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南雲にピンチを救われる話

全体公開 サカモト 758文字
2026-04-06 17:31:44
Posted by @tirichann

  目が覚めると、JCCの保健室にいた。私のベッド脇には南雲がおり、私を覗き込んでいた。手には携帯電話があり、私が目覚めるまで弄っていたことが想像できる。南雲は私が起きたことを認めてにっこり笑うと、膝の上で頬杖をついた。
「君を助けた男だよ」
 そもそも、何故私が保健室にいるのかから思い出さなくてはいけない。私は食堂で昼食をとろうとし、一口食べたところで気を失ったのだ。南雲がここまで運んでくれたのだろうか。それだけで「助けた」と豪語するのは少し大袈裟な気もする。
 私の視線に気付いて、南雲は話し始めた。
「毒殺科の女の子が君を僕の彼女だって勘違いしてね。毒を盛ったんだよ」
 嫉妬って怖いね。南雲は全くそう思っていなさそうな顔で告げた。南雲はおそらく、JCCの授業で習う毒を飲んだ時の応急処置をしてくれたのだろう。そうでなければ、毒殺科の毒を飲んだその日に目覚められるはずがない。
「そもそも何で勘違いなんか……
 私は南雲と親しくしていた記憶などない。ただのクラスメイトでしかなかったはずだ。南雲は「ん〜」と唸って前髪を弄った。特徴的な黒髪がさらさらと揺れる。
「僕が君に男を寄せ付けたくなくて僕の彼女だって言いふらしてたから」
 南雲の声に、私は言葉を失った。好意を告げるという意味でも、犯した罪を自供するという意味でも告白だ。南雲はそれを簡単にしてのける。まるで今日の天気の話をするみたいに。
「で、そろそろ君のピンチを救ったヒーローに惚れた?」
 私はそもそも南雲のせいではないかと思ったし、嫉妬で毒を盛るところまで予想して格好良く助けるために毒殺科を利用したのではないかとまで考えていた。何手先まで考えているのか、何を考えているのか全くわからない。この人に好かれた私に、逃げ場はないのかもしれない。


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