鶴丸国永から見た椿の星の話です
鶴→椿については「北極星夜咄」https://privatter.net/p/11724222や金打の誓いhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25652739などにちょいちょい出てきてます。
@fu_re_re_ra
「ね、あのね鶴るん」
「ん、なんだい?」
「鶴るんは、みっちゃんだいすきだよね」
「ん? 光坊かい? そうだなあ、ありゃ身体こそ随分でかくなったが、オレにとっちゃいつまでも愛嬌ある可愛い坊やだぜ」
「でね、伽羅ちゃんのことも大好きでしょ」
「伽羅坊かあ、ああ見えていっとう可愛げがあるからなあ。身内にとびきり甘くていつまでも無茶をしがちな、可愛い坊やさ」
「で、貞ちゃんのことも大好き」
「貞坊かあ、もちろん可愛い坊やだが、ありゃあんまり可愛がるとむくれるからなあ。意外に身内以外には懐かないんだ。可愛いだろう?」
でね、かしゅーのこともだいすき、だよね?
それまで当たり前の前提のように、照れるでもなく機嫌良く旧知を語っていた鶴丸は、それを聞くと「おっとぉ?」という顔をした。
「初期刀殿かい? ありゃさすがに光坊たちとは違うだろ。光坊みたいに甘やかしてくることもなきゃ、伽羅坊みたいに当然の顔して身内扱いしてくることもなきゃ、貞坊みたいに大っぴらに懐くでもない、オレにくれるのは拳骨ぐらいだぜ?」
「でもだいすき、だよね?」
ナイショなの?
こてん、と小首を傾げた彼女が、透き通ったまっすぐな瞳でじっと鶴丸を見上げたまま、よく回る口にもさっぱり誤魔化されてくれないので、鶴丸はやがて、じわじわと苦笑を広げた。
きっと、いくらでも誤魔化しようはあったはずだが
他ならぬ彼女の言葉だからこそ、鶴丸はそれを選ばなかった。
「あー、どうしてそう判断したのか、聞いていいかい?」
「だって、時々、すごくまぶしそうに見てるから」
絶対かしゅーに見えない所から
時々、すごくまぶしい夏の陽射しを見るみたいな
そんな眼でまぶしそうに目を細めてるから
でね、みっちゃんのことも伽羅ちゃんのことも貞ちゃんのことも、たまーにまぶしそうに見てるでしょ
だから、かしゅーのことも、違う形でだいすきなんだなあって
そう思ったんだけど、違った?
「あー……きみはほんとうに、よく見てるなあ」
驚いた驚いた、と
鶴丸はまるで、やべ見つかった、とでも言うように、いたずらめいて笑った。
「別に隠しちゃいないが、わざわざ知らせるもんでもないだろ。特にあれには」
「かしゅー、気付いてないと思うな」
「それでいいんだよ」
「ん、そっかぁ」
彼女はそれだけ確かめて二度頷くと、不思議とそれ以上は聞こうとすることなく
ただ目を細めて、それこそひどくまぶしそうに
大切そうに、愛おしそうに、抱きしめるみたいな微笑みを胸に仕舞うだけだった。
鶴丸は視線を流して頬を少し掻くと、
結局、最終的に、ひと言、これだけ告げ残した。
まあ、あの一等星がきみを信じたから、きみとオレはこうして絆を結べたんだ。
今みたいにきみの隣にはきっといられなかった。そいつぁ、感謝してるさ。
《この本丸の椿星》