なんか群を抜いて桜が似合う気がする💙💚
Q.もう全国的に桜散ってないですかね?
A.4月なのでセーフということで(なんの回答にもなっていない)
@wiz_library
『げし子~!桜を見に行かない?』
先日かきょからこんな連絡がきた。かきょからのお誘いが来るのって割と珍しい。いつ以来?バレンタイン?ならそんな前でもないのか。
…いや、もう二か月経ってるんだ?!はは〜ん?さてはかきょってば、げしちゃん成分が足りなくなっちゃったんだな?ふふふ、かわいいヤツめ。どれどれ、返信はちょっと焦らしてやろうかね…なんてそんなことはせず、速攻で『Yes!LETS GO!』と返事をする私。大丈夫?これ、返信早すぎて気持ち悪がられない?なんて思ったけど、もうメッセージは送ったのだから後の祭りである。
『返事はやwwwじゃあ候補日あげるから行けそうな日教えて!』
ウケたみたいです。ホッとしたね。
「え〜?!めっちゃ綺麗なんだけど!!かきょってば、桜が似合いすぎ!」
「どう~?うまく撮れそ~?」
「まっかせて!!!」
いっぱいに咲いた桜が左右から枝を伸ばしていて、明るい桃色で満たされている並木道。少し甘くて、ふんわりとした春の匂いが目だけじゃなくて鼻でも桜の満開をアピールしてるみたいに感じた。
休日だったら桜を見る人であふれかえってたんだろうな~、なんて思いながら私たちは写真を撮っていた。まあ、今のところ写真を撮っているのは私だけなんだけど。だってしょうがないじゃん。かきょと桜は本当に絵になるんだから。たくさん写真を撮りたくなっちゃうんだもん。
「どう~?」
「待って!あとちょっと!」
本当になんでかきょと桜ってこんなに似合うんだろうね?色合い?服装?でもなんかそういうのを超えて似合ってる気がする…。きっと神様が、かきょのために桜を作ったんだろうね。そんなかきょと桜を最っ高の形で残したいんだけど…。
「う〜ん…?」
「げし子~?」
さっきからずっと上手くいかない…。う~んと、さっき撮った時はかきょがピンボケしちゃったからもうちょっと近づいて─。あ、その前に撮った時はここがいい感じだったからこの距離で撮ってたんだったっけ…。っていうかどういう写真を撮ってたんだったかな…。え~と、写真のファイルを見返して─
「げし子~?」
「イッ?!」
いつのまにか後ろにまわりこんでいたかきょは、写真のファイルが開いたケータイをひょっこり覗き込んできた。急に話しかけられたことも、画面を覗かれている事にもびっくりしたけど、いや、あの、そんなことより─
(近ぃ…!)
横にあるかきょの顔は呼吸の音まで鮮明に聞こえるくらい近い…。どうにか意識を逸らそうとしても肩に乗せられた頭の重みが他に逃げることを許してくれない。しかも、さっきまで漂っていた柔らかな春の匂いはいつのまにか全部かきょのさわやかな匂いに上書きされてる。
一つ、また一つと私の感覚がかきょのことに気が付く度に頭が沸騰しそうになる…。このまま本当に爆発しちゃうんじゃない?どかーんって。こんなパニック寸前の私の横で、かきょは私の撮った写真をスクロールしているんですけども。
「ん~、結構良さそうなのあるじゃん。これとかだめなの?」
え?なんでそんな自然体にお話し出来るの?こっちはもう緊張でどうにかなりそうなんですけど?!かきょがどんな顔をしているのか確認してみたいけれど、あまりの近さにそんな勇気は出ません。だって、もし横を向いて私の口が触れようものなら…。
「げし子~?」
「え、あ!いやいや!まだだめだよこんなの!かきょを撮ってるんだからもっといいのが撮れるはず!」
「え〜、これとか上手く撮れてると思うけどなぁ…。まだ撮りたい?」
「えっと…許されるなら…。」
私の言葉を聞いたあと、かきょはようやく離れてくれた。肩の荷が下りてほっとできたけど…うぅ、なんだか名残惜しい…。
爆発しそうだった私の頭も落ち着いてようやくかきょの方をちらりと見ることが出来た。どうやら少し離れた場所でスマホをいじってるみたい。かきょって一緒にいるときにあんまりスマホいじらないんだけど…もしかしてちょっと怒ってる?写真撮るのに時間かかってたしな…。もしかしてこの後の予定とか狂わせちゃったかな?
「あの…かきょ─」
「げ~し子!」
謝るより先に名前を呼ばれて、反応する間もなくぐいっとかきょに引き寄せられて─
パシャ
…柔らかいモノがほっぺに触れた気がした。それがなんだったのか分かったのはかきょがシャッターを切った後だった。
「ね~!見て!良さそうじゃない?!」
「ほえ…?あ、はい…。」
「ね!じゃあ、先行こ?今日はまだまだ予定あるんだから!」
急に撮られたことで頭がいっぱいになっていた私は、自分のほっぺをさすりながら曖昧な返事をしていた。おぼろげに見えた写真は仲の良さそうな二人が頬を寄せ合っていたことくらいしか分からなかった。
…え?私、かきょとほっぺくっつけて写真撮ったの…?
今更、本当に今更顔が熱くなってくる。触れたのは一瞬だったけど、その一瞬でも分かるくらいかきょのは柔らかくって、もちもちしてて…あ~!!!こんなこと考えるなんてなんだか変態みたいじゃない?!
っていうか!全然見えてなかったけどさっきの写真の私、すごい顔してるんじゃないの?!
「…かきょ?!佳鏡院さん?!ねえさっきの写真もう一回見せて?!私絶対に変な顔してるって!」
「え~?そんなことないよ?かわいいって。」
「それは私が見て決めるから!とにかく見せて!」
「やだよ~!」
べ~っと舌を出して桜並木を駆けていくかきょ。その瞬間がなんだかスローモーションみたいにゆっくりに見えた。私が写真として残したかった瞬間だって、そう思ったからかな?一瞬過ぎてカメラの用意が出来なかったけど、その一瞬は私の目によく焼き付いていた。満開の桜並木で私に笑ってくれていて、舞い上がった髪が躍動感を出していて、その隙間から見える真っ赤な耳が─
…ん?真っ赤な耳?
「…ねえ!ね~え!かきょだって照れてるじゃん!!」
「あ〜、うるさいうるさい。」
こういう反応をするときのかきょは大体図星だ。そして、かきょの照れは貴重なので存分にいじっておきたいところ。
そんなことを思いながら走っているかきょを追いかけた。でも、かきょはそんなに逃げる気がなかったのかすぐに追いつけたので、勢いそのままに腕へとぎゅ〜っと抱き着いてみた。
抱き着かれたことにちょっとびっくりしたみたいだけど、かきょは空いてる方の手で私の頭を撫でてくれた。嬉しい~!なんて思っていたらかきょのスマホの画面が目に入った。いつのまか待ち受けをさっきの写真にしてるんですけど…。早くないですかね?そして案の定、私の顔はあんまりかわいくなかった。う~ん…、まあ写真のかきょが楽しそうな顔してるしいっか。っていうか、この時点で耳赤いじゃん!かきょってばか〜わいい!
「ねえねえ、かきょ〜?」
「も~、なに~?」
「この写真さ、後で送ってね」
「あ、そっちね。いいよ~。二人に自慢するの?」
「ん~、それもいいけど…。」
それもいいんだけど…。かきょのその表情はちょっと一人占めしておきたいかも?だから─
「これは秘密にしておきたいかな。」
「二人だけの?」
「…うん。」
言ってて恥ずかしくなってきた。またちょっと顔が熱くなってくる。
「…げし子はさ、そういうところあるよね~。かわいいと思うよ?」
「え?!あ、は?うるさ!」
照れ隠しを言いながらかきょの方を向いた。…まだ桜の咲く季節だけど、私たちは熟したさくらんぼみたいになってるってその時気がついた。まだ始まったばかりのデートだけど、既に一生ものの思い出が出来ちゃったな!
後日、私はその日に撮ったいくつかの写真をSNSに上げた。そこには「仲良しだね」とか「かきょげし助かる」とかのコメントがよせられたけど…もっとすごい写真があるんだよな~、なんて優越感に浸っていた悪いげしちゃんなのでした。