@tirichann
監督生から甘い匂いがする。何か香水をつけているのかと聞いても、そんな洒落たものはつけていないと言う。多分、異世界から来たことが影響しているのだろう。監督生の世界からやってきた人は、獣人族にとって甘く感じる香りを放つらしい。同じように惹かれている寮生を見て確信した。レオナは寮生を牽制しつつ、その甘い香りの虜になっていく。もっと嗅いでいたい、もっと近くにいたい。自分のものにしたい。香りではなく、監督生の虜になっている。平たく言えば、監督生が好きなのだ。
だがレオナは知らない。異世界人が獣人族にとって甘い香りを放つのは、異世界人が恋をしたからであることを。その甘い香りは、「恋をした相手以外の男獣人族」にしか感じ取れないことを。
レオナの恋は始まった時点で終わっている。レオナが監督生を好きになったのは甘い香りがしたからだが、甘い香りがしたのは監督生がレオナを好きではないからなのだ。そのことを、レオナは知らない。