□自覚してからの二宮さんは動くのが早かった模様。周りの反応はおいおい。
@wtkotaji
ボールペンを贈ったのはお返しをする為だった。
少なくとも義務感でやっていた。
そう思い込んでいた。
だがそれは、受け取ったボールペンを嬉しそうに見つめて小さく笑った三雲修を見た瞬間消し飛んだ。
硬直して身体が動かない。
眼が離れない。
なんだコレはと痺れるような感覚に縛られていた。
「相手のことを考えて贈ったものを使って貰えるのは、思ったよりも嬉しいものだなと」
修の若草色の瞳が和らぐ。
それは、自隊の隊員にしか向けられるのを見たことは無いもので。
それが今、二宮が渡した物へ向けられている。
この年下の後輩が心から喜んでいることがわかった。
「…………、ちょっと黙ってろ」
無理矢理視界から修を剥がした。
思考が上手く纏まらない。
時間が欲しかった。
二宮の耳は熱くなっていたが、それすら気付いていなかった。
どうやらこの少年のことが好きらしいと気付いたことだけが、頭を占めていたので。
いってみよう、やってみよう。
二宮匡貴は、そうと決めたら割と早く動く男だった。
「三雲、付き合え」
「どちらにでしょうか」
「そんなボケはいらねぇ」
「はぁ、」
行き先を言わなくてもわかるだなんて思わないで欲しいなと、的外れなことを修は考えた。
二宮は自分の気持ちを自覚した。
数日ほどよく分からない感情に苛まれはしたものの、決めた後は早かった。なんと、修にストレートに告白したのである。
しかし直球で言っているのに何故か伝わらない上に、第三者という名の保護者や同じく修の横を虎視眈々と狙っていたらしい輩が後から後から現れ拗れる謎。今や三雲修以外の大体ボーダー隊員が二宮の感情を知っている状態だった。
「えぇと、今日はどちらに行かれるんですか」
声をかけられた修が、ちょっと微妙そうな顔をするのには理由があった。
二宮は修に告白をした。
何故それで伝わらないのかと思うくらいストレートな告白だった。
しかしそれで伝わらないなら仕方ないと、二宮は戦法を変えたのだ。
「図書館だ。戦術を学ぶ資料もそれなりにある」
「是非お供させてください、二宮さん」
ガラリと現金に態度を変え、修が意欲満々に二宮の後に続く。二宮の意図は見えなくても、修は成長に繋がる知識を得る場を逃す気はなかった。
分かりやすすぎる態度だが、二宮は取り敢えずはそれで良かった。妙な勘違いをして避けられるよりはマシだ。
一緒にいる時間を兎に角増やす。
単純接触効果、ザイオンスの法則である。
人は何度も会ったり見たり聞いたりすると、回数に応じて好感度が上がることがある。また、相手の人間的な側面を発見したときには、好感を持ちやすくなるという。
どうも修は二宮のことを勘違いしている節があるので、それを払拭させる為にも効果的だと判断した結果だった。
(鈍いなら、わからせるまでやってやる)
自覚した二宮は強かった。