黒い九尾の妖狐獪岳×人間ショタ善逸
獪🦊の嫉妬のお話
⚠️
獪岳に嫉妬させる為に炭治郎くん登場させました。(炭治郎ごめんね。)
そんな獪岳を叱る役はチュン太郎くん(うこぎ)です!
いつもの如く獪岳が善逸を甘やかしています!
何でも許せる方向け!
@kraz930131
初めて友達が出来た。名前は竈門炭治郎。太陽みたいにとにかく明るくて真っ直ぐなやつ、俺の金髪も聞こえすぎる耳も否定しないでくれた。
受け入れてくれた人は獪岳と炭治郎だけ。
パン屋さんの子でいつも学校が終わったらお店の手伝いをしてるみたい、兄弟も多いみたいだから大変らしい。
「いつでも来てくれ!うちのパンは美味しいから!」
ちゃっかり宣伝をされてしまった。
獪岳一緒に行ってくれるかな?でも友達に会いに行くのに獪岳に付き合ってもらうのもなぁ…
結局1人でパン屋さんに行く事にした。
大きい看板に「かまどベーカリー」と書いてある建物を見つけ、恐る恐る入ると炭治郎がパンを運んでいた。
「炭治郎!」
「善逸!来てくれたのか!待っててくれ!今いくから!」
炭治郎はパンを棚に並べると俺のとこに来てくれた。
「来てくれてありがとう!嬉しいよ!上がってくれ!」
そう言われ、お店の裏側に案内された。お店兼自宅らしい。
家にお邪魔させてもらうと
「パン作り体験会」
そんなチラシを見つけた。
「炭治郎!これ、俺でも出来る?」
「あぁ、出来るよ!」
体験会と書かれた文字の下に
「手作りパンで大切な人に日頃の感謝を伝えませんか?」
と書かれていて、その文章に釘付けになった。
「善逸も大切な人にパンを送るのか?」
「う、うん。」
俺が大切だと思う人はもちろん獪岳だ。
「きっと喜んでくれるよ!」
「そうかなぁ…俺あんまり好かれてないかもしれないし…」
自分で言っておきながら胸がツキンとする…
「日頃の感謝を伝えるのが大事なんだ!どんな人なんだ?その人に合ったパンを一緒に考えよう!」
獪岳、俺が大好きな狐の妖様、そりゃもう結婚したいくらい。この気持ちはあのお祭りの日からどんどん大きく膨れ上がっている。カッコよくて、無愛想だけどたまに笑った顔が素敵で、優しくて、いつも俺を沢山喜ばせてくれる。俺はまだ子供だから何も返せないのが正直悔しくて…
だからせめて俺が作ったパンで日頃の感謝を伝えられたらいいな。受け取ってくれるかな…
カスが来ない、あんなに毎日通い詰めていたのに。
うるさい奴が来ないのは良い事だ、なのに、何故こんなに落ち着かないんだ。
…ただ散歩に行くだけだ、決してカスが気になっている訳ではない。
いつぞやの黒い子狐に化け出掛ける。
森を抜け暫く歩いていると見覚えのありすぎる金髪を見つけた。
よく見たら誰かといるようだ。アイツと同じくらいの背丈の男子。
そういえば友達が出来たと喜んでいたな。
楽しそうに笑っている、年相応の子供らしい笑顔。俺に向ける笑顔とは違う。
それを見て何故かイライラしてきた。
胸の奥がチリチリする。
そしてアイツはあろう事か友人とやらに大好きと言いながら抱き付いた。
それを目撃した俺のイライラは頂点に達して気付けばアイツに近づいていた。
「あ!いつかの狐さんだ!」
「善逸、知ってるのか?」
「前に1回だけ会った事があるんだ!黒い毛並みに緑の瞳が可愛いでしょ?」
「そうだな!でもその子、すごい怒ってないか?」
「え?」
そう、俺は今すごい怒っている。
「ど、どうしたの狐さん、何で怒ってるの!?」
俺が怒っていると知ってカスはオロオロし始めた。
前のように俺を抱き上げようと手を伸ばしてきたが、猫パンチならぬ狐パンチで振り払った。
突然の拒絶にカスの顔は一気に青褪める。
その顔を見てハッとし、流石にマズイと思いその場を離れる。が、カスは追いかけてきた。
「待って!」
何で追いかけてくるんだよ、お友達はどうした。
「ねぇ、何で怒ってるの?」
前のように抱き上げられる。
初めて会った時から幾分か成長したその姿はこの子狐の目線からは遠く感じた。
もう隠す意味もない。
カスの腕から抜け出てポンッ!と弾ける音と共に元の姿に戻る。
「うわ!」
カスは驚き咄嗟に目を瞑る。再び奴が目を開け、その蜂蜜色の目に映ったのはいつもの俺の姿だ。
「え…?え!?何で!?獪岳!?」
まぁ混乱するのも分かる。
「嘘…じゃぁ、あの狐さんは獪岳だったって事!?うわ、うわぁぁ!!」
初めて子狐の姿で会った時の会話を思い出しているのか顔を真っ赤にしているカス、だが今の俺はそれどころではなかった。
「テメェは…ああやって誰にでも大好きって言って抱き付くんだな。」
「え?」
「独りぼっちで寂しい時にたまたま俺と会っただけで誰でも良かったんだな。」
「そんな…違うよ獪岳!俺は!」
「もういい。」
善逸の顔を見たくなくてアイツが何か言いかけたのを聞かずにその場から離れてしまった。
あんなガキに嫉妬するなんて本当にどうかしている。大人気ないのは分かっているが抑えられなかった。
「チュン!」
「痛ってぇ!何だ!うこぎ!」
いきなり雀に頭を突かれた。
コイツは何故か俺に懐いてしまった雀、名前はうこぎらしい。
「チュンチュン!!」
「…んだよ、分かってんだよ。俺が悪い。」
「チュン!」
「ならどうすればいい、俺はそういうの知らねぇんだ…」
「チュンチュン。」
「本当にそれでいいのか?」
「チュン!」
「…分かった、準備するからアイツを連れてきてくれねぇか?」
「チュン!」
任せろ!と言わんばかりにバサバサと羽ばたいていったうこぎを見送る。
「さて、準備するか。許してくれるかわからねぇが…」
うこぎ曰く、美味しいご飯を一緒に食べれば仲直り出来るらしい。
善逸と仲直りをする為に食事の準備に取り掛かる事にした。
「どうしよう!嫌われちゃったよぉ!俺生きていけないよぉ!!」
獪岳に嫌われてしまった俺は先程別れた炭治郎に泣きついた。
「子狐を追いかけて行ったんじゃないのか?何で嫌われるんだ?善逸、一体何をしたんだ!?」
さりげなく精神攻撃してくるのやめて…
「わからない…すごく怒ってて…話聞いてくれなくて…」
先程の獪岳とのやり取りを思い出し、わぁ!!と声をあげて泣いてしまった。
「善逸!今すぐパンを作ろう!出来上がったらすぐ持っていくんだ!」
「え?遅くなっちゃうよ…?」
突然の炭治郎の提案にさすがに申し訳なくなる。
「そういうのはなるべく早く仲直りした方が良い!」
「でも…受け取ってくれるかな…」
「その人の為に一生懸命考えて練習してたじゃないか!大丈夫!受け取ってくれるさ!」
「…うん!頑張る!」
獪岳の為に作ろうと思っていたパンを作る為に
急遽、体験会は開催された。
獪岳の事を考えて炭治郎にアドバイスを貰いながら作ったレシピを見ながら丁寧に作業をしていく。
「出来た!」
「お疲れ様!早く行って仲直りするんだ!」
「でも…」
「片付けとかはやっておくから!早く!」
「ありがとう炭治郎!今度お礼するからね!」
あぁ、なんて良い奴なんだ、初めての友達が炭治郎で良かった。獪岳の事も何も聞いてこないのはありがたい、いつか話せたらいいな。
炭治郎の家を出て獪岳の元へ急ぐ。
外は夕日が沈み、もうすぐ夜になろうとしていた。
「チュンチュン!」
いつもの道を走っていると雀がバサバサと俺に向かって飛んできた。
「え?雀?」
雀は俺の服を小さい嘴でクイクイ引っ張る。
「もしかして付いてこいって事?」
「チュン!」
なんで?俺獪岳の所に急いで行きたいのに…
雀が飛んでいく方向…もしかして…
獪岳の元へ続く道を雀は飛んで行く。
屋敷に着くと雀は庭の方に回って行き、そのまま追いかけると彼の姿がそこにあった。
「うこぎ、ご苦労だったな。」
雀は獪岳の手の上に止まり「チュン!」と元気よく鳴く。
「獪岳!」
名前を呼ぶと獪岳はこちらに向き、俺を見下ろす。辺りはすっかり夜になってしまっていたから獪岳は夜の顔になっていた。
黒く染まった眼の真ん中にある深緑の瞳が俺を真っ直ぐ見つめてくる。
獪岳から不安な音がする、いつもは冷静な彼が動揺しているようだ。
「善逸、昼間の事だが…」
「ごめん!!」
獪岳が何か言う前に俺から話をする。
「正直、獪岳が何で怒ってるか分からない、分からないのに謝るのはダメなんだけど…でも獪岳に嫌われたくないんだ、仲直りがしたい…」
涙がじわっと出てきて思わず下を向いてしまう。
2人の間に沈黙が流れる、それを破ったのは獪岳だ。
「善逸、顔をあげろ。」
恐る恐る顔を上げると獪岳は俺に目線を合わせる為にしゃがんでくれていた。
「謝る必要なんて無い、全部俺が悪い。」
「そんな事…」
「いいから聞け!」
自分の言葉が遮られて身体がビクッとしてしまった。
「お前はいつも俺に大好きと言って抱き付いてきていたな、悪い気はしなかった。人間は嫌いだがお前は信用していい、そう思った。お前に友達が出来たのは良い事だ、仲良くして欲しいとも思う。」
獪岳は大きく息を吐く。
「お前がその友達に大好きと言って抱きついていたのを見て無性に腹が立った。怒りが頂点に達してお前を傷付けてしまった。だから…その…すまなかった。」
獪岳が俺に頭を下げている…!とても不安そうな音。
頭の狐の耳がしゅんってなっててちょっと可愛い…じゃなくて!
「獪岳、もう怒ってない?」
「あぁ。」
「俺の事嫌いにならない?」
「ならない。」
「よかったぁ〜!!」
ぐぅぅ〜〜…
「…ふはっ!テメェはすぐ腹を鳴らすな。」
「ちょっ!笑わないでよ!安心したらお腹空いちゃって…俺嫌われたのかと思ってすっごく落ち込んでたんだからね!」
「あぁ、悪かった。飯食ってけよ。」
「獪岳のご飯?やった!そうだ!」
かばんから先程完成したばっかのパンを取り出して獪岳に差し出す。
「これ、友だちの家がパン屋で作らせて貰ってたの。手作りパンで大切な人に感謝を伝えようって。俺の大切な人は獪岳だから。ねぇ、食べてよ!」
「今か?」
「うん!」
獪岳が袋を開けると中から茶色いハート型のパンが出てきた。
「ハート型ってお前なぁ…」
「いいじゃん!感謝の気持ちだもん!」
一口齧ると獪岳は驚いたように大きい目を見開いた。
「これ…」
「いつも甘い物食べる時「甘ぇ。」って言うでしょ?だから甘さ控えめにしてコーヒーパウダー入れてみたんだ。どう?美味しい?俺が獪岳の事考えて作ったコーヒーパン!」
「美味い。」
素直に感想を言わない獪岳が美味いって言ってくれた!頑張って作って良かった!
「これ、友達がアドバイスしてくれたんだ。甘いの好きじゃないかもって言ったらコーヒーパウダーで甘さを控えめにしたらって。」
「一緒に居た友人か。大切にしろよ。」
頭にポンッと手を置かれる。それだけで俺の心は弾んでしまう。
炭治郎に嫉妬したって事は獪岳も俺の事好きって事?好きになってくれたのかな?
なら1番伝えなきゃいけない事がある。
「うん、大切にするよ。炭治郎は初めて出来た大切な友達だもん。でも、俺が1番大切で大好きな人は獪岳だからね!」
「…そうかよ。」
チリン
また獪岳の嬉しい時の音が鳴った。
この鈴のような音がなると俺も嬉しくなる。
屋敷の中に入ると食卓には海苔巻きと稲荷寿司が並んでいた。
「美味しそう!俺の為に作ってくれたの?」
「…そうだ、お前と仲直りしたくて、でも俺はそういうの知らねぇから…」
「チュン!」
窓に先程の雀がちょこんと座っている。
「さっきの雀?」
「うこぎだ。そいつが教えてくれた。一緒に飯を食えば良いって。」
「そっかぁ、君うこぎっていうの?俺達の為にありがとね!」
「チュン!!」
雀にお礼を言うと嬉しそうに元気よく鳴いてバサバサと飛んでいった。
「頂きます!」
改めて、獪岳が作ってくれた稲荷寿司を口に入れる。
揚げにしっかり味が付いていて中の寿司飯との相性がすごく良い。
海苔巻きはきゅうりや干瓢など定番だが優しい味付けで食べやすい。
獪岳の料理を食べれるのが嬉しくて俺は涙が止まらなくなってしまった。
「おい!どうした!?美味くなかったか!?」
さすがの獪岳も俺が泣き出したからかなり動揺している。
「違うよぉ〜!!美味しいよぉ〜!!獪岳が仲直りする為に作ってくれたのが嬉しくてぇ!うえぇ〜ん!!」
ポロポロ涙を流して泣いていると獪岳が手拭いで涙を拭いてくれた。
「ちゃんと拭けよ!汚ねぇな!」
「ひどい!でもありがと〜!」
食卓には獪岳が作った稲荷寿司と海苔巻、獪岳の目の前には俺が作ったコーヒーパン。
誰かとご飯を食べるのは楽しいし美味しい、それが大好きな人が一緒なら尚更。
不思議な組み合わせだけど俺にとってそれは幸せの形をしていた。
いつか獪岳と毎日こうやって食卓を囲んで食事が出来るようになりますようにと願いながら稲荷寿司をまた口に入れ頬張った。
「そういえば!あの黒い子狐が獪岳だなんて聞いてないよ!」
「言ってねぇからな、見事な化け狐だったろ。中々の見物だったぜ?緑の瞳が綺麗だとか「わーわーわー!!!」
もうやめて!恥ずかしぬ!
キッと獪岳を睨むとクツクツと笑っていた。
その笑顔にきゅんとなってしまったのは言うまでもない。
善逸に嫌われてしまったかもしれない、それがこんなに堪えるなんて想像していなかった。
一緒に居た友人に嫉妬してしまった理由なんて1つしかない、俺はこのカスの事を…
人ではない俺と居るより善逸にはそのまま仲間と一緒に陽の光の下で暮らしてほしい、だから認める訳にはいかない。
と思うのに…俺はコイツを手放すのが怖いと思う程、絆されてしまったようだ…
目の前のカスは稲荷寿司を口の中に詰め込んでほっぺがパンパンになっている。リスか。
アホみたいに幸せそうな顔しやがって。
まぁ、このカスの幸せそうなアホ面を眺めるのも悪くない。
「獪岳、何笑ってるの?」
「テメェのリスみたいにほっぺをパンパンにしたアホ面が面白くてな。」
「はあぁぁ〜〜!?」
のちに夫婦?番?になる2人のお話