@tirichann
長野での事件は、大和警部の死を偽装することにより上手くいった。その時、幼馴染であり彼と良い仲の上原刑事が泣き崩れたそうだ。もちろん作戦の内なのだろうが、僕は自分に置き換えて考えずにはいられない。僕が死を偽装しなければいけなくなった時、名前はきちんと泣いてくれるだろうか。僕に対してあんなにわかりやすい名前のことだ。僕が死んだというのに涙の一滴も流さず、普段僕にあれだけつきまとっているのにおかしいと偽装を疑われてしまうかもしれない。あるいは逆に、大袈裟に泣きすぎて演技を疑われるかもしれない。嘘でも僕が死んだら耐えられないとは名前の言いそうなことだ。僕は一緒に盗聴していた名前に尋ねてみることにした。
「僕が死を偽装するとなった時、お前はちゃんと泣けるか」
名前は何度か瞬きをした。「ちゃんと泣く」なんて、名前が僕の妻か彼女のように特別な仲だと保証されているのかのようだ。実際は名前の片思いにすぎない。名前は考え込んだ後、ふと口を開く。
「降谷さんは潜入捜査でも簡単に死ぬような端役に収まるような器ではないと思います」
「……ふっ」
きちんと場に合わせて泣くでも、嘘だろうと悲しすぎて泣きすぎてしまうでもない。どこまでも僕を好きな名前らしい回答に、思わず笑みが漏れた。
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