GLPより幻日の💜💛
以前に下書きにしたためていた海のお話。
🖥️💜、幻日側でも🖥️💛と🖥️💚と一緒に沢山笑っていて欲しい
@wiz_library
「海~!海だ~!!!」
砂浜を走りながら、ユウナギは弾む声でそう叫んでいた。
海。気が付くと、私とユウナギだけが海にいた。現実と変わらずしょっぱくて、どこまでも、どこまでも広がる水たまり。ただ、違うところを挙げるとするなら幻日の海はどこまでも、どこまでも青く澄みきっていた。
「…ユウナギ、遊びたいのは分かるけどまずはげし子を探さないと。」
「あ、そうだね!げし子ったらどこ行っちゃったのかな〜。」
目の前の海を見て、早速遊び始めようとするユウナギを私は止めた。ガラスミヤと訪れた森の時みたいに私とユウナギの二人だけ、ということもあるかもしれない。けれど、それでも探さない理由はないと思った。
そうして私たちは砂浜を歩き回ってみたけれど…。
「ミコト!魚!魚いるよ!」
「本当だ。澄んでるおかげか、結構見えるね。」
どこまでも広がる白い砂浜のどこにも、げし子の姿はなかった。
探すのに疲れた私と、飽きてしまったユウナギは結局海で遊び始めた。この澄んだ海にも魚や貝がいて、二人で綺麗な貝を探したり砂の城を作ったりしていた。
そしてユウナギは今、魚を素手で捕まえようと頑張っていて、深い方へと進みチャンスを待っているみたい。私は、ユウナギが腕や足をまくって何度も挑戦しては大げさに悔しがっているところをぼんやりと眺めていた。その心地良さはまるで夢を見ているみたいだった。
…本当に、全部夢なんじゃない?
晴れ渡る空に白い砂浜、青く澄んだ海。そしてそこで笑うあの子。ここが幻日とはいえ、あまりにも綺麗なその光景には現実感がわかない。しゃぼん玉みたいに、ふとしたきっかけでパッと消えてしまうような、そんな儚さを感じてる。…頭の中に浮かんできたとりとめのない考えに膝を抱きしめたくなった時、遠くから喜びの叫び声が聞こえてきた。
「ミコトー!見て見て~!獲ったど~~!!!」
ようやく魚を捕まえられたようで、ユウナギが遠くでその成果を持ち上げていた。
けれど、日の光の反射のせいなのか、それとも距離のせいなのか、私には魚がよく見えなかった。…ここからだと、魚だけじゃなくてユウナギの顔すら良く見えないことに今更気づいた。
「ユウナ─」
「うわぁ?!」
私が名前を呼ぼうとした瞬間、少し高い波が来て、それに足を取られてかユウナギがバッシャンと音を立てて派手に転んだ。
不安が、冷たく私の背中を撫でた。
「ユウナギ!」
名前を叫ぶより先に私は走り出していた。立っていた場所はユウナギの膝くらいの深さだから、溺れる心配は少ないと思う。
でも、さっきユウナギの顔がよく見えなかったことが私を突き動かした。このまま海にユウナギを持って行かれてしまいそうで。夢みたいに消えてしまいそうで。
ユウナギの元に向かいたいけど、水が邪魔をして上手く進めない。そのもどかしさから何度も名前を呼んでしまう。未だに起きてこないけど、ユウナギは大丈夫なのかな。もしかして─
「ぷはぁ!びっくりした~!」
「ユウナ─!」
私の不安とは裏腹に、ユウナギが海から顔を出した。そして、ちゃんといたことに安心してしまったからなのか、それとも足を取られながらも全力で走ったからなのか、次は私がユウナギの目の前で思いっきり転んでしまった。
「ミコト?!大丈夫?!」
「あ、うん…。」
身体を起こすと、ユウナギは転んだ私のすぐそばに来てくれていた。気づけば、お互いに濡れてびしょびしょになってる。髪型はお互いにぺったんこになってて、ユウナギなんて濡れた前髪のせいで前がほとんど見えてなさそう。
自分の髪の毛を直すより先に私の所に駆けつけてくれたんだって思うんだけど…
ぷっ…
「あっはははは!!!ミコトのアホ毛が無くなってる!!!おもしろーい!!!」
「ユウナギだって…!それ、ほとんど前見えてないでしょ?」
私たちはほとんど同時に笑い出した。今度は、ちゃんと見えた。元気で、明るくて、私に向けられた─私の大切な人の笑顔が。
「はあ〜あ、面白い!ねえ、次はどうしよっか?ヲモヒノカタチ探す?」
「ん〜、それも良いけど…。もうちょっと遊ばない?」
私の言葉を受けてユウナギはきょとんとした顔をした。いつも通り明るく「いいよ!」と即答されると思っていたので、私はちょっとぽかんとしてしまう。
「…ダメ、かな?」
しばらく無言だったユウナギは前髪をかき分けるといたずらっぽく笑った─と思ったら口の中が急に塩辛くなった。
遅れて水をかけられたんだって気づいて、顔の水を手で拭うとユウナギの笑顔が見えた。
「もちろんいいよ!遊ぼう!」
いつものように、子供みたいに笑っていた。
…その笑顔は好きだけど、さっきのはびっくりしたからね?そう思いながら、私もユウナギの顔に向けて水を思いっきりかけた。
「うわあ?!しょっぱい?!」
「お返し。」
「へへ、やったな〜?!」
今度はユウナギが足を使って水を蹴り上げてきた。手の時よりもずっと多くの水が飛んできて、思わず後ずさる。私も負けじと足で水を蹴る。水がお互いに当たってはしぶきになって、空中でキラキラと輝く。それがまるで存在の証明のように思えた。大丈夫、私たちはちゃんとここにいるって、そんな風に。そして笑い声が重なるたびに、喜び以上に安心が胸に広がった。
たぶん、あなたといるとこんなにたくさん笑えるんだって、そう思えたから。
収集都市伝説名:電子の海
いつかあなたと見たかったすべてがある海。