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第146回AKRNワンドロ -30分

全体公開 48 855文字
2026-06-07 10:58:09

お題「ホタル」「スキップ」「坂道」をお借りしました。(現パロ/二人とも大学生の設定)

ホタルを見に行こう、と杏寿郎から言われたのは五月の中旬のことだった。大学は休みだというのに、真面目に朝から大学の図書館で待ち合わせ。字が汚い教授の授業の板書を見せ合って苦笑いしたり、必修単位の課題のレポートに必要な文献を借りた後、ちょっと休憩しようと入った学内のカフェでおもむろに。
梅雨時の屋外なんて蚊も出てくるだろうし、そんなもの見に行ってどうする。俺はいいから弟と二人で行ってこい、などと言いかけた時。
「ホタルを見られるピークは、午後八時から九時らしい」
免許を取りたてで夜の運転は危ないし、車じゃないにしてもその時間の電車やバスは本数もないだろうから……と杏寿郎が見せてきたのは旅行予約サイトの予約履歴の画面だった。無料キャンセル期限は明後日、君の予定はどうだろうかなどとしれっと言う。それをはやく言え、と思いながらも突然の宿泊デートの誘いに目を白黒させて。
(これはもう、アレしかないだろう)
ホタルの観賞会と聞いて即座に断らなくて良かった、と思いながら杏寿郎を見る。自分がなかなか返事をしなかったのが悪いが、さっさと宿泊予約のキャンセルボタンを押そうとするから思わず小さく叫んで。
「行く。這ってでも行く」
「アルバイトの予定はいいのか」
「次のシフトの時に来月の希望を聞かれるから、大丈夫だ」
「そうか。君がバイト先でモテているから、少々焦ってしまったな」
元々夏になったら花火大会にかこつけて、杏寿郎との泊まりデートを提案しようと思って張り切ってファミレスのアルバイトのシフトを入れまくっていたのだ。モテているかどうかは自分ではさっぱり分からないが、杏寿郎が嫉妬してくれたのなら御の字か。
一気にアイスコーヒーを飲み干すと、通用門までのゆるい坂道を駆け降りていく。気持ちが沸き立ちすぎて、思わずスキップなんてしていたら。
「素山、煉獄、レポートは大丈夫か?」
すれ違った教員に親指を突き立てるポーズをすると、休日だというのにきちんと挨拶をしようとしている杏寿郎を引っ張って逃げていくのだった。


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