□別れを告げる鳩原未来と。ちょこっと修正しました。
@wtkotaji
「二宮隊の皆のことは好きだよ。好きだからこそ息苦しくて。しんどかったなぁ」
何かを思い出しているのか、眩しいものを見るように眼を細める。辛かったという割には幸せそうな表情を浮かべている。
しかし、今の状況を思い出したのか直ぐに鳩原の虹彩は翳り、見えなくなった。
「だから雨取さんの傍は、呼吸が楽だったな」
もうそれしかないと、楽を選んだ。
隊の面々や、ボーダーの仲間が大切だったから。
「好きだから嫌われたくない。あたしは臆病者だから。雨取さんは別に何とも思ってないし、何の感情もないっていうか。うん」
どうでもいいとは流石に口に出来ないようだった。取りなすように妙に明るく、似合わない軽快さで話す。
「雨取さんは協力者で共犯者。同じ穴の狢だから。巻き込んで申し訳ないとか、あの人に対して罪悪感なんて欠片も持たないからね」
気の置けないなんて良いものでもない。
親愛なるひとでもない。
信頼はしていなくても、今までのことから信用は出来る。人としてではなく、近しい目的があるもの同士として。
「ごめんね、長々とあたしばっかり話して。時間ないのに」
ほんとだよと憎まれ口でも叩いてやりたいのに声が出ない。身体は重く、沈んだままだ。意識までぼんやりと消え失せそうで役に立ちそうになかった。
もう行くねと鳩原が立ち上がり、振り返りざまにわらう。
「さようなら」
晴れ晴れとした表情なのに、なんて似合わないのだろう。知らず涙が溢れた。
(あの夜の時と、同じじゃんか)
また明日と笑って手を振った。
それさえも、繕わなくなったのか。
鳩原未来にとっての、自分達の価値を思い知らされた気がした。
感情も言葉も整理できないまま、犬飼の視界は暗転した。