伯理夢
@tirichann
「大丈夫か?」
伯理は私の背中を恐る恐る撫でた。私の背中は多分真っ赤に腫れ上がっていて、もしかしたら骨にもひびが入っているのかもしれない。宗也が本気で殴ったのだから仕方ない。私を心配する伯理もまた、宗也に殴る蹴るの暴行を受けていた。
「辛いよな。でも俺達は二人だから一緒に乗り越えられると思うんだ」
麻薬中毒者が夢を見るように、あるいは希望に縋るように、伯理は自分や私が一人ではないことを強調する。私は伯理の仲間だと思っている。それを感じるたび、私は愉悦とも憐憫ともつかない何かを抱く。私は本当は宗也に嫌われても愛されてもいない。宗也は自発的に私を殴っているわけではないのだ。私が殴ってほしいとお願いしたから、その通りにしているだけだ。私が宗也に殴られたいと思うのは、そうすることで伯理と近づけるからだ。慰め合えるからだ。
宗也は伯理を愛しているから伯理を殴るし、私は伯理を愛しているから宗也に殴ってほしいとお願いする。私達の一族に愛情表現が上手な人はいないのかもしれない。伯理に心配そうな目線を向けられながら、私は俯いた奥でほくそ笑んでいた。