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ロディメガがカレーを作る話

全体公開 TF 4863文字
2026-04-21 01:17:06

タイトル通り。
平和時空なので皆いる。

概念遊びしてる女児向け着せ替えゲームでくまさんカレー作るロディメガ見れたので

ロディメガがカレーを作る話

大半の船員が寝静まった深夜と言ってもいい時間帯。本来であれば彼らも自室で休んでいる時間だと言うのに、船長室は未だ灯りが付いたまま。室内にはロストライトの共同船長が揃って仕事を片付けていた。

……ロディマス。経費が合ってない」
「あー……? いいじゃんそんな細かいこと。どうせ計算ミスか、誰かの無駄遣いだろ」
「それが問題だと言っている。さっきのデータパッドは何処にやった?」
「どっかその辺」

データパッドの山に埋もれて項垂れているロディマスに、メガトロンは何度目か分からぬため息を吐き出した。あまりにもロディマスが仕事を溜め込むものだから、メガトロンとウルトラマグナスでなんとか仕事をさばいていたのだが、頼みのマグナスがついに倒れてこの様だ。
カセットロンとしての経験から情報整理に強いラヴィッジも稼働時間が許容を超えてブレインがオーバーヒートし今は寝込んでいる。流石にメガトロン一人で捌き切れる量でもなく、ロディマスを見つけて拘束できたまでは良いのだが経費精算が合わずにこうして数字と格闘すること数時間。
何処で誰が何にロストライトの経費を使ったのか、一から洗って再計算を繰り返しているが何度やっても見つからない数字に、メガトロンもブレインの痛みに限界を感じ始めている。
これさえ片付けてしまえば残った仕事は大した問題ではないと言うのに。

……めぐすー、腹へったぁ」
「お前は……

痛む頭を押さえていれば、船長室に間抜けな音が響いてきた。エネルギー不足を知らせるその音はロディマスから聞こえてきたものだ。呆れてしまうが、暫くエネルギー補給も忘れていたことを思い出し部屋に常備していた携帯食を投げ渡す。

「これでも食ってろ」
「えー、これ味しねーじゃん。厨房行こうぜ。前買い出し行ったばっかだし、なんか食材あるかもじゃん」
「この時間に? あるとも限らんだろう」
「まあ細かいことはいいから、気分転換だって」

通常はエネルゴンをエネルギーとするサイバトロニアンだが、内臓されている動力炉によっては有機生命体と同じように経口摂取である程度のエネルギーを賄える。当然エネルギー変換率はエネルゴンとは比べようにならないほど低いために娯楽の一種でしかない。ロストライトに造られている厨房は殆ど船員は寄り付かないのだが、時折こうして暇潰しのように使う船員がいる。
渋るメガトロンを引き摺って、ロディマスは船長室を出ると先ほどまでのやる気の無さはなんだったのか、意気揚々と人気の無い廊下を進んでいった。



「それで? 思ったよりも材料はあるが、何を作るつもりだ?」
「俺、食べてみたいのあったんだよ。カレーって言うの。知ってる?」
「知らん」
「はは、だろうな。地球の飯だってさ。マグナスがヴェリティから教えてもらったって言ってて、ドリフトもなんか語ってたんだよ。スパイスがどうとかルーがどうとか? で、前の補給地点で取り寄せてたのが……お、あったあった! よかったー、食われてなくて!」

食糧庫から手あたり次第に食材を並べていくロディマスにメガトロンが問えば、知らない料理名が出てきた。棚の奥から隠していたらしいそれを取り出したロディマスは上機嫌に小さな箱を投げ寄越してくる。

「これは?」
「カレールーって奴。地球の奴に近いの探すの大変だったんだぜ? 取り寄せなのもあって馬鹿高くってさぁ。作り方、裏に書いてるだろ?」
……ロディマス。これは一体いつどこでいくらで何の金で買った?」
「ああ、小遣いじゃちょっと足りなくって、船の金少し借りたぜ。後でちゃんと返すって、怒るなよ」
…………領収書は」
「なにそれ」
………………まあ、いいか」

経費が合わない原因が見つかった気がしなくもないが。メガトロンも疲れていたのだろう。細かいことは流してパッケージの裏に目を通すと同時に、ネットワークにアクセスしカレーという料理について調べてみた。後から思えば、カレーに対する好奇心に負けていたのだろう。

……いくつか食材が足りないが、まあ代用できるだろ。ロディマス。私が切るから包丁は持つんじゃない。具材を選んでくれないか」
「おう」

明らかに料理慣れしていない包丁の持ち方を見て、即座にロディマスから凶器を取り上げる。代わりにロディマスが馬鹿をやる前に仕事を与えてやれば喜々として食材の山に向かっていくのを見届けた。こんな所でロディマスを好きにさせたら、最悪厨房が吹き飛びかねない。

気を取り直してロディマスから渡される食材を切りながら、ふと地球のネットワークから拾い上げたカレーの作り方に手が止まる。どうやら思った以上に奥深い料理の様で、味はもちろん隠し味や食べ方にまで多岐に渡る物らしい。中でも目を惹いた完成図に、ほんの出来心で包丁を入れる向きを変えてみた。
知らない根菜らしき植物を手渡され、地球のレシピの中から近しい食材を探して真似て切る。色味や形が多少違うことには目を瞑ろう。

「なんかメグス、料理慣れてね?」
「ん? ああ、そうだな。昔、少しはまっていた。400万年前のことだが」
「炭鉱夫時代ってことか? なんで??」

リズムよく切られていく食材にロディマスが疑問を持つのも当然だろう。手慣れた様子に首を傾げるロディマスにメガトロンは苦笑する。

「給金がな、賃金のこともあれば現物支給のこともあって……エネルゴンの代わりにこうして食材を配られたこともあったんだが、炭鉱夫に配られるものだ。質は悪い。そのままではまともに食べることもできなかったので、どうにかできないものかと試行錯誤していくうちに、だな。インパクターも美味いと喜んでくれたものだから……。まあ、メッサティーンからは料理とは離れていたのだが、覚えているものだな」
「ふーん。でもカレーは知らなかった?」
「当たり前だろう。料理と言っても、そんな大したものではないし。そもそもまともな料理を食べたことも無かったのだから全て創作だ。食えるか、食えないか、判断基準などその程度だぞ」
「そんじゃきっと驚くぜ。カレーは滅茶苦茶美味いって話だからな! ドリフトが熱弁してた」

メガトロンが切り分けた食材を鍋に放り込みながら、ロディマスは待ち切れないとばかりに笑いながら火を点ける。

「玉ねぎは飴色になるまで炒めるって話だけど、玉ねぎってどれ?」
「地球の食物だろ? この中にはないだろうし、火が通っていればいいだろ」
「そんな適当じゃドリフトに殴られるぜ」
「彼のカレーに対する熱意は何なんだ?」

そもそも飴色とは何色だ、と言い合いながら食材を次々鍋に入れていく。火の通りなども考えずに入れているが、煮込めば問題ないだろう。

「肉少なくない? もっと入れようぜ」
「ルー足りないだろ」
「もう一箱あるから大丈夫だって」

途中でロディマスが勝手に材料を足すものだから、どう見ても二人で食べるには多すぎる量になってきているのだがどうするつもりなのだろう。

「次どうするんだ?」
「水を入れてアクを取る。……既に色がおかしいんだが、食べられる物しか入れてないよな?」
「大丈夫だって。ここは食材しか置かないルールだから」

切ったはずなのになぜか成長して触手をうねらせている野菜や悲鳴を上げている物もあるのだが本当に大丈夫なのだろうか。見た目は地球産の物と変わらないように見えたのだが、火を通すと正体を現す植物とはいったいどこの惑星から仕入れてきたのやら。
アクを取り除くついでに熱湯から逃げようとする切れ端を鍋底に沈め、触手が動かなくなった頃合いに箱からルーを取り出していく。

「それ俺がやりたい!」
「何が楽しいんだ?」

メガトロンからルーを奪って、鍋の中に割入れるロディマスに何が楽しいのかと首を傾げながらそのまま鍋を混ぜてもらうことにする。ライスはパックの物があるから良いとして、飾りつけ用に残していた食材の準備に戻る。

「あ、ほら。すげーいい感じじゃね?」
「確かにこれは、腹が減るな」

途中緑や蛍光色に変色しながらも、最後はパッケージ通りに茶色に落ち着いたルーはスパイスの香りを漂わせて食欲を刺激する。食事ではエネルギー効率が悪いと分かっていても食べたくなる気持ちもわかる。

「そろそろいいかな」
「ああ」

ロディマスがルーを注いだ皿を受け取り、ライスを盛り付ける際に少し形を整え大きな丸を一つと小さな丸を二つ作って配置する。薄切りにした野菜や卵を置いて、顔を作ってやれば完成だ。見様見真似で作ったクマというキャラクターを模した皿は中々良い出来ではないだろうか。

「何これすげー!?」
「だろ? 地球のカレーを調べているときに見かけた」

当然ロディマスが喰いつかないはずがない。予想通りにはしゃぐロディマスにメガトロンも得意気に笑ってもう一皿を完成させる。
食べるだけの料理でわざわざ生き物を模して盛り付けるなど、人間は意味の分からない行動を取るが面白い。

「メグスって案外地球好きだよな」
「彼らの文化は好きだぞ? 動いているのが気持ち悪いだけで」

地球の詩集や小説はお気に入りだと告げるメガトロンにロディマスは乾いた笑みが漏れる。破壊大帝も随分丸くなったとは思うが、有機生命体嫌いは変わらない。流石は 機械至上主義テクノイズムの祖父とまで言われているだけある。

「まあいっか。冷めないうちに食ってみようぜ!」
「そうだな」

当然彼らにしてみれば料理の見た目など遊び心で組み立てものなので、何の戸惑いもなく盛り付けたライスを崩して口に運ぶ。

「うまっ! カレー美味いな!」
「これがカレーなのかは分からんがな」

確かに美味しい、とメガトロンもスプーンを運ぶ手を止められない。しかしいくら味が良くてもやはり作りすぎた。殆ど減っていないように見える鍋を見ると食べきれる気がしない。

「マグナスやラヴィッジに振る舞ってもまだ余るな……
「大丈夫大丈夫。カレーは寝かせるともっと美味くなるんだ」
……寝かせる? お前は何を言っている?」
「わかんねーけど。カレーは寝るんだよ。あと最後はうどんを入れてカレーうどんにするのが正しい食べ方だって。パンの中に入れてカレーパンにもできるとか、万能なんだよ、カレーは」
……頭が痛くなってきた。なんでもカレーを付ければいい物じゃないだろ」
「俺じゃなくてドリフトに言えって」

騙されているんじゃないのか、と再び地球のデータベースを漁って、本当に検索に出てきたカレーうどんとカレーパンの存在にメガトロンは頭を抱える。やはり人間は度し難い。

一皿では足りなくて、おかわりに再び皿にルーを注いで、今度はどう盛り付けようかと二人で試行していれば不意に厨房の扉が開かれる。起きてきた船員が匂いに釣られてやってきたのか、扉を振り返ればテイルゲイトが目を丸くしていた。

「あー! ずるいよ、二人で何食べてるの!?」
「やべ、見つかった」
「見つかって困る物でもないだろう。丁度良かった。君も食べるか、テイルゲイト」
「食べる! で、それ何?」

テイルゲイトを探しに来たサイクロナスに、騒ぎを聞きつけたホワールと。匂いに気付いたのか起きてきたラヴィッジに船長室が空になっていたことで二人を探しに来たマグナス。折角だからと医務室で当直担当だったラチェットにヴェロシティ、起きている船員を探してカレーを振る舞うと大鍋に溢れるほど作っていたカレーがすっかり空っぽになっていた。


翌朝カレーを食べ損ねたことにドリフトが本気で泣いてロディマスと喧嘩になっていたのだが、果たして彼が食べたかったのはカレーなのかメガトロンの料理だったのかは気付いたとしても誰も聞こうとはしなかった。


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