを見るためのものではないんです」と悟った時、ジュリアンはそこに、手術台で自分の顔を削ぎ落とされていた時の自分を重ねるようになる。

●価値観の変化
ホンルの瞳は「美しい装飾品」ではなく、自分と同じく「生きたまま尊厳を剥ぎ取られた傷跡」なのだと理解する。ジュリアンの「剥き出しの肉腫(左顔)」と、ホンルの「煌びやかな宝玉(左目)」。
見た目は正反対でも、その本質はどちらも「強者による搾取の成果物」であり、本人にとっては耐え難い重荷であるという一点で、二人は同調するようになる。

●8章以降・瞳の「防波堤」として
感情を取り戻したホンルが、自分の意志で世界を見ようと足掻き始めた時、ジュリアンはその左目に対して、深い慈しみを持つようになる。

●「美しい」という言葉の解禁

以前は自分に向けられるこの言葉を「解体価値」と変換して嫌悪していたジュリアンだったが、ホンルの瞳に対してだけは、別の意味を見出し始める。
それは仙人たちが喜ぶ「宝石としての美」ではなく、地獄のような家門を生き抜き、ようやく個として光を宿した「命の輝き」への敬意。

鴻園での過酷な道のりの中で、ホンルは次第に「喜怒哀楽」を取り戻していく。それは今まで麻痺させていた「痛覚」を再び繋ぎ直す、血を吐くような作業
今まで笑って受け流していただけのホンルが初めて本物の喜びを滲ませ、悲しみに声を震わせた時、ジュリアンだけは、その痛みを強く肯定する。
かつて裏路地の廃棄場で共に泥水を啜り、そして親友リュカの存在が、ジュリアンに「どんなに無様でも、人間として足掻いて生きる」ことの価値を深く刻み込んでいた。
だからこそ、感情というものを深く埋めてしまったホンルを、ジュリアンは絶対に見捨てなかった。

「痛いなら、痛いと叫べばいい。逃げたいなら、足がちぎれるまで走ればいい。キミの心は、きみだけのものだ。他の誰かの装飾品じゃない」
……ええ。ジュリアンさんのおっしゃる通りですね。僕も今なら少しだけ、自分のために怒ることの意味がわかる気がします」

ホンルは、その柔和で穏やかな表情こそ崩さないが、そこに確かな生々しい感情の重みが宿るようになる。
己の感情に少しずつ素直になったホンルがジュリアンの肩に頭を預けてきた時、ジュリアンは普段なら発狂するほど嫌悪するはずの「他者の体温」を一切拒絶しなくなる。
「ジュリアンさん。僕の家、少し騒がしかったでしょう? 嫌な思いをさせてしまって、すみません」
……ふん。騒がしいなんて生易しい言葉で片付けるな。キミの家門の連中は、全員脳の海馬から再構築し直すべきだ」
「ふふ、相変わらず手厳しいですね。……でも、ジュリアンさんのこの左側の傷も、僕が今まで見ないふりをしてきた、たくさんの痛みと同じだったのですね。僕の指で、少しでも楽になるなら、ずっとこうさせてください」
ホンルの静かな言葉とともに添えられた手から伝わる熱。それはかつてジュリアンを焼いた手術の熱ではなく、ただ「壊れた者同士が寄り添う」だけの、静かで確かな熱であった。
この鴻園での地獄を共に覗き込んだことで、ジュリアンのホンルに対する感情は「殺意に近い劣等感」から、「同じ地獄を這い上がろうとする共犯者への、異常なまでの執着と献身」へと、明確に形を変えていく。

●保護者としての行動

……ホンル。キミのその左目は、これからは私の計算結果だけを映していればいい。仙人だか一族だか知ったこっちゃない。キミの視界を汚そうとする不純物は、私がすべて解体して排除してやる」

ジュリアンにとって、ホンルの左目を守ることは、「かつて奪われ、守れなかった自分自身の尊厳」を取り戻す戦いにもなる

●バスの中での静かなる誓約
鴻園での全てが終わり、バスに戻った後の二人の距離感は、以前とは全く違うものになっている。

「ジュリアンさん。僕、最近胸のあたりが少しだけ、ズキズキするんです。……今まで、こんなことなかったのに」
「当然だ。今まで死んでいた神経を、きみが無理やり繋ぎ直したんだからな。痛覚があるのは、きみが素材ではなく人間になった証拠だよ」
「人間……。ふふ、なんだか、すごく重たいものになってしまった気がしますね。」

ジュリアンは自身の左側の、醜く蠢く肉腫を隠すこともせず、ホンルの隣に座り続ける。
ジュリアンにとってホンルは、もはや「神経を逆撫でする存在」ではなく、「自分がこの地獄を生き抜くために必要な、唯一の『不確定要素』へと昇華されたのだった。


●変化の兆し
バスに戻った後のホンルには、明らかな変化が見られるようになる。
以前の彼は、誰かに何かを言われれば「そうですね〜」「素敵な考えです」と、波風を立てないように相手の言葉をそのまま受け流していた。
しかし今の彼は、自分の心に触れたものに対して、はっきりと「自分はどう思うか」を口にするようになる。
ジュリアンはその様子を、バスの最後尾から静かに観察する。彼の演算能力は、ホンルの発言の微かな「重みの違い」を瞬時に解析できる

●小話
ある日の休憩中。ロージャは「あれ?いつも使ってる茶葉じゃないね。めずらし〜!ちょっと飲ませてよ」と、ホンルに問いかける。以前のホンルならば、「ええ、構いませんよ。」と譲っていたはず。しかし
……いいえ。これは譲れません」
ホンルは穏やかな笑みを浮かべたまま、しかしその瞳には、今までになかった「拒絶」の光が宿っている。
「これは、ジュリアンさんが僕にくれた紅茶ですから。たとえ僕の家にあったどんな名茶よりも、僕にとってはこの一杯の方がずっと価値があるんです」
ジュリアンは本を読んでいるフリをしながらその光景を眺め、同時に胸の奥で数値化できない奇妙な熱が広がる。
かつてジュリアンが、「そんなのは生きていると言えるのか」と彼を叱責したあの日。
自分の心を殺し、世界をただの「景色」として眺めていたホンルが、今、自分の意志で「これが必要だ」と選別している。その成長、あるいは「人間としての再起動」を目の当たりにし、ジュリアンは自身の左顔面のマスクを、無意識に緩めるような感覚を覚えた。

●保護者としての独白
ジュリアンは、自分がホンルに対して抱き始めている感情が、単なる同情や執着ではないことに気づき始める。
それは、泥沼の中からようやく芽を出した「命」を、何者にも踏みにじらせたくないという、一種の守護欲求……「保護者」のような心境

……ふん。あんな安い茶葉に価値を見出すなんて、キミの味覚もいよいよ演算が狂い始めたようだな」
戻ってきたホンルに、ジュリアンはわざと冷淡な声をかける。
しかし、その手は無意識に、ホンルのために新しい紅茶を淹れている
「あはぁ〜そうかもしれませんね。でも、ジュリアンさん。僕、今は自分の足でこのバスの床を踏み締めている感覚が、すごくはっきりわかるんです。……流されるのは、もうおしまい。僕の選ぶものが、たとえ非効率だとしても」
……勝手にしろ。キミが自分の意志で地獄へ進むというなら、私はそれを止める権利はない。だが、キミの演算が追いつかないほどの障害が現れた時は、私のこの余り物の知恵くらいは貸してやってもいい」
ジュリアンは、ホンルの頭にポンと、ぶっきらぼうに手を置く。
他人に触れられることを激しく嫌悪していたジュリアンが、自分から、それも慈しむようにホンルに触れる。
それはジュリアンにとっても、過去の「美しき解体対象」という呪縛から解き放たれ、一人の「保護者」として立ち上がった瞬間であった。

●今後の二人の光景
8章以降、二人はバスの片隅で、静かな時間を共有することが増えていく
ホンルが自分の新しい発見(「この前食べたお菓子は甘すぎました」といった些細な主張)を語るのを、ジュリアンは「非効率な報告だ」と毒づきながらも、一言も聞き漏らさずに聞き続ける。
互いの欠損を埋め合うのではなく、「自立し始めたホンルを、ジュリアンが背後から支える」という、健全で、それでいてひどく深い絆。
都市という冷酷なシステムの中で、彼らはようやく、誰の所有物でもない「自分たちだけの時間」を刻み始める

● 「演算の放棄」と「絶対的な信頼」
ジュリアンにとって、世界は常に「解析対象」であり、生存のための「計算式」だった。
しかし、意志を持ち始めたホンルの行動は、時としてジュリアンの予測を鮮やかに裏切るようになる。
以前のジュリアンなら、予測不能な事態に苛立ちを見せていたが、今の彼はホンルが突飛な(彼自身の意志による)行動に出た際
……やれやれ。計算外だが、キミがそう言うなら、私の数式の方を書き換えてやろう」
と、笑みを浮かべて受け入れるようになる。
「正解」を求めるのではなく、「ホンルの選んだ道」を正解にするために自分の知能を捧げる。これはジュリアンにとって、知性の敗北ではなく、究極の献身。

●「痛み」を共有する
二人の間には「痛み」を通じた深い繋がりが生まれるようになる
ジュリアンの左顔面の肉腫が暴走し、激痛に苛まれる夜。ホンルはそれを「可哀想に」と眺めるのではなく、自らジュリアンのマスクを外し、その熱を帯びた異形の肉に、自分の冷えた指先を這わせる。
「僕、知っているんです。痛い時は、誰かに触れてもらうのが一番の薬だって。……ジュリアンさん、僕を使ってください」
ホンルはジュリアンの苦痛を「自分のもの」として引き受けようとし、ジュリアンもまた、ホンルの家族から受けた精神的な呪縛を、自身の演算能力で「解体」し、論理的に論破し続けることで、彼の心を浄化する。
「お互いの傷口を塞ぎ合う」ことが、二人の日常のルーチンとなっていく

●「鏡」として
鏡を嫌い、自分の顔を呪っていたジュリアン。
しかし、ホンルの瞳の中に映る自分だけは、正視できるようになる。
ホンルがジュリアンの右側の瞳を覗き込み、「今日のジュリアンさんは、昨日よりも少しだけ、穏やかな色をしていますね」と笑いかける。

ジュリアンにとって、ホンルは「自分の醜さを映さない、唯一の鏡」となり
逆にホンルにとって、ジュリアンは「自分が『人形』に戻っていないかを確認するための、唯一の観測者」となる。

「キミが私を見ている限り、私は化け物ではないのかもしれない」というジュリアンの独白は、もはや恋という言葉では生ぬるいほどの執着となる。

●小話
……ジュリアンさん。僕が、ご老人方のように誰かを傷つけることでしか笑えなくなってしまったら……その時は、迷わず僕を止めてくれますか?」
ホンルの問いに、ジュリアンは彼の細い首筋にそっと指をかける。それは愛撫のようでもあり、急所を狙うメスのようでもあった。
……ああ。キミが個を捨てて、ただの空虚な素材に戻るというなら、その瞬間に、私の手できみを最も精密に解体してやる。一滴の血も、一欠片の記憶も、この都市の誰にも渡さない。それが私の、キミへの唯一の約束だ」
「ふふ、嬉しいです。ジュリアンさんになら、バラバラにされても、きっと寂しくないですね」
ホンルは満足そうに目を細め、ジュリアンの肩に深く顔を埋めます。
「愛している」という言葉の代わりに、「私が責任を持って壊してやる」という、歪んだ、しかし絶対的な信頼。

●今後の2人
二人は、戦場では背中を預け合うコンビとなり、バスの中では他者が介入を戸惑うほどの空気を纏うようになる
他の囚人たちが「あいつら、デキてるのか……?」と勘繰る中、ジュリアンは「非効率な推測はやめろ。私たちは、ただ同じ計算式を共有しているだけだ」と、耳を少し赤くしながら言い放つ


管理人への追加レポート

〈報告書:囚人ジュリアンの処遇について〉

彼は戦闘不能に陥る直前、自ら左側のマスクを外そうとする挙動を見せます。それは「自爆」に近い、細胞の暴走による無差別攻撃の予兆です。その際、ダンテ、貴方は時計の音を「あえて不協和音」に鳴らしてください。彼はその不快な音を演算することに意識を割き、自我を繋ぎ止めることができます。
また、彼が冷たい紅茶を飲んでいる間は、決して背後から声をかけないでください。氷の音が止まった瞬間が、彼の「過去」が現在に追いついた合図です。


 



以降8章後、囚人ジュリアンとしての掘り下げストーリーです
切磋琢春より少し前辺りの話として想定しています

​───────​───────​───────



●8章の残響
鴻園での物語が一段落した一行
ホンルは「喜怒哀楽」という痛みを取り戻したが、それを見守り続けたジュリアンの演算能力は、ある「致命的なエラー」を検知し続けていた。
それは、リュカを自らの手で解体した際に左顔面に突き刺さった、リュカの形見(銀のブローチ)の欠片
K社のアンプルによる強制再生のせいで、その金属片は皮膚の深層に、細胞の一部として「再生」し続けていた​

彼は自身の左顔面を覆うハーフマスクの下から軋む音を聞いていた。
鴻園での狂気。そこで目にしたホンルの「空虚な美しさ」は、ジュリアンの脳内に焼き付いて離れない。他人の痛みなど演算のノイズに過ぎなかったはずなのに、ホンルが初めて見せた「人間らしい微笑み」が、ジュリアンの左顔面の細胞を、かつてないほど激しく波打たせていた。
……不愉快だな」
マスクの下で、ドロリとした緑色の液体が溢れ出す。K社のアンプルがもたらす「強制的な再生」の衝動。それは、ジュリアンがかつて手放した「リュカ」という未練を、醜い肉腫として永遠に再構築し続けていた。
「ジュリアンさん、また計算違いですか?」
左側から声がした。だが、そこに立つホンルの瞳には、かつての空虚な光ではなく、ジュリアンの痛みを静かに観察する「熱」があった。
……キミのその暢気な顔を見ていると、私の演算回路が焼き切れそうだ」
不意に、ホンルの細い指先が、ジュリアンのマスクに触れる。以前ならその指をへし折っていたはずのジュリアンだったが、その指から伝わる微かな「震え」に、自分と同じ人間の体温を感じ、思わず動きを止めてしまった。

●忘れ去られた「廃棄場」の影
H社の管理する8区の裏路地
そこで、K社の社員がH社の人間と協業し「遺失した実験体」を使用した計画を企てていることをLCCBから通達を受ける。
ジュリアンは、かつて自分が捨て、そして殺したはずのリュカの「執着」が、まだその場所に渦巻いていることを感じ取る

●廃棄場
一行が辿り着いたのは裏路地の最下層。かつてジュリアンとリュカが「巣」を夢見た、鉄錆と泥の混じるあの場所によく似た空間。
そこには、K社の「秘密投棄場」が存在していた。そこから漏れ出すアンプルの芳香に当てられ、ジュリアンの左顔面はついに暴走を始める。マスクが内側から弾け飛び、露わになったのは、脈動する緑色の肉塊。
そして、その肉塊の中心に、かつてリュカを解体した際に取り込まれた「錆びた銀のブローチ」が、神経と血管に絡みついたまま、鋭い棘となって突き出していた。

……ああ、そうだ。私は……あの日、彼を救うための数式を書き換えなかった。自分の保身のために、彼を『捨てるべき過去』として処理した

肉腫の中から、リュカの声が響く。それはジュリアンの罪悪感が生み出した幻聴か、あるいはアンプルが再現した記憶の残滓か。

「ジュリアン……どうして、一人で行っちゃったの……?」
「黙れ! 演算は終わったはずだ! キミは死んだ、私が殺したんだ!」

ジュリアンが絶叫し、自身の顔を掻き毟る。だが、肉を削いでも、アンプルがそれを瞬時に再生させてしまう。死ぬことも、失うことも許されない。これこそが、ファウストが告げた「終わらない再生」の呪いだった。

●ひび割れた鏡の救い
「ジュリアンさん、止めてください」
荒い息を吐くジュリアンの前に、ホンルが割って入る。彼は、暴走するジュリアンの左腕、最早身体の半分をも侵蝕した緑色の肉触手と化したそれを、躊躇いなく抱きしめた。
「離せ、ホンル! キミが汚れてしまう……
「構いませんよ。僕の家では、心の泥を隠すために、綺麗な服を着せられていただけですから。今のあなたは、僕が知る中で一番、必死に生きようとしていて……とても、美しい」

「美しい」という言葉。かつては搾取の合言葉だったその響きが、ホンルの口から出た瞬間、不思議とジュリアンの脳内から毒気が抜けていく。
ホンルはジュリアンの右目、残された唯一の澄んだ藤色の瞳を真っ直ぐに見つめ、自分の左目を指差した。

「僕のこの目も、あなたと同じ誰かの都合で埋め込まれたものです。でも、今は……この目を使って、あなたを『ジュリアン』という人間だと定義します。数式の中の変数でも、解体される素材でもない、僕の隣にいる、ひどく偏屈で優しい人だと」

その言葉が、ジュリアンの中で膠着していた数式を破壊した。
……ああ。そうか。……私は、私を許したかっただけなのか」

●決別、そして人間の痛みへ
ジュリアンは、自身の右手に解剖用のメスを握らせた。だが、それは敵を殺すためのものではない。自分を縛る「永遠の未練」を切り離すためのものだ。
震える彼の傍からファウストが投げかけた
「ジュリアン。終わらない再生とは、肉体ではなく『未練』が細胞を縛っている状態を指します。あなたが彼を演算の駒ではなく、親友として完全に決別したとき、その再生は止まるでしょう」
 「あんな泥だらけのブローチが、私の演算をここまで狂わせていたとは。……リュカ、もうキミを計算式に組み込むのはやめる。キミは、私の記憶の中でだけ、静かに眠っていればいい」

「ダンテ、時計を鳴らせ。……再生のためじゃない。私が死を刻むまでの時間を稼いでくれ」

ダンテの時計が、重厚な音を立てて回転を始める。

ジュリアンは、自らの左顔面にメスを突き立てた。強制再生の熱が彼を焼くが、彼は構わずに、深層に根を張っていた「銀のブローチ」の核を掴み出す。
「キミとの約束は、ここで捨てる。……私は、泥の中ではなく、この狂ったバスの中で、地獄の先を見に行くことに決めたんだ」

ブローチが引き抜かれ、泥の中に落ちる。
同時に、ジュリアンの左顔面から緑色の光が失われた。アンプルによる強制再生が、ついに止まったのだ。
傷が塞がることはなかった。
そこには、赤く爛れ、ひどく歪な、しかし二度と勝手に増殖することのない人間としての傷跡が刻まれていた。



●物理的・精神的な「解体」
K社の技術であれば完治したはずの傷。しかし、ジュリアンはそれを選ばなかった。
「再生し続ける地獄」を拒絶し、「傷ついたまま固定される(=人間として止まる)」ことを選んだのだった。

●ジュリアンの変化
以降のジュリアンは精巧なハーフマスクを外し、代わりに、ホンルが調達してきた質の良い絹の包帯が巻かれている
「見るな」という拒絶から、「これは私の歴史だ」という諦念と受容へ。

●新しい朝の紅茶
数日後のバス内にて
ジュリアンは、ホンルから差し出された温かいカップを受け取る。湯気の中に、かつての手術の「熱」を思い出すことはもうない。
彼はふと、窓ガラスに映る自分を見た。
その隣には、当然のように自分の死角に座り、楽しげに今日の食事について語るホンルの姿があった。

「ホンル。キミのその左目の宝玉……。いつか、私が演算で解析してやろう。それがただの石ころだと分かれば、キミも少しは身軽になれるだろうからな」
「ふふ、それは楽しみです。ジュリアンさんの計算なら、僕、信じられますから」

ジュリアンは、小さく口角を上げた。
それは、かつて「裏路地に咲いた奇跡」と呼ばれた完成された美貌よりも、ずっと脆く、そして人間らしい、静かな微笑みだった。
彼の脳内を支配していた円周率のノイズは消え、今はただ、隣に座る青年の穏やかな呼吸の音が、新しい数式として刻まれている。

●管理人への最終報告書
ジュリアンの左顔面は、現在「非再生状態」にあります。これは彼が自身のトラウマを客観的な事実として受け入れ、肉体的な呪縛から精神を切り離した結果です。
以後、彼を褒める際は「精密だ」という言葉に加え、時折で構いません。「その傷は、キミが歩んできた証として、決して醜くはない」と伝えてあげてください。


​───────


以降、裏話もとい補足ストーリー

H社とK社、都市を代表する「翼」たちが手を組んだ共同計画。それは、単なる医療技術の向上ではなく、「永遠に損なわれることのない、感情を揺さぶる美の保存」という、都市の富裕層たちの歪んだ欲望を叶えるための非人道的なプロジェクトだった

H社・K社共同極秘プロジェクト
〇計画の全貌
K社の特異点と、H社の技術を組み合わせた共同実験。
K社の役割・肉体を無限に修復し、死を拒絶させる。
H社の役割・対象の「最も美しく、輝いていた瞬間」の記憶と感情を肉体に固定し、肉体が再生する際に、その「美の全盛期」の状態から1ミクロンの狂いもなく再構成させる。
つまり、ジュリアンは単に治癒が早い実験体ではなく、「持ち主(重役)が最も愛着を感じる瞬間の姿」に強制的に固定され続ける「生きた彫刻」として設計されていた

〇リュカに関する「重すぎる」真実
リュカは、単にジュリアンを追ってK社に身を売ったのではなく、H社の技術を成立させるためには、被験者の「美しさ」を定義するための
「観測者(愛着を持つ者)」が必要だった

 〇共鳴アンカーとしてのリュカ
 ジュリアンの細胞が再生する際、どの形が「正しい美しさ」かを決定する基準として、リュカの「ジュリアンを宝石のようだと思う情愛」の脳波が利用されていた
 〇銀のブローチの正体
リュカが泥の中に捨て、後にジュリアンの肉体に埋め込まれたあのブローチは、実はH社製の「感情共鳴受容体」だった。
リュカがジュリアンを想うたびに、ブローチを通じてジュリアンの細胞に「美しくあれ」という命令が飛び、強制的な再生を促していたのです。
リュカは地下で生かされ続け、ジュリアンへの愛着を強制的に増幅させられていた。彼がジュリアンを愛すれば愛するほど、ジュリアンの肉体は「完璧な素材」として再生し、重役たちに切り刻まれる時間が延びる……という、愛がそのまま拷問の燃料になる地獄。ジュリアンがリュカを「解体」した際、ブローチが皮膚に癒着していたのは、リュカが死ぬ間際までジュリアンへの執着を「抽出」され続けていた証拠だった

● 身体的特徴・再生の停止
ブローチを自ら引き抜いたことで、K社のアンプルはどの形に再生すべきか、という指針を失い、左顔面の増殖は止まる。
しかしK社のエネルギーが残留しているため、傷口は「常に受傷直後のような、生々しい赤みを帯びたまま固定」され続ける。


これは「完治」よりもずっと痛々しく、しかし「自分の意志で再生を止めた」誇り高い勲章となることでしょう


​───────


●戦闘開始・マッチボイス

戦闘開始 「観測終了。これより、非効率な生命活動の停止作業に移行する。」

マッチ勝利「計算通り。次は、その喉元を 3.5センチほど深く裂いてやろうかな?」

マッチ敗北「……っ、視界が……。私を、そんな目で見るな……!」

一方攻撃「動くな検体としての価値を損なわないうちに。」

スキル発動
スキル1「切断箇所を特定。痛みは、一瞬ですらない」
スキル2 「増殖を……止めろ……! 汚い肉が、溢れ出してくる……!」
スキル3 「ああああああ! 見るな! この顔を!」

初期E.G.O 残骸の蒼
ランク:ZAYIN
罪悪属性:沈鬱
攻撃タイプ:貫通

発動ボイス
「二度と、死ねない体にしてやる。永遠に、私の隣で腐り続けろ」

8章後
 「これはキミを置き去りにした罪。そして、私が私として歩むための傷だ。この醜い翼で、私は私の地獄を羽ばたこう」


【状態変化・特殊】
混乱時: 「……アンプルを……打たないでくれ……。もう、形が……自分の形が、分からないんだ……。」

死亡時: 「……ようやく、この肉を、捨てられる……。」

復活(ダンテによる巻き戻し): 「……時計の音。K社の針よりは、幾分か心地よい響きだな、ダンテ」

K社職員への攻撃
「その緑色の涙で、自分の罪も洗い流せると思ったか?」

●特殊イベント「除染室」
除染室の廊下を通っていたジュリアンの左顔面の細胞が、空気中の微量なアンプル成分に反応して異常増殖を始めている。マスクを抑えつけ、苦悶するジュリアン。
そこに、かつて彼を「収穫」していた研究員たちが現れる
研究員「おや、試験体13号じゃないか。その顔、まだ『鮮度』を保っているのか? 素晴らしい!我々の防腐処理は完璧だったという証拠だ」

分岐と選択
1. 冷静に分析する: ジュリアンが自ら喉元に抑制剤を打ち込み、理性を保つ。
 ⇒ 次の戦闘でジュリアンの攻撃威力増加、ただし最大HP減少。

2. 怒りに身を任せる: 仮面を半分ずらし、暴走した肉塊で研究員を蹂躙する。
 ⇒ ジュリアンが「パニック(混乱)」状態になるが、敵全員に多大な精神ダメージを与える

●戦闘スタイル / 武器
「解剖用メス」と「注射器型のスピア」
かつて自分を解体した手術道具を模した、皮肉な武器を使用する
戦闘スタイルは力任せではなく、緻密な計算に基づき敵の急所(あるいは装甲の継ぎ目)を的確に解体していく理知的な動き
しかし、敵が「美しさ」に執着する存在や、上流階級の傲慢さを見せた瞬間、冷静さを失い、相手の顔面を徹底的に切り刻むという猟奇的な戦い方に変貌する

●戦闘スタイルの変化
普段は冷静にメスを振るうが、追い詰められた際や感情が昂ぶった際は、自らマスクを外し、「暴走した細胞」を解放する
溢れ出した緑色の肉塊と筋繊維を異形の腕や刃のように変形させ、敵を貪るように攻撃する。
これは彼自身が忌み嫌う力でありながら、生き残るため、そして憎き上流階級を殺すために、血を吐くような自己嫌悪と共にこの力を使用する。

8章後
使用する武器や根本的なスタイルは変わらないが、己の左顔面を覆っていた肉腫が暴走することは無く、怒りに身を任せるような戦い方をしなくなる。


投稿にいいねする


© 2026 Privatter All Rights Reserved.