@tirichann
私の店にやってきた彼は盗賊だった。それも盗めないものはないだろうというくらい有名な盗賊である。欲しいと思ったものすべてを盗めるのだから、お金を払って何かを買う文化はあるのだろうか。逆にどういう場面なら、盗みではなく金を出そうと思うのだろうか。
彼、クロロに尋ねるとクロロは興味深そうに頷いた。
「オレはその店を応援したいと思ったら買うことにしてるんだ」
現在まで、クロロがうちの店から何かを盗んだことはない。私が気付いている範囲のことではあるが。
「お布施みたいなものだな」
「年中客なしで悪かったな!」
私の店はクロロに同情されてしまうほど売上が悪いように見えるのだろう。事実として、うちの景気は良くない。クロロは間接的にうちの店を貶したようになっていると気付いて両手を挙げた。降参のポーズだ。
「店のものを買って間接的にではなく直接的に支援させてもらえると助かる。生計を一緒にするとか」
「プロポーズで誤魔化さないで」
「本気で言ってるんだけどな」
クロロは私に好意があるのか、私の店を気に入っているのかわからなかった。ただ決まった頻度で店を訪れるクロロのことを、私は楽しみにしていた。