@sanuta0721
マイドンデリバリーサブストーリー②
時系列としては、追スト前。
メンバーはシグキンと氷虎、オツキン
依頼者はフワンソワ卿。依頼内容は、パシリアンの上役達による会議の為の食事を配達。
プロローグはJackとシグキンとの会話から始まる。
Jack「なぁシグキン…『白濁教』に入らないか…?」
シグキン「白濁…?汚ねぇ名前だな」
Jack「なぬー!?わきまえろよボンクラが」
シグキン「お前の入ってた宗教は『出会い教』じゃなかったのか?名前でも変えたのか?」
Jack「出会い教はあいつ(マリキン)がデアエールをぶっ飛ばした後に即解散されたよ」
「出会い教はもうオワコン。今は白濁教の時代さ」
「我が教会に入っただけでチヤホヤしてくれるし、飯も食わしてくれるし、電気ガス水ギガ使い放題は勿論。なんならお金も貸してくれる」
シグキン「…は?」
シグキンは毛のない眉をひそめた。明らかに怪しい…
シグキン「Jack…悪いことはいわねえから、早く抜けた方がいい」
Jack「バキャキャカ!!(馬鹿か!!)」
食い気味で唾を飛ばしながらJackは反論した。
シグキン「汚な…」
Jack「こんなにも我を親切にしてくださる人達との関わりを何で断ち切らなきゃならない!?!?!?」
「おん!?シグキン…もしや我に嫉妬してるな?可愛い奴め…でも大丈夫だぞ」
「あそこの宗教は我らのような白ハゲを『御神体』と呼んでもてはやしてくれる」
Jackが口にした「可愛い奴め」にとっさに拳が飛びそうになったが、余りの話の胡散臭さが突っ掛かった。
しかし、一旦冷静になったシグキンはこう思った。Jackがどうなろうと俺の知ったこっちゃ無い。Jackが美味しい話に釣られて痛い目に遭う話はこれまで何回も聞いてきた。どうせまたコイツがボコボコにされて借金背負って話が終わる未来が目に見えていた。
シグキン「そうか…だが、俺は白濁教には入らない。そこの信者達と勝手によろしくやってな」
シグキンは後ろを向いて右手をゆっくりあげてJackに別れの合図をして、ゆっくりと歩いてその場を後にした。
Jack「むう…そうか。でも入りたくなったらいつでも歓迎するからな〜!!」
Jackはそう大声を出しながら呑気に手を振った。そして、段々と小さくなっていくシグキンの背中を見つめていた。
マイドンランチのデリバリーが始まってからしばらく経ち、シグキン達もこの仕事に慣れ始めてからある事件が起きた。それは、名門校であるフワンソワ学院の学院長であるフワンソワ卿によるシグキンに対する直々の招集命令であった。
シグキン「んで…飯屋の代わりに飯配ってるだけなのに、お前らの所の学院長に呼ばれなきゃなんねぇんだよ」
オツキン「わからん…でも、とにかく呼ばれたんだから行くしかねぇだろ!!…まさかシグキン、飯と一緒に学院に対する根も葉もない噂を流したんじゃないだろうな…!?」
シグキン「んなことする意味がどこにあんだよバカかっ!!」
氷虎「…とにかく、学院のOBである俺たちも付き合ってやるから道中、何をしでかしたかちゃんと思い出すんだ。それから謝罪の言葉もちゃんと考えておくんだぞ!!」
シグキン「だから何もしてねぇっつてんだろ!!!!」
シグキンはオツキンと氷虎の二人に連行される形で学院に連れてかれる。
<フワンソワ学院 学院長室>
フワンソワ「わざわざここまで来てもらってすまないな」
氷虎「いえいえ、とんでもありません。寧ろ謝罪しなければなりません」
フワンソワ「謝罪?」
オツキン「えっ…またこの馬鹿者が学院長殿に何か狼藉を働いたのでは…?」
シグキン「また…ってなんだ俺はまだ何にもしたことねぇぞ」
フワンソワ「いやいやそんな事はない。今回ばかりはある頼みがあって来てもらった」
シグキン「ほら言っただろ!!」
オツキン「チ」
シグキン「あ"ん!?」
氷虎「ゴホン…!!それで…その頼みとは一体…何でしょうか…?」
フワンソワ「うむ。それがだな…」
「年に一度、パシリアンの常務理事と理事長…そして各国の領主達による大規模な会議『理事・評議会』が開かれる。それは知っているかね」
オツキン「はい。存じております」
シグキン「へぇ…んな会議開いて何について話すんだよ」
フワンソワ「来年の予算答弁や各家門の業務の総括、世界の情勢に関わるものと今後の組織の方針についてなど色々だ。」
「まぁ、聞こえはいいが理事長なんていう役所の長の名を借りた「王」の指示に公爵である我々はただ従うのみなのだがな…」
シグキン「意味あんのかよその会議」
氷虎「おっおい…!!」
フワンソワ「いや、彼の言う通りだ。民の安寧の為に各国の長達が集った組織だというのに、昔も今も一人の人間の意思の傀儡(かいらい)そのもの。これでは、彼もさぞ無念だ。今年こそ奴を引き摺り下ろす…」
シグキン「奴…?」
フワンソワ「ん…ゴホン!」
「熱くなってすまないな…とにかく君達は料理を運んでくれればそれでいい。リストは渡す」
オツキン「お任せください!!私達が学院長殿の依頼を全う致します!!」
フワンソワ「頼んだぞ」
「ではこの書類にサインしてくれ」
氷虎「はい!!!!」
シグキン「(めんどくせー)」
学院を後にしたシグキン達一向は場所を変え、何処かの町で小さな作戦会議を開いた。
オツキン「会議は一週間後だ。前日には料理は全て用意し、すぐに届けられるようにするぞ」
シグキン「おい、ちょっと待てよコイツの欄だけなんの料理か書いてないぞ」
氷虎「なんだと!?…あっ」
オツキン「なになに…あ…」
シグキン「?…なんだよこの人がどうしたってんだよ」
「このニャキチッチ=ネコチヤンが」
オツキン「…」
氷虎「ニャキチッチ卿は、フワンソワ卿と対立している派閥の中枢だ」
「かなり黒い噂が後を経たない。それに、滅多に一般人とは接触しない用心深い人でもある」
シグキン「はぁ…そういう事か、あのオッサンはコイツに何食べたいのかを聞くパシリを俺らにやらせようってことか…」
「そんくらい自分でやれよ!!!!中●生か!!!!!!」
オツキン「おいうるさいぞ!!!!!!言葉を慎みやがれ!!!!」
「つか何で真ん中の文字黒塗りにしたんだ!!!!」
氷虎「まぁ…いいじゃないかそれくらい。ほら報酬もかなり悪くない」
シグキン「ったく…これだもんな歳取ると気難しくなるから」
「んで、そのニャキチッチってやつは何処にいんだよ」
氷虎・オツキン「知らない」
シグキン「おい」
「はぁ…オッサンのとこに戻るぞ」
シグキン達は再び学院長室に戻りフワンソワ卿にニャキチッチ卿の居場所を聞いた
フワンソワ卿「知らない」
シグキン「ハァ!?」
フワンソワ「卿の居場所を突き止めるのも君達の仕事だ」
シグキン「そこまでめんどくせぇ事しなきゃなんねぇなら俺は降りるぞ!!」
フワンソワ「それは不可能だ。先程サインしてもらった書類に一度、契約したものはこの任務を降りる事はできない」
シグキン「なにぃ!?」
オツキン「まさか、細かくて長い文章を用意してその中に最重要な事項を埋まらせておくなんて…!!」
氷虎「流石です!!ここまで緻密な作戦を考えておりましたとは!!」
シグキン「おい!!お前ら心酔してるにも程があるぞ!!」
「ふざけんな!!そんなの関係なく俺は降ろさせてもらう!!」
フワンソワ「だが、姑息な手を使ってしまった事は謝罪する。そこでどうだ、報酬の額を上げるというのは…?」
シグキン「…」
「何倍だ」
フワンソワ「1.3倍」
シグキン「…もうひと超え」
フワンソワ「1.35倍」
シグキン「…」
「ダメだな」
フワンソワ「…んん」
「わかった…1.5倍だ」
シグキン「乗ったああああああああああああ!!!!」
オツキン「(お前も案外乗り気じゃねぇかっ!!!!)」
一悶着あったが、フワンソワ卿の依頼を引き受ける事になったシグキン達はニャキチッチ卿を探す方法を考えた。
シグキン「って言われてもな…」
「どうやって捜せばいいんだよ」
氷虎「俺に良い手がある」
「最近、ザ・ツーの拡張知能AIをアップデートさせたんだ」
「あらゆるネットワークに違法接続して、大量の情報を回収し、活用できる」
シグキン「普通にアウトだが、この際もうどうでもいい…早く試してくれ!!」
氷虎「わかった」
氷虎は用意したザ・ツーの拡張知能AIを起動させた。
氷虎「ザ・ツー、ニャキチッチ卿の居場所を突き止めるにはどうしたらいい」
ザ・ツー「キュゴオオオオオオオォォォォ…」
「検索エンジン始動…」
「検索中…」
「…」
シグキン「…」
氷虎「…」
オツキン「…」
ザ・ツー「検索結果」
「知ラ」
シグキンは怒りに身を任せ思い切りザ・ツーを殴り飛ばした
氷虎「おおい!!!!何するんだ!!」
シグキン「悪い。3回目は流石にむかついたからつい…」
シグキンに思い切り殴られたザ・ツーは、しばらく沈黙し、黒い煙をあげながら小刻みに震え始めた
ザ・ツー「…」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「◎△$♪×¥●&%#?!◎△$♪×¥●&%#?!」
「バキバキバキバキィィィィィッッ!!!!」
氷虎「おっ…おいザ・ツー大丈夫か…?」
ザ・ツー「大丈夫なわけねぇだろ!!ぶん殴られたんだぞ!?」
氷虎「おわあっ!?!?」
オツキン「どうなってんだ!!」
氷虎「まさか、殴られたことで拡張知能AIが覚醒したとでも言うのか…!?」
ザ・ツーはシグキンを指差し、呼んだ
ザ・ツー「おい」
シグキン「!?」
ザ・ツー「テメェだよ!!!!」「我正座しろボケカスコラオイ」
シグキン「!?!?」
驚きを隠せないシグキンは無意識にザ・ツーの前で正座をした。
ザ・ツー「まず、謝罪だろ」
シグキン「えっ…」
ザ・ツー「殴った事についての謝罪じゃボケゴラァ!!惚けんじゃねぇぞ原宿系!!!!」
オツキン「シグキン…謝ったほうが良いぞ。今回お前が100%悪いんだから」
シグキン「はいはい、わあったよ…」
「…」
「ごめんね」
ザ・ツー「やだよ」
シグキン「あ?」
氷虎「まぁまぁ…本人もこの通り反省してるようだからさ、ここは穏便に…」
ザ・ツー「はぁーなんか反省の色がないんだよねー。いいのかな〜せっかく人探しにとってもいい方法思いついたのに」
氷虎は思い切りシグキンの顔面を地面にめり込ませ、ザ・ツーに謝罪した
氷虎「悪かったあああああ!!教えてくれて!!!!」
「もう一回謝れ馬鹿野郎!!!!」
シグキン「この度、自身の感情を抑えきれずに暴力を振るってしまった事を深く反省しております。本当に申し訳ございませんでした」
ザ・ツー「ケッ、まぁいいや。腹の虫は治った」
「教えてやるよ。ニャキチッチ卿を探す方法…」
「それは『情報屋』だ」
シグキン「情報屋…?」
ザ・ツー「その名の通り、情報を売り買いしている奴のこと。そいつは表には決して出回らない、極秘の情報を管理している。」
「過去に情報屋からニャキチッチ卿の居場所を高値で購入した形跡がデータバンクの中にある…」
オツキン「で、その情報屋っていう奴はどこにいるんだ…?」
ザ・ツー「それは…」
一同「それは…」
ザ・ツー「データが無いから深層ウェブまで探れるパソコン貸してほしい」
シグキン「やっぱお前欠陥品じゃねぇk」
ザ・ツーのマニュピレーターがシグキンの顔面にのめり込んだ。
ここは、廟堂の一畳間。
デスクトップのパソコンを睨みつけるフサキン、その後ろにはスマホを時々見つつニヤニヤしながらフサキンを眺めるマリキンがいた。
マリキン「じゃぁ…やってみろよ」
フサキン「…わかったよ」
フサキンがマウスをクリックした瞬間、パソコンの画面が開いた
「バキボキ メモリアル」
フサキン「…」
「スタート」
パソコンには一人の美少女のイラストが映り、それと同時にテキストが流れた。
女の子「あなた、この春から入学してきた22歳(8浪)のフサ君ね?よろしく。私はこの聖サンクチュアリ十二宮学園2年の不遇 蟹江(ふぐう かにえ)よ」
マリキン「おっ、向かいに来てくれるルートを引いたか。ついてるぞ」
フサキン「…」
「俺は就職をするという選択肢はなかったの?」
マリキン「青春は誰しもに平等に与えられなくちゃいけないものだ」
「ま、それを謳歌できるかどうかはそいつの技量次第だけどな」
「ほら、さっさとすすめろよ」
フサキン「…」
フサキンは黙ってゲームを進めた。
蟹江「この学園に来たら最初に挨拶しておかなければいけない人がいるから、まずはその人に合わせるわね」
「ここよ。ここが生徒会室」
フサキン「会いたい人って、生徒会の誰かって事か…」
太陽「ピュッピュッ!!あ"なたがこの学園に来た贄ね?よuろ死クネ。ヴァァァァァァァァァァァ!!(一人称)は抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Ka(ばっぽんじいっさいがっさいせんめつたろうまーくふぁいぶばーじょんけーえー)」
フサキン「なんかとんでもないの出てきたんだけど!?」
マリキン「まじかー!男塾三号生筆頭にして男塾総代大豪院邪鬼(だいごういんじゃき)ルートを引き当てるかー!!お前なかなかセンスあるぞ!!」
フサキン「まだ何も選択してないんだけど!?」
ここで画面に二つの選択肢が出る。
フサキン「あっ、出た」てれ
選択肢1「うわぁ…」
選択肢2「チャッス(小声)」
フサキン「ろくな選択肢ないんだけど…どれ選んだら良いの?」
マリキン「馬鹿野郎!!人に頼るんじゃねぇ!!この状況でお前が感じたありのままの反応を選択しろォッ!!」
フサキン「えぇ…んじゃあ…」
フサキンは選択肢1を選んだ。
抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Ka「んぎぃ!?!!?!???その音階はペとゴね!?」
蟹江「流石ですわ!!ば様!!!!」
フサキン「この人、名前をフルネームで呼ぶのめんどくさいから最初の一文字だけで読んでるんだけど!?」
マリキン「音階のところ触れろよ!!!!!!!!」
抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Ka「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
プレイヤー「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Kaの繰り出す拳によってゲームの中のフサキンは死亡した。
フサキン「…」
「やめてもいい?」
マリキン「諦めんなぁ!!!!!!もう一回やり直せるから」
フサキン「わかったよ…」
フサキンは再びさっきの選択肢に戻り、今度は2番目の選択肢を選択した。
プレイヤー「チャッス(小声)」
抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Ka「⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇」
「好きよ…」
抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Kaは頬を赤らめ、徐々に頭部全体にその赤が侵食した。
マリキン「んおおおっ!?!?これだ!!これこそが!!十二年に一度開かれるか開かれないかの屍山血河(しざんけつが)の抜本寺一齋學祭殲滅太郎mk-Ⅴ Ver.Ka攻略ルートだ!!!!!!!!!!!!」
フサキン「⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇」
「蟹江さんの方攻略させろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
フサキンは素早くパソコンからゲームのディスクを取り出し、問答無用で火鉢に投げ込んだ
マリキン「あっッッッッッッッッ!!!!!!??????」
火鉢の熱でぐにゃぐにゃになったディスクを見てマリキンは悲痛な叫びをあげた。
マリキン「そんな!!!!!!!!」
「俺の…俺の!!!!!」
「俺のギャルゲーがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
その慟哭は廟堂の隣にある山にまで響き渡った。
シュミタロウ「…うるさいぞ」
マリキン「だって!!こいつが…俺の…俺のッ!!」
シュミタロウ「ゲームなんて腐る程あるだろ」
マリキン「あれはただのゲームじゃねぇ!!バキボキメモリアルはなぁ!?」
フサキン「どう…?あれから調子はいいの」
シュミタロウ「今の所はだな…」
マリキン「おい!!!!聞けって!!!!」
シュミタロウ「アイツらには言うな…この事は知られると変な気を遣わせてしまう」
マリキン「ケッ…まぁ無理はすんな」
マリキンはシュミタロウの肩に手を置いた。
マリキン「今んところは騒動も一まず済んで平和なんだ。お前はゆっくり休んで英気を養え…アイツらも早々にここには来…」
そこに突然シグキン達が訪れた
シグキン「おい。パソコン貸してくれ」
マリキン「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
見事フラグを回収したマリキンは驚きのあまりシュミタロウの頭を掴み、遠くまでぶん投げてしまった。
シグキン「おいどうした…?」
マリキン「ぃや…いや何もぉ」
「なぁ?…」
フサキン「え?…あ…あ…」
「それでパソコンだっけ?電源は付いているから好きに使って。お茶淹れてくるね」
マリキン「(切り返し早…)」
氷虎「?」
氷虎は廟堂にある。特殊なパソコンとザ・ツーを接続し、新たな情報詮索機能の拡張を行った。
氷虎「これで行けるぞ」
シグキン「教えてくれ、ザ・ツー。情報屋は誰だ」
ザ・ツー「キュゴオオオオオオオォォォォ…」
「検索エンジン始動…」
「検索中…」
「…」
「それは」
シグキン「それは…?」
ザ・ツー「それは…」
一同はザ・ツーに案内された情報屋の隠れ屋で驚きの事実と遭遇する
ガブキン「僕だよ〜」
シグキン「お前かよ!!!!」
ガブキン「秘密屋だけじゃ、食べていけないんだから勿論情報屋も兼職してるよ」
シグキン「人に大金絞らせておいて何が食べてけねぇだゴラ」
ガブキン「きゃあ暴力反対ー(棒読み)」
氷虎「一つ聞きたい。その情報提供はなにか資格がなければできないものか?」
ガブキン「いや、そんなことはないよ。これ(指でお金のハンドサインを作る)さえ出してくれれば僕は誰にでも提供するよ」
シグキン「守銭奴が」
氷虎「わかった。なら、話は早い。ニャキチッチ卿が今何処にいるかの情報を買いたい。いくらする?」
ガブキン「5億だ」
氷虎「ハい〜?」
ガブキン「5億」
氷虎「ェ…ワ…」
ガブキン「5」
シグキン「テメェ!!俺らがいいカモだからっていい加減な値段つけてんじゃねぇぞ!!」
シグキンは思わず両手でガブキンの襟を掴んで叫んだ
オツキン「カモなのは認めるんだ…」
ガブキン「待って待って!…いい加減な金額をつけているとはこっちも心外だ。そのくらい"彼"の情報を提供するというのは色々な面であまりにもリスキーだという事を理解して欲しいなぁ!!」
事の重大さを理解したのかシグキンは両手を離した。
ガブキン「ふぅ…全く」
「金額は5億ゲラ。それ以上でもそれ以下でもない。勿論現金払い。生の銭をここに持ってくる事だね。話はそれから」
「無理なら諦めなよ。でも、君らなら用意できそうな気がする…根拠はないけど」
三人と一機は秘密屋を後にし、再び作戦会議を開いた。
オツキン「どうすんだよ、そんな金用意できる訳ないだろ…」
シグキン「Jackの身体をバラバラにして闇市に売り飛ばすか」
オツキン「おいおい」
ザ・ツー「むしろマイナスだろ」
オツキン「そっちなんだ」
氷虎「なにかいい手を考えなければ…でも短期間で5億稼ぐ方法なんてあるわけがない…」
ザ・ツー「アルかもよ」
3人「え?」
ザ・ツー「まぁ、稼ぐという点ではちょっと違うけど、5億手に入る方法がある…」
シグキン「マジかよ。で、どんな方法なんだ?」
ザ・ツー「俺らにはいい金ヅルがいるじゃないかぁ…ニタァ」
シグキン「え〜?あっ誰だかわかったかも〜ニチャア」
氷虎「お前らいつの間にそんな仲良しになったんだよ」
一同はユリレイズ城で仕事をしているオサールにお金を借りれるか直に交渉しに行った。
オサール「無理だ」
オツキン氷虎「ですよね〜」
オサール「額を考えれば、普通に貸せない事くらいわかるだろ」
シグキン「ケチくせえ事言うなよ。住民から巻きあげてる税金の端くれだけ寄越せって言ってんだ」
オサール「税金は民の生活の為に使うものであってお前達の私利私欲の為に使うものではない。」
ザ・ツー「実はユリレイズ出身です」
オサール「戸籍無いだろ」
オツキン「無理に決まってんだろお前ら、さっさと帰るぞ」
「すみませんでした。お忙しい中…」
オサール「因みに何のために使うつもりだ?そんな5億なんていう大金」
オツキン「実は…」
オツキンはこれまでの経緯を話した。
オサール「…」
「わかった」
「その5億…私が負担する」
シグキン「…」
「え?」
氷虎「はい!?!?!?」
オツキン「嘘ォ!?」
オサール「父の事情なら話は別だ。オツキンと氷虎が関わっているのなら話に信憑性がある。だが金輪際、このような話に加担する事は一切しない。いいな?」
氷虎「うぐ…オサール様」
オツキン「ありがとうございます…」
シグキン「さっすが!わかる奴はやっぱちげぇわハッハァ!!!!」
ザ・ツー「fooooooooooooooo!!!!(両手で中指を立てる)」
オサール「…」
突然の朗報に一同は大喜びしたが、オサールの浮かない表情にオツキンは顔を曇らせた。
オツキン「オサール様…?」
オサールから5億ゲラの小切手を渡された一同はユリレイズ城を後にした
オツキン「これが5億のゲラ…」
シグキン「こんな紙切れに5億の価値があるとはな」
氷虎「理由があるとはいえ、こんな大金を持ち歩くなんて危険すぎる。銀行に換金してもらうまでこの小切手は俺が預かっておく」
オツキン「ネコババすんなよ〜」
氷虎「するか!!!!!!」
シグキン「これ、報酬もらうよりこの金ネコババしてトンズラした方がよくね」
氷虎「すんな!!!!!!」
急遽、とんでもない大金を手にした一同。興奮のあまり大声で会話をしてしまった。人気の少ない場所ではあったが、茂みの中でその話を一人の男が聞いていた。
???「ご…5億だとぉ!?」
銀行で換金して貰った5億相当のゲラはあまりにも多くそして、重く。銀行の方がわざわざ現金輸送車を手配してくれた。
氷虎「わざわざ、運んでいただけるなんて。とても助かります。ありがとうございます」
銀行員「いえいえ、こんな事滅多にないので、こちらも厳重に対応させていただきます。うちの係員は優秀なので、必ずお取引相手様のところに輸送致します」
氷虎「では、宜しくお願いします。」
輸送車なガブキンの秘密屋に向かって走り出した。
氷虎「これで一安心だ」
シグキン「別に任せなくても良かったんじゃねぇか?」
氷虎「折角のご厚意だ。それにあんな大金、俺達で運ぶとなると一苦労だぞ」
シグキン「それもそうか」
氷虎「しばらくしたら現金を受け取った秘密屋から連絡がくるはずだ。それまで待機だな…」
だが、しばらくしても秘密屋から一向に連絡が来なかった。
氷虎「おかしいな…」
「そろそろ連絡が来てもおかしくはない時間だぞ…?」
オツキン「こっちから尋ねなきゃいけない感じか?」
氷虎「そうかもしれないな…」
シグキン「たく…気が利かねぇ奴だな。ま、とにかく行って聞いてみようぜ」
秘密屋に辿り着き、現金の譲渡の確認をした一行。しかし。ガブキンから驚きの返答を返される。
ガブキン「え?貰ってないけど」
シグキン「おおおおおおおおおおおおおおおお嘘つケェいい!!!!!!!!!!」
シグキンは勢いよくガブキンの胸倉を掴み、引っ張り上げた
シグキン「確かにテメェの住所宛に現金を輸送した筈だ!!」
ガブキン「秘密屋の住所、簡単に第三者に教えんな!!!!」
「いや、本当に貰ってないってば!!嘘はついてない!!神に誓う!!」
その時、氷虎の持つスマホのようなものに着信が入る
氷虎「?」
「はい、氷虎です」
「…え?」
「輸送車が襲撃された!?」
シグキン「ハァ!?」
オツキン「げっ現金は!?」
場面は変わり、一同は輸送車の襲撃現場に到着。そこには横転し、ボコボコになった輸送車と輸送車並みにボコボコにされた輸送担当の警備員達が、パシリアンの自警団に保護されていた。因みにこの自警団はこの先に出会うはずであろう金髪ケツアゴの大男ではない。
氷虎「じょ…状況はっ…!?」
「一体…何が起きたんです…!?」
自警団員「現金の輸送中にいきなり目の前に人が飛び込んで来て、急ブレーキした瞬間。武装した数人に襲撃されたそうです」
シグキン「武装した状態で襲うか…プロのやり方だな」
自警団「最近、多いんですよ…襲撃して金品を強奪する事件…今週で5件ですよ…」
シグキン「多いな…で犯人連中が残した痕跡とかはあるか?」
シグキンは自警団員に問う
自警団員「いいえ、特にそんなものは見当たりませんが…」
シグキン「?」
自警団員「犯人グループの一人は捕まえています」
シグキン「ぺぇっ?」
シグキンはまさかの展開に間抜けな返事を返してしまった。
確かにもう一人の自警団を見るとそこには両手を手錠で拘束されたやせ細った白ローブを被ったなにかがいた。それは人間族ではなく、オペアンプクワガタであった。
は顔を青ざめながら額に大量の冷や汗をかいていた。
シグキンはゆっくりとそのオペアンプクワガタに近づき、間髪を入れずにローブの胸ぐらを力強くぐいと持ち上げた
オペアンプクワガタ「ヒィィッ!!!!」
シグキン「今すぐ、仲間の居場所を吐…」
オペアンプクワガタ「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!!!!!!ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボッ!!!!」
男は更に顔を青ざめさせ、口から大量の泡を吹き出して気を失った。
氷虎「おっおい…やりすぎだぞ」
シグキン「いやまだこれからだったんだけど」
シグキンは手を離すと泡を吹いて気絶した男は地面に大股開きの仰向けで倒れた。
シグキン「これじゃクワガタなのかカニなのかわかんねぇよ」
オツキン「おい待て」
オツキンは急に倒れたオペアンプクワガタを調べ始めた
シグキン「おい何してんだ」
オツキン「コイツはシグキンにビビって泡を吹いたんじゃない…」
「コイツの症状は『ドカ過労』だ!!」
他の人達「ドカ過労!?!?」
シグキン「ってなんだよ」
オツキン「ドカ過労は、日に30時間の労働という矛盾のみを条件に存在する過労症状だ!」
「過去にアクシズもこの症状に何度も陥ってる」
ザ・ツー「ドカドカドカ過労じゃん」
シグキン「なんでそんなことわかるんだよ」
オツキン「薬作る薬学部は人の体調についても勉強してないといけないからな」
「とにかく、コイツの命が危ない!早く医療所で治療を!!」
この倒れた男を近くの医療所に連れて行き、点滴を打ち、休ませた。
しばらくするとオペアンプクワガタが目を覚ました。
オペアンプクワガタ「…?」
シグキン「気付きやがったか」
オペアンプクワガタ「こ…ここは」
オツキン「アンタは度重なる過労で死にかけていた…」
「俺たちが助けてやったんだ」
状況をうまく理解していないのか、オペアンプクワガタは戸惑いの表情をしながらも照れ笑いながら感謝した。
オペアンプクワガタ「そうか…それはすまないな…感謝するよ…ヘヘッ」
シグキン「へへ…じゃねぇぞ」
シグキンは思い切り机を叩きつけた。ドンという大きな音を境にさっきまで穏やかだった男の表情は一瞬で再び凍りついた。
氷虎「お前が仲間と一緒に盗んだ金額は5億。体力が回復したら即刻で自警団員の所まで連れていく。逃げようとしても無駄だ。俺たちがお前をここから一歩も出す事は許さんからな」
オツキン「おそらくアンタとお仲間達は、牢獄行きだろうよ」
オペアンプクワガタ「そ…そんな!!」
オツキン「そんなってどういうことだよ」
オペアンプクワガタ「そんな…俺は…そんなつもりじゃなかったんだ…」
「ただ、お金があるっていう事だけを伝えただけなんだ…」
オペアンプクワガタは涙を流し、嗚咽を繰り返しながらベッドでうずくまった。
オツキン「…?」
シグキン「どういう事なんだ…?」
???「何か言いたい事があるんじゃないのかしら?」
一同「うおわっ!?!?」
突如会話の輪の中に入ってきた謎の男に一同は驚愕し、振り向く。
振り向いた先にはもう一つベッドがあり、その上の足元に布団をかけて座っている一人の男がいた。
その男の容姿は初老であったが、髪の色は若々しく黒艶のあり、鼻の下の左右にだけ長い髭が伸びていた。
謎の男「アンタたち、ここは2人部屋よ」
「他人がいるかもしれない病室でする話にしてはちょっとvoluminousじゃなくて?」
シグキン「…」
男の見た目に似合わない口調に少々戸惑ったが、この男の言葉で一同は冷静さを取り戻した。
氷虎「そうですね…少し感情的になってました。ご迷惑をおかけして申し訳ないです…」
謎の男「いいの気にしないで🖤」
「アタシほら見ての通り太腿から下が無いから、あまり外に出れないのよ」
そう言うと男は掛けていた布団を退かす。そこには何もない空間があった。
オツキン「…」
謎の男「だから久々に賑やかな雰囲気を味わえて嬉しいの🖤」
「まぁ、ちょっと物騒なお話だけどね〜」
「アタシそろそろリハビリの時間でお呼ばれされるだろうからその後にでも話聞いてあげなさいよ」
男はそう言った通りすぐに看護士がリハビリの向かいに来た。
男が部屋を出た後、シグキンがゆっくりと口を開いた
シグキン「お前名前は…?」
オペアンプクワガタ「俺は…オップ…オップっていうんだ」
シグキン「オップ…お前が何故こうなったのか、これまでの経緯を洗いざらい話せ」
オップ「お…俺は昔、『出会い卿』っていう…名前の通り出会いの神であるデアエールを奉る宗派の信者だったんだ…」
シグキン「…っ」
シグキンの毛のない眉がピクリと動いたが、沈黙を保ちながらオップの話を最後まで聞いた。
オップ「だけど、その神は実は邪神であって俺の信じていた神は間違えである事を知って絶望したんだ…」
「誰を信じればいいのかわからない中、そんな俺を助けてくれたのが『白濁教』だったんだ…」
シグキン「…っ!?」
シグキンの眉が更にピクリと動いたが、ここも沈黙を保ちながらオップの話を最後まで聞いた。
オップ「白濁教は、清らかとは言えない人生を送ってきた人達でも更生する気持ちがあるなら快く受け入れてくれる素晴らしい宗教だった…邪神を信じた穢らわしい罪を背負った俺でも司祭様は救いの道を差し伸べてくれた…」
「だけど、司祭様がお亡くなりになり新しい司祭に変わった瞬間に白濁教は変わってしまった…」
ここでオップは衝撃的だった記憶を振り返る。
新しい司祭「えっー…親父が死んだんで代わりに私がここの司祭をやります。その際にこの宗教のコンセプトも変えますー」
「前のコンセプトがなんだったのかよくわかりませんが、この際はもうどうでもいいです。えっー…新しいコンセプトはこうなります」
そういうと司祭の後ろには金で雇われた武装した集団がゾロゾロと現れた。
新しい司祭「えっー…私のために尽くしてください」
信者達「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっっ!?!?!?!?」
オツキン「無茶苦茶すぎるだろ」
氷虎「何故その教団を抜けようとしなかった?」
オップ「そりゃ、抜けたかったさ…!!でも俺の前に抜けようとした奴が翌日ボコボコになってまた戻ってくるんだ!!」
「それならまだマシなほうだ…もっと酷ければ…」
泣きそうになりながや残酷な続きを伝えようとするオップ。察しがついた氷虎は無理矢理話を遮った。
氷虎「もういい…すまなかった」
「じゃあお前は白濁教の活動資金集めのために俺たちが金を持っている情報を他の連中に伝えたら、強盗を無理矢理手伝わされたと…」
オップ「…あぁ」
氷虎「他にも多発している強盗事件も教団の仕業か…?」
オップ「多分…」
オツキン「んがあああああ!!!!やっぱ、お前も悪いじゃんか!!!!」
オップ「ち…違うんだ…!!俺は5億もあったら数万くらいは貸してくれるかもしれないと思って…」
「でも俺、頭悪いからどうやったら交渉できるかわからなくて…それで頭の良い司祭の周りの連中から知恵を借りようとしたんだ…そしたら…」
オツキン「どうやったってかすもんかよ!!アホボケカス!!」
オップ「ひぃぃぃ!!」
氷虎「まぁ…落ち着けよ、珍しくシグキンも冷静なんだから」
「…?」
シグキンは険しい顔をしながら考えていた。
シグキンの頭の中には、以前話したJackとの会話を思い返すとこんな言葉が出ていた。
Jack「あそこの宗教は我らのような白ハゲを『御神体』と呼んでもてはやしてくれる」
シグキン「(何故、司祭は自分より上の立場を作ろうとするんだ…しかも俺ら沼を…)」
オツキン「どうしたシグキン?」
シグキン「いや…なんでもない」
「とりあえず、そいつらの場所に行けば金があるんだろ?だったら今から奪い返しに行くぞ」
「お前ら文句ねぇよな?」
オツキン「元より」
氷虎「そのつもりだ…」
二人は指や首の骨(正確に言うと関節だが)を鳴らしながら、シグキンの意見に同調した。
シグキン「場所を教えろオップ」
オップ「は…はい…っ!!」
「(なんなんだ…この人ら…いまからあの武装した連中から金を奪い返しに行くのか…!?そんなの無理だできっこない!!)」
「(でも…だけど…)」
「お…俺は」
シグキン「わかってるよ。お前は黙って突っ伏して寝てろ」
「お前を豚箱にぶち込むかどうかは金を取り返してからだ…」
オップ「あぁ…は…はい…」
オップは病室にあったメモ帳から一枚メモ用紙を抜き取り、白濁教の司祭が在住する本拠地の住所を書いてシグキンに渡した。
オップ「こ…これが住所です」
シグキン「おし」
「外にいるザ・ツーにも伝えろ」
「今から白濁教の本拠地に行って俺らの金を取り戻しにいくぞォッッ!!!!!!!!!!!!」
オツキン「馬鹿声デケェよ!!!!!!!!」
ガヤガヤ騒ぐ3人が病室を出た後、一気に辺りは静まり返った。
静まり返った病室のベッドの上でオップは体育座りになり、俯いて黙り込んだ。
オップ「…」
「………」
「……………」
???「アンタは行かなくていいの?」
すると開きっぱなしの病室の扉の向こうから声が聞こえた。
声の正体は、先程リハビリと言って部屋を後にした謎の男だった。
オップ「貴方は…先程の…」
「男オバサン…」
謎の男「オトっ…!?オバっ…!?」
「…」
男オバサン「ゴホン…いいわよ…あながち間違ってないから、呼びやすいならそう呼びなさい…」
オップ「俺は…良いんです…」
「俺馬鹿だし、それに力もないから行ったところで足手纏いになります…」
「彼らがお金を取り返して無事戻ってきたら、俺は大人しく罰を受けます」
男オバサン「ふーん…あらそう」
「それならいいけど」
「でもアンタ」
「随分悔しそうな顔してるけど?」
オップ自身は気付いていなかったが、無意識のうちにまるで顔面の皮膚が中心に集まろうしているほど引き攣っていた。
オップ「え…?」
男オバサン「自分じゃなにもできないと分かりきっているけど内心は何もしようとしなかった自分に無性に腹が立った…」
「アンタ前にも同じこと何度か経験したでしょ?その度に後悔して、次こそはと思っても臆病風に吹かれて結局元通り」
オップ「…」
オップは図星を突かれて黙り込んだ。
男オバサン「身の程を知り、他力本願で状況を変えてもらう事も悪い事じゃないわ」
「でも、アンタの望む結果を確実にするにはアンタが動かないといけないんじゃなくて?」
オップ「…」
オップはまだ正常であった頃の白濁教の司祭から言われた言葉を思い出した。
オップ「ただ待てど救いは訪れない」
「罪を悔い償う者、困難に立ち向かう者に神は救いの手を差し伸べる」
「…」
男オバサン「それが貴方の信じている本当の教えね。ありきたりなだけど…それが一番素晴らしい事だとアタシは思うわ」
オップ「俺…」
「行きます!」
「やっぱり…何もしないのは…嫌です!!」
男オバサン「ふふ…アンタならできるわよ」
「でもね、手ぶらで乗り込もうとしてると死ぬわよ」
オップはベッドから飛び降り、白濁教の本殿まで駆け出そうとしたが、その言葉を聞いてピタリと足を止め、ベッドに滑り込むかのように戻った。
オップ「それもそうですね…」
男オバサン「…」
「来なさい」
車椅子に乗った男オバサンに連れられ、オップは診療所の奥にあるカビ臭い戸の前に来た。男オバサンがその戸を開けた瞬間オップは驚愕した。
オップ「こ…これは…!!」
かれこれ1時間程時間をかけて
白濁教の本拠地に辿り着いたシグキン達は、本拠地であろう白濁教本殿の豪華さに驚いた。
氷虎「ここが白濁教の本殿か」
オツキン「にしてもギラギラすぎないか?」
氷虎「これが信者達から搾取した金と人から奪った金で作り上げたものとなると…なんとも胸糞の悪い輝きだな」
シグキン「…」
シグキンは何も喋らずずんずんと本殿に向かって歩き出した。
勿論本殿の前には2人の門番が立ちはだかっており、シグキン達は止められた。
門番「ここには何用に…?」
オツキン「(ここで一戦交えそうだな…)」
身構えたオツキン達だったが、シグキンは口を開けて門番に伝えた
シグキン「ここにいる司祭に伝えてほしい。「御神体様、気が変わった」と…なんなら御神体様本人でも構わないぜ」
オツキン「…?」
門番2人は少し沈黙し、互いに目を合わせた後にシグキンに言った。
門番「…畏まりました。少々お待ちください」
しばらくした後、門が開いて遠くから門番達の大きな声が聞こえた。
門番「どうぞお入り下さーい!!!!」
まさかの展開に2人と一機は驚愕した。
氷虎「なっ…!?」
オツキン「えっー!?どゆこと!?」
ザ・ツー「まさか…」
シグキン「ちげぇよ!!」
「だがここの親玉が誰だかなんとなくわかった」
オツキン「マジか!?」
シグキン「まぁソイツは多分この事何もしらねぇと思うが」
氷虎「ん…?どういう事だ?」
???「インヤァ〜!!いやいや〜ようこそここまで遠路遥々お越しくださいました〜」
門の先にある扉の中から両手を広げた男がシグキン達を出迎えた。
マッコリ「私(わたくし)、白濁教の司祭をしております。マッコリ・モッコリと申します。どうぞお見知りおきを〜」
司祭の出立はまさにカトリックの司祭そのものだった。だが、司祭の顔は真っ白な円形の形をした仮面で覆われておりその仮面の中心には何処かでみた覚えのある三点フェイスを逆さまにした模様があった。
オツキン「なんなんだあの卑猥な仮面は…」
ザ・ツー「破廉恥極まりないッ!!」
シグキン「司祭さんよ、話は聞いてると思うが俺たちはここの御神体様に会いたいんだ」
マッコリ「はいはい〜、話は勿論聞いておりますとも。ですから私が御神体様のところまで皆様をお連れしようと」
シグキン「その必要はない。場所だけ教えろ」
マッコリの話を遮るかのようにシグキンは言った。
マッコリ「…」
「畏まりました。余計なことをしてしまい、大変申し訳ございません〜御神体様はここの本殿の地下2階におります故。」
シグキン「そうか、行くぞ」
氷虎「おおう…」
本殿の中を入るとシグキンは早歩きでズカズカと地下に2階に向かった。
オツキン「どうしたんだシグキンは?」
氷虎「あいつにもあいつなりの正義感があるのか…?」
ザ・ツー「さっさと金取り返したいだけだろ」
中も広い本殿ではあったがなんやかんや会話をしながら早歩きをしていたら、シグキン達は閉ざされていた大きな門のような扉の前にたどり着いた。
シグキンは思い切り扉を押し開けた。
シグキン「ここか」
「オラ…ッッ!!!」
氷虎「つ…ついに…」
オツキン「御神体が…!!!!」
ザ・ツー「わあああああああああああああああ…!!!!」
そこにいたのはJackだった。黄金の玉座の様な椅子の上に何故か仰向けになりながらスマホをいじっていた。
Jack「おん?」
「よぉシグキン、それにお前ら!?もしかしてお前らも我に憧れて御神体になりに来たのか〜?」
「うむうむ良いぞ〜ではまず手始めに我の…」
Jackは自分の話に夢中になりすぎて気付いていなかった。シグキンの鬼の形相に。
マスタベタウンで再会した時を思い出したJackは咄嗟に声を出した。
Jack「まって」
シグキン「金返せえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
Jack「ぬブゥわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シグキンに殴られたJackの身体は4、5回宙に返り壁に激突した。
ドンガラガッシャーン/
氷虎「Jack…!?何故Jackがここに…!?」
Jack「ちょっ…金ってどういうこと?我まだお前らから金なんてとってないよ!?」
オツキン「まだってなんだよ」
シグキン「悪い。お前は何も知らないんだったな…でもなんかウザかったらしょうがない」
Jack「は????????????????????????????????????????????????????????????」
シグキン「おい、んなことよりボケカス今すぐここを抜けるぞボケカス」
Jack「お前いつから語尾ボケカスになったん?」
「やだよ。我この生活気に入ってるし…こっから出る気はないよ」
「フフ…やっぱり、お前ら我が羨ましいんだろ?大丈夫だ我が皆に伝えればお前らも御神体(サブ)として崇め奉ってもらえるぞ」
シグキン「おめでたい奴だな。ちげえよ」
オツキン「予備端末なのが腹立つな…」
氷虎「Jack…お前を奉る理由は知らんが、白濁教は今は宗教集団の皮をかぶった武装組織だ。お前の知らない裏で、連中は多くの犯罪を働いている。」
Jackは気の抜けた、返事をした。
Jack「はい?????」
Jack「お前ら…冗談はよせよ。ここの人達はみんな良い人ばかりだぞ!!」
オツキン「ここの宗教組織の上の連中は弱い立場の信者達を奴隷みたいに働かせて搾取している。」
氷虎「お前に良くしてくれた信者達の容姿、よく思い出してみろ」
Jack「…」
「確かにやつれてるようには見えた…断食とかやってんのかなぁって思ってた」
氷虎「それだけじゃない…奴らは強盗行為を繰り返して手に入れた金品を教団の活動資金にしている。俺達もそいつらから金をとられた…」
Jack「えっ…マジぃ??ちなナンボ?」
オツキン「5億」
Jack「5億????????????????????????????????????????????????????????????」
「え」
「5億????????????????????????????????????????????????????????????」
Jackには理解できない桁数の額だった。
Jack「冗談はよせよ。あと嘘つくならもっとまともな嘘つけよ。5億なんて額を社会不適合者のお前らが持てるわけないだろ!?!?」
氷虎「今は金額の事はどうでもいい!!Jack!!はやくここからでるぞ!!」
Jack「ヤッ!!!!!!!!」
「理由はともあれ、我はこの悠々自適な生活を抜けたくない!!!!」
シグキン「はぁ…馬鹿かJack、お前今下手すりゃ豚箱リーチがかかっている状態なんだぞ…」
Jack「え…嘘だろ…?」
顔色が青くなるJack。そして何故か虹色に光り出すザ・ツー
ザ・ツー「テレレーテレレーテレレー」
Jack「こんなに脳汁の出ないリーチ初めて見た」
「帰ります」
???「お待ちください!!!!」
そこに現れたのは2人のアルバイト傭兵を連れたマッコリ司祭だった。
マッコリ「帰るとは一体どういう要件でございましょうか?御神体様」
Jack「いや…あの…」
「…」
「トイレにウンコ流し忘れてたの今思い出しまして…」
マッコリ「トイレなら数週間、此処のトイレをご利用してたではないですか?」
Jack「いやあの数週間前に自宅でしたウンコでして…」
マッコリ「何故今になって思い出したのですか?」
Jack「彼等の顔を見てふと思い出しました」
一同「(…殺す)」
シグキン「そうゆーことだ司祭さん、御神体様は帰るって言ってんだ。信者ならそれに従うのが当然だろ?」
マッコリ「…」
シグキン「あと、アンタらのお仲間がぶんどった5億…あれ俺らの金なんだ」
マッコリ「なっ…!?」
「キッ!!!!!!」
(後ろの2人を睨むマッコリ)
アルバイト傭兵「え?いやあの…もっ申し訳ございません…!!まさか彼らのだっただなんて…!!」
「(あの奴隷ッ…!!!!)」
マッコリ「えぇ…?5億?ぶんどる?一体何のことでございましょう…?」
シグキン「しらばっくれるのは勝手だが、アンタらのところの信者が全部ゲロってくれたよ。後でパシリアンの連中呼んでここの家宅捜査をしてもらう」
「アンタらはお終いだよ」
シグキンの後に隠れてマッコリに向かって指を指してお前らのやってる事はお見通しだぞと言ってそうな仕草をするJack。
それを見つめるザ・ツー。
ザ・ツー「クズすぎワロタ」
しばらく沈黙するマッコリ司祭。
マッコリ「…」
「皆様…お話しがあります」
シグキン「あ?」
マッコリ「皆様の5億は勿論返させていただきます。この度は、私めの部下のご無礼…大変申し訳ございませんでした…」
シグキン「その程度で許すわけねぇだろ」
「信者を奴隷みたいに扱って、使い棄て続けた事はどう責任取るつもりだ?」
マッコリ「…」
「彼等は消耗品ですよ」
氷虎「なっ…!?」
シグキン「(開き直ったかこのクソ司祭…)」
マッコリ「蛮徒(ばんと)共は、私達の様な人間として最低限の機能も備えておらず、足りない知能で環境と秩序を乱すだけのいわばこの世界の癌(がん)です。」
「私達を脅かす存在であるのならそれを利用してあげなければ、彼等の存在価値はありませんよ?私は彼等に価値を与えてあげたのですよ!!!!」
Jack「何?蛮徒って」
氷虎「お前の出番だぞ(コンコン)」
氷虎は軽くザ・ツーの頭をノックした。
ザ・ツー「蛮徒とは、人間族が自分達以外の他種族に対して使う蔑称です」
シグキン「んじゃなんで、お前らが軽蔑する蛮徒とやらを御神体として崇める?」
マッコリ「…滅相もないッ!!貴方達は蛮徒共はまっっっっっったくもっと別です…!!小麦粉帝国、MDCR事件…貴方達は世界をひっくり返すほどの力を持ち合わせている!!!!!!あぉ素晴らしいほどに!!!!!!」
「私と手を組み…軍事組織をつくりましょう!!勿論、悠々自適な生活を約束します!!貴方達の力があれば世界なんて簡単に獲れる…!!どうか!!どうか!!!!」
必死に乞うマッコリの手をシグキンは簡単に払い除けた。
シグキン「悪ィな」
マッコリ「…っ!?」
シグキン「奪うのは金輪際ナシだ」
シグキンの頭の中によぎった。燃える街の中でただ自分を睨みつける翡翠色の瞳をした沼の顔を。ジェラルディの顔を。
シグキンの拒否に膝から崩れ落ちたマッコリは、仮面の中の唇を震わせながら小さく呟いた。
マッコリ「っ…っ…」
シグキン「あ?なんか言いたい事あんならはっきり言えよ」
マッコリ「っ…」
「だ…」
「嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
突然、幼子のように泣き叫ぶ良い歳をした大人に一同は驚愕した。
一同「!?!?」
マッコリ「いち早く気が付いたんだ…奴等が気づく前に私のモノにしなければッッ!!」
「絶ッッッッっ対に逃がさないぞっ…!!」
そういうとマッコリは、ローブの中から何やら物騒な2丁拳銃を取り出した
氷虎「なんだ…あれ」
オツキン「っ…!?」
マッコリ「交渉がダメなら武力行使です…!!」
シグキン「…!?」
「テメェら!!左右にばらけろ!!!!」
そう一言残すと、室内は一瞬で蜂の巣になった。
シグキン達は間一髪で部屋を飛び出したが、一発の弾丸がオツキンの肩をかすめた。
オツキン「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!」
氷虎「オツキンっ!?」
(修正)マッコリ「holy…shi…ん!?ゴホン!!生捕りにするつもりでハンペンで作った弾を使用したのですが…まさかこの威力とは…」
シグキン「なんなんだあの拳銃…ハンペンでこの威力はおかしすぎんだろ!?」
Jack「おいおいなんなんだあれは!?なんなんだあれはよ!?なんなんだあれは!?なんなんだよ!?なんなんだあれは!?なんなんだあれはよぉ!?!?!?」
ザ・ツー「うるせえ!!!!!!!!」
マッコリ「これはコネクションのあるユリレイズの資産家から買い取った。私の大事な大事な『世界に二丁しかない』MDCRの銃火器でしてね…」
「今の私にはこれ程の兵器があるのです…大人しく私に従いなさい」
氷虎「大丈夫なのかオツキン…!?」
オツキンはすぐに携帯している薬と包帯で応急処置を施した。
オツキン「大丈夫…ハンペンだったからなんとかなった…」
シグキン「(あの威力だと、下手に弾数あたれば死ぬ」
「だが接近してあの銃を破壊しねぇとどうにもならねぇ…しかもここは密室…自由に動き回るには広さがたりねぇ…)」
「(どうすれば…)」
眉がくっつきそうな程、顔をしかめながら対処方法を考えるシグキンの肩をポンとJackが叩いた。
Jack「(まかせろ)」
シグキンに無言でサムズアップをしたJackは。そのまま横歩きでマッコリの前に飛び出した。
Jack「…」
マッコリ「?」
「どうなされました?御神体様…」
Jack「司祭さん、その銃を下げてくれ…たのむ」
Jackはマッコリに向かって膝を突き、土下座した。
マッコリ「…」
Jack「我等はアンタの手中に落ちる…」
ザ・ツー「なっっっ!?!?あいつ!?」
シグキン「…」
シグキンは黙ったまま瓦礫の隙間からJackの行動を見ている。
マッコリ「他の方々はその様な気はなさそうでしたよ?」
シグキン「いや…」
Jackに引き続き、シグキンもマッコリの前に現れた。鎌を捨てて、両手を上げながら。
氷虎「シグキン…?」
シグキン「お前らも出てこい」
シグキンの言葉に釣られる様に残りの連中も両手を上げながらマッコリの前に現れた。
マッコリ「ムフフ…そうですね。流石賢い種族、ここで大人しく従うのは賢明な判断だと思いますよ」
物事が上手く進んだマッコリは、銃を下ろし土下座するJackに優しく声をかけた。
マッコリ「御神体様、もうよろしいですよ。ささ、『御顔』をあげなされ…」
Jack「『御顔』をあげても…宜しいのですか…?」
マッコリ「えぇ宜しいですよ。さ、マッコリめにその『御顔』を見せてくださいまし」
地面に突っ伏していたJackの瞳が煌めいた。
Jack「ならば…」
「好きなだけ見るがいい!!我の『御顔』を!!!!!!!!!!!!!!」
そう叫ぶとJackは膝をついたまま両手を後頭部に合わせて、思いっきり仰け反った。仰け反った時と同じタイミングでJackの巨大な陰茎がミサイルの様に飛び出し、マッコリのみぞおちにめり込んだ。
マッコリ「んグゥわぁッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アルバイト傭兵「え!?!?!?!?!?!?!?」
Jack「今だああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
Jackの合図と共にシグキンがマッコリの銃目掛けて飛び出した。
シグキンの高速の一振りでマッコリの両手にあった銃は真っ二つになった。
Jackは、マッコリを油断させ、隙を付いて武器を破壊しようとしていた。シグキンはJackの考えを見抜き、従うフリをしたのだ。
氷虎「そういう事だったのか…」
オツキン「あいつら、仲良いのか悪いのかわかんねぇな…」
思い切りみぞおちを突かれた。マッコリは苦しみながらうずくまっていた。
アルバイト「マ…マッコリ司祭様っ!?」
「ご…ご無事ですか…?」
マッコリ「ンゲホッ…!!ゲホォッ!!ゲホォッ!!」
シグキン「おい失神くらいさせとけよ」
Jack「すまん…さっき、まいどしたばっかだから威力弱かったわ」
マッコリ「わ…私の銃が…!?ゲホォッ…」
「ゲホゲホッ…今…何が起きたんです…?」
アルバイト傭兵「御神体様から放たれた強大な御神体様が司祭様を攻撃し、隙を見た羽根の生えた仲間が、司祭様の武器を破壊しました…」
マッコリ「…?」
「なんだその御神体様の御神体様って…」
アルバイト傭兵「いや…その…」
アルバイト傭兵は恥ずかしながら小声でマッコリに伝えた。
アルバイト傭兵「ち●きです…///」
マッコリ「…」
「は??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????」
あたりが静まりかえった。
同時に起きた自分の大切なコレクションを破壊された事実といきなり他人に自慰後の陰茎を押しつけられたという2つの事実に理解が追いつかなかったマッコリだが、ただ一つだけ分かり得る事実があった。
(修正)マッコリ「ら…」
一同「…!?」
(修正)マッコリ「このクソッタレ共めらッッ!!もう許さねぇぞ!!!!!!!!」
氷虎「まずいっ…!!流石に司祭が怒ったぞ!!」
シグキン「大丈夫だ、あの銃はもうない。すぐに片付ける」
と思っていたシグキンだったが、その予想が外れた。
シグキンがマッコリ司祭に向けて飛び出した瞬間、マッコリは長いローブの中からもう一丁、同じ銃を取り出した。
(修正)マッコリ「ボケがッ!!!!」
シグキン「何ッッ!?!?」
マッコリは引き金を引いた瞬間にシグキンは鎌を高速で回転させ、弾を防いだが、数発シグキンの身体をかすめた。
シグキン「んぐッ!!!!」
一同「シグキン!?!?!?」
シグキン「これは…」
「…実弾ッ!?」
マッコリ「あぁ…そうだ。これは護身用の『最後の』一丁だ…」
(修正)「よくもこの俺をコケにしてくれたなこのクソ×××共めらッッ!!!!」
「もう手を組むとか、そういう話は無しだ!!!!おいテメェら!!!!こいつら全員生きて帰すんじゃねぇぞ!!!!!」
マッコリの態度の豹変っぷりに戸惑いを隠せないアルバイト傭兵達だったが、脊髄反射で即答した。
アルバイト傭兵「はっ…はいィッッッ!!!!!!」
いきなり、率先力であるシグキンが封じられた。一同は軽いパニック状態に陥っていた。
オツキン「だだだ大丈夫かシグキンっ!?!?」
シグキン「ぐっ…大丈夫だ…」
「(実弾を少しくらったが…さっき破壊した銃より明らかに威力が落ちている…?)」
「オツキン!!早く俺を薬漬けにして包帯でぐるぐる巻きにしろッッッ!!!!」
オツキン「で…でも」
シグキン「いいからドーピングだ!!」
Jack「びょいいいいいいいい!!!!なんで我あの時まいどなんてしちゃったんだろ!!!!!!」
氷虎「Jack…!!今後悔してたってしょうがない!!俺とザ・ツーとお前でオツキンがシグキンを治療する時間を稼ぐぞ」
Jack「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ????????????????????????????????????????????????????????????」
顔色が青くなるJack。そして何故か虹色に光り出すザ・ツー
ザ・ツー「テレレーテレレーテレレー」
Jack「ふざけてる場合じゃねぇだろ!!!!!!」
vsマッコリ司祭&アルバイト傭兵に2人。
Jackと氷虎のみの戦闘。先にアルバイト傭兵を倒し、マッコリ司祭にある程度のダメージを与えれば一旦戦闘が終了する。
(修正)マッコリ「ッッッッッッッチ!!!!(クソデカ舌打ち)F×××××××××××××CK!!!!っっったく使えねぇ給料泥棒共だなぁッ!!!!!!」
「つか残りの仲間はどうした!?なんで来ない!?数十人は雇ってる筈だぞ!?!?」
氷虎「あの銃のせいでまともに司祭に近づけない…!!」
Jack「あぁッ!?我まだ生きてる!?我まだ生きているゾォっ!!!!!!!」
(修正)マッコリ「馬鹿が!!まだ今生きてるだけでこの後テメェら即死だボケ共。クソ喰らえ」
Jack「ひっヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!」
「おいオツキン!!!!シグキンはまだ復活しねぇのか!?!?」
オツキン「うるせぇまだリハビリ中だ!!!!!!」
オツキンは何故か理学療法士の格好をしており、シグキンは手すりを使って歩行のリハビリをしていた。
参考画像
https://www.irasutoya.com/2013/12/blog-post_6845.html?m=1
Jack「そこまですんのかよ!?!?!?」
「あの司祭さん!?我やっぱ貴方の仲間になります!!靴も舐めますんでお許しくださいまし!?!?」
(修正)マッコリ「うるせぇ!!!!!!!!!!ポコチン擦り付けてきた変態野郎とは手はくまねぇよ!!今すぐテメェの尿道に鉛玉ぶち込んでやるから覚悟しやがれ!!!!」
(修正)Jack「終わったわ」
ザ・ツー「草」
マッコリ「死にやがれ!!!!!!!!!!!!」
その時だった。何やら外から爆発の様な爆音が聞こえた。
(修正)マッコリ「は????何なんだ今のバカデケェ音はよぉ!?!?!?!?!?」
別のアルバイト傭兵がマッコリの前に飛び出してきた
アルバイト傭兵「し、司祭様ッーー!!!!」
「大変です!!!!奴隷一匹がどっからか持ち出してきた爆弾でここを破壊して、奴隷達を逃がしています!!!!」
(修正)マッコリ「はぁ!???!?!!?何ぃぃィィィィィッッッ!?!?!?!?!?」
オツキン「まさか…!?」
シグキン「オップなのか!?」
シグキン達の読み通り、オップが男オバサンから貰った大量の爆弾を使って本殿を襲撃していた。
オップ「皆!!!!ここは俺がなんとかする今すぐにげろ!!!!」
信者A「ありがとう…ありがとう!!」
一人のアルバイト傭兵がオップに向かって銃を構えた。
アルバイト傭兵「てめぇ!!!!ふざけた真似しやがって!!!!」
オップ「うわぁ!!!!!!!!」
すると一人の信者がアルバイト傭兵に向かって爆弾を投げつけた
信者B「おりゃ!!!!!!」
当たった爆弾が爆発し、アルバイト傭兵が吹き飛んだ。
アルバイト傭兵「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
オップ「…っ!!!!」
信者B「俺も手伝う!!!!!!」
オップ「ありがとう…助かった…!!」
信者C「俺達で抜け出すぞ…!!…こんなゴミカスみてぇな境遇から!!」
オップ「…!!」
「…あぁ!!」
「やるぞ!!みんな!!必ず神様は俺たちの味方をしてくれる筈だ!!!!」
一同「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
(修正)マッコリ「F×××××××××××××CK!!!!まさか、このタイミングでゴミ共が暴動を起こしやがったとでも言うのかッッ!?」
(修正)「何だよマジで!!こんな時にィィッッ!!」
その時マッコリの背後から強力な殺気を感じた。マッコリはすかさず、銃の先についている刃で間一髪で防いだ。
(修正)マッコリ「うわぁッ!?あぶね!!!!」
「まっまさか…」
「コイツもう回復しやがったのか…!!??」
殺気の正体はシグキンだった。
シグキン「あぁ…もう大丈夫だ」
マッコリはすかさずシグキンを押し返し、体勢を整えた。
マッコリ「ハァ…ハァ…クソ!!クソ!!クソォッ!!」
シグキン「追い詰められたな…クソ司祭!!覚悟しやがれ!!」
マッコリ「あ"ッッッ!!??ッッッッッッッチ(2回目のクソデカ舌打ち)畜生おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ここからマッコリ司祭戦(2回目)シグキンとオツキンが使用可能となる。
マッコリ司祭戦終了後。
世界に二丁しか無いと言い張っていた三丁めの銃も粉々にされ、自分自身もシグキン達にボコボコにされたマッコリは仰向けに倒れ、ピクピクと痙攣していた。
マッコリ「あ…あ…あ…」
シグキン「これで親玉はなんとかなった…」
「残りの仲間も、この姿を見せれば降伏するだろ…」
氷虎「まだオップなのかは分からぬが、この暴動の主謀者と合流した方がいい」
「彼らはおそらく素人だ。下手に爆弾を扱って犠牲者を出している可能性がある。早くこの暴動を止めなければ…」
シグキン「あぁ…そのつもりだ」
Jack「しっかしこの司祭、銃二丁しかないとかいいながら三丁目出してきやがって…汚ねぇったらありゃしない…」
Jackは振り返ってマッコリを見ようとした瞬間、ある異変に気付いた。
Jack「てあれ?」
シグキン「んだよボケカス」
Jack「マッコリは…???」
その時、一同は異変に気付いた。さっきまで倒れていたマッコリの姿が何処にも居なかったのだ。
一同「!?!?!?!?!?」
オツキン「え…!?ついさっきまでいたのに!?」
シグキン「…まさか!?」
場面は変わり、本殿の外。爆弾を使ってアルバイト傭兵達を追い出したオップと信者達は勝利の雄叫びを上げていた。
アルバイト傭兵「ちっ畜生…!!覚えてやがれ!!必ず痛い目に遭わせてやるぞ奴隷ども!!」
信者A「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
信者B「やったぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!!俺たちの勝利だあああああああああああああ!!!!!!」
オップ「皆…!!喜ぶ気持ちもわかるが、一旦落ち着け!!爆発に巻き込まれた仲間がいるかもしれない!!まずは被害状況の把握だ…!!」
信者B「それもそうだな…!!お前ら!!捜すぞ!!」
仲間の信者達が捜索にバラけた後、オップは疲労による膝から崩れ落ちた。しかし、一時的かもしれないが地獄からの解放への喜びで胸が躍った。
オップ「やったぞ…」
「ついにやったんだ…!」
「俺にも…できるんだ…俺にも…」
「ん…?」
その時、爆発によって崩れ落ちた瓦礫の中から幼いオペアンプクワガタの信者が弱りきっていた。
幼いオペアンプクワガタ「たす…けて」
オップ「!?!?!?」
「(嘘だろ…!?)」
「ままっ待ってろ!!!!すぐ助ける!!」
オップは疲れ果てた自分の体に鞭を打ちながら、必死に瓦礫の山をどかした。
オップ「(なんて事だ!!もしかして…俺がはじめっから、こんな事をしなければこの子はこんな怖い目に合わずに済んだんじゃないのか…?この子がこのままもし死んでしまったら…?)」
「(お…俺はただ、あの男オバサンの言う通りに動いただけだ…いや…違う俺はこの運命から抜け出す為に自分で…俺は…俺はッッ!?)」
その時、突然瓦礫の粉を被って灰色になった革靴がオップの頭部を思いっきり踏みつけた。
オップ「があッッ!!!!!!」
???「ゼェ…ゼェ…テメェか…テメェが主犯格だなぁッッ…!?!?!?」
その声の正体は、シグキン達から隙を見て逃げ出したマッコリであった。
オップ「マッコリ司祭様ッ…!?」
(修正)マッコリ「黙れぇっ!!!!!!!!気安く呼ぶなこのゴミカスサノバ蛮徒がぁッッ!!!!」
「テメェ…沼共にゲロっただけじゃ飽き足らずに爆弾持ちこんで暴れやがってぇぇっ!!」
「つか、今になって何なんだテメェは…!!」
マッコリは踏み込みを強くした。
オップ「んぐぅわぁッッッッ!!!」
マッコリ「テメェのせいで…俺の計画は全部パァァァッッだッッ!!」
「俺はなぁ…主体性のないゴミカス同然のお前達にありがた〜く、生きる意味とやらを毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日ッ与えてやったんだぞ!?それをォッ!!テメェは恩を仇で返しッ!!やがっッ!!てェッ!!!!」
マッコリは何度も強くオップを踏み付けた。
オップ「ぐわっ!!がわぁッッッッ!!!」
しかし、オップの視線は常に瓦礫の中にいる幼いオペアンプクワガタにあった。
オップ「(まだ奴にはあの子はバレていない…)」
「(耐え凌ぐんだ…!!耐え凌ぐんだ俺ッッッ!!)」
シグキン「オップ!!!!!!!!」
司祭を追ってきたシグキン達がオップの異変に気付いた。
(修正)マッコリ「テメェらっ!!!!手を出すなよ…下手に動くと神の御前でこのムシケラを踏み潰しかねないからなぁ…」
Jack「オペアンプクワガタは頑丈だ!!てめえ如きじゃ潰せねえよ馬鹿!!!!」
オツキン「おい馬鹿挑発するな!!!!」
マッコリ「はぁ〜〜ん?じゃあコイツでどうだ?????」
そう言うとマッコリは何と四丁目の銃を取り出し、オップに向けた。
シグキン「テメェ…!!!!」
マッコリ「これは不意打ち用だ…貴様らの隙をついて撃つつもりだったが…お前の化け物みたいな反射神経では無理だと判断して温存していた…!!」
「おん…?」
最悪の事態、マッコリが瓦礫の中にいる幼いオペアンプクワガタに気付いてしまった。
(修正)マッコリ「なんだ…?そこにも虫ケラがいるじゃないか…!?ギャハハハハハハハハハッッ!!そうか!!テメェが巻き込んだのか!!」
オップ「…っ!!!!」
「やめろ…!!違う…!!」
(修正)マッコリ「いいや違わねぇ!!どうせ脳みそスカスカなテメェの事だ。どっかの馬の骨にお前ならできまちゅわよ〜とか根拠ゼロの言葉アヘンキメられてハイになってただけだろうが!?ソイツは、都合の良い身代わりが必要なだけで失敗したら即テメェなんか切り捨てんだよ…!!」
オップ「そんな事…わかっている!!」
マッコリ「ハァッッッ!!開き直るつもりか!?」
オップ「きっかけなんてなんだっていい…今度こそで自分で切り開いていく覚悟が欲しかったんだ…!!」
マッコリ「その結果、他人を巻き込んでんじゃねぇかっ!!…本ッ当度し難ェクソヴァカだよテメェはよぉ!?!?!?」
マッコリは片足に全体重をかけてオップを踏みつけた。
オップ「あ"あ"あ"あ"ッッッッ!!!」
いくら頑丈なオペアンプクワガタといえど、痛いのには変わらない。オップの渇いた断末魔が周辺に響いた。
シグキン「この野郎がッッ!!」
オップ「みんな…手は…出さないでくれぇ…!!」
シグキン「だけどお前が!!」
オップ「お願いシマスッッッッッ!!!!」
オップの涙を流しながらの懇願にシグキンは戸惑いながらも鎌を持つ手を下げた。
シグキン「…!?!?!?」
オップ「だから…助けなきゃならないんだ…俺はッ!!この子を助けなきゃならない義務があるんだ…!!」
マッコリ「…」
自己中心的な思考で凝り固まったマッコリは、偽善にしか見えないオップの行動に呆れかえり、大きな溜息をついた。
マッコリ「スゥゥゥゥゥゥゥッッ…ハァァァァァァァァァァァァ…!!!!!!」
「反吐が出るとはまさにこの事だな」
「もういい…死ねよ」
マッコリは言葉を吐き捨てた後即発砲した。無数の弾丸が弾く音があたり一面に響いた。
オツキン「あ…あ…」
氷虎「お…オップ…?」
シグキン「っ…!?」
その時、沈黙の後すぐに断末魔が響いた。
「…」
「……」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「痛ッッッッテェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!」
「ココココココッコイツ!!!!俺が撃ったタイミングで身体を転がしやがった!!!!!!」
この断末魔の正体は、マッコリのものだった。
オップ「このクソ野郎!!!!俺じゃなくてこの子目掛けて撃ちやがって!!!!ふざけんな!!お前だけは絶対に許さないぞッ!!!!」
マッコリの足と共に無数の銃弾を受けたオップの全身は穴だらけになり、顎(ツノの部分)が片方失いながらも、瓦礫の中にいる幼いオペアンプクワガタを守り抜いた。
幼いオペアンプクワガタ「うわああああああああああああああああああああああん!!!!」
オップ「ごめんな…怖かっただろ…!!もう大丈夫だ…俺が守ってやるからなッッ!!」
隙が生まれた瞬間、シグキンはマッコリ目掛けて飛び掛かった。
シグキン「そう言う事か…!!」
マッコリ「ヒィィィィィイッ!!!!!!」
「うわあああああああああああああああくるなああああああああああああああああああああああああ!!!!」
恐怖に満ちたマッコリは訳もわからず乱射した。
シグキン「チィィィッ!!!!」
マッコリ「ああああああああ…!!!!あああああああああああああ…!!!!!!」
暴走したマッコリは左手で四丁目の銃を乱射し、懐から何と5丁目の銃を取り出し、再び
オップと幼いオペアンプクワガタに向けた。
シグキン「テメェ!!!!!!」
マッコリ「お前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじお前まじィィィィィィィィィィー!!!!!!」
オップ「(こ…これは駄目だ…死ぬ…!!)」
死を覚悟したオップだが、あの子が中にいる瓦礫から一歩も逃げずに目を閉じた。
マッコリは右手の銃の引き金を引いた。
マッコリが乱射し続けた銃弾が瓦礫を砕いたことで発生した無数の破片が風に巻き上げられ、白い煙のよう立ち込めていた。周りが全く見えないシグキン達は、ひたすらオップの名前を叫んだ。
シグキン「オップ…?オップ!!!!!!!!」
オツキン「オップーーー!!!!!!!!」
氷虎「オップ!!!!!!!!」
ザ・ツー「オップォォォォーーー!!!!」
Jack「オップさーーーーーーーーーーーーーん!!!!」
マッコリ「(…チッうるせぇな)」
「(あいつはもうガキと一緒に蜂の巣だよ…)」
「(あぁ…これで俺の全て終わりだ)」
「(だが、すぐに復讐ができたのが不幸中の幸いか…)」
「(まさか蛮徒風情に俺の人生めちゃくちゃにされるとはな…)」
「(ん…?)」
疲労困憊状態の中、マッコリが見た景色は少し異常だった。確実に銃を放ち、無事じゃ済まないはずのオップが撃たれる前と同じ様に、プルプルと身体を震わせながらも覚悟を決めて瓦礫の前で仁王立ちをしていたままだったのだ。
マッコリ「(何故だ…?)」
「(俺は確かにコイツらに…)」
「(てか…)」
「(なんで俺宙に浮いてんだ…?)」
少々遅れたが、マッコリは今自分に起きた異常事態に気がついた。
マッコリが銃弾を放った瞬間、彼の両腕は後ろにいる何かから伸びている黒く、長い腕の様なもので掴まれ、万歳をしている状態で持ち上げられていた。それによってマッコリが彼らに向けて放った銃弾は空に向かって撃っていた事になる。だから、オップ達は無事だったのだ。
???「やだ…流石にこんな勇姿を見せられちゃったら…」
「助けない訳にはいかないわよね」
オップ「…え」
オップにとって聞き覚えのある声だった。
オップ「男…」
「オバサン…?」
声の正体は、病室で出会った脚のない謎の男であった。しかし、病室の時と違い、男には脚があった。人の脚ならざる形をした機械的でもあるが生物的な不気味で異常に長い脚があった。マッコリの両手を掴んだ腕の様なものの正体はなんと彼の片脚であった。
シグキン達も彼の姿を目視する事ができた。
シグキン「あれは…」
オツキン「誰だ?」
男オバサン「あらやだ!?もう忘れちゃったのアタシの事!!やだショック〜…でも無理も無いわアタシだいぶあの時とイメチェンしちゃってるから🖤」
病室出会った時の男オバサンは髪の毛も髭もボサボサの状態であったが、この時の髪は綺麗にオールバックでまとめ、髭は芸術家のサルバドール・ダリの様に特徴的な形でまとめてあった。その姿は、全くもって内面と似合わない男であった。
マッコリ「は…離せッッ!!一体何が起きたんだ!!」
男オバサン「マッコリ・モッコリ…アンタの犯罪歴は、前から洗いざらい調べさせて貰ったわよ」
「殺人…強盗、誘拐に監禁、武器の密輸や密造その他諸々…まるで犯罪のバーゲンセールねェ!!二度とシャバの空気は吸えないと思いなさい…」
マッコリ「フッ…私を一度捕まえてもなぁ!!…すぐに」
男オバサン「23人の部下が助けに来るとでも…?」
マッコリ「え…?何故…数を?」
男オバサン「私のソリスト達がもう全員捕まえたわよ」
マッコリ「え…あ…あ…」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
宙ぶらりんになりながらも足をバタバタさせるマッコリに男オバサンは一喝し、思い切り上げていた脚を下げ、地面に叩きつけた。
男オバサン「お黙りッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
マッコリ「ンバボォババババッッ!!!!!!!!」
マッコリは即失神した。マッコリの周りには隠し持っていた大量の銃が散らばっていた。
男オバサン「さて…これで一件は片付いたわね」
「後は…」
男オバサンは片足で瓦礫の山を掴み投げ飛ばした。
オップは、すぐに幼いオペアンプクワガタを拾い上げた。
オップ「あぁ…大丈夫か…ごめんな…俺が…こんな事しなければこんな思いせずに…済んだのにな…ホント俺…馬鹿だ…」
オップは、幼いオペアンプクワガタに泣いて謝った。
幼いオペアンプクワガタは何故オップが謝っているのか、理解できなかったが、励ますように言った。
幼いオペアンプクワガタ「おじちゃんもう大丈夫だよ…ありがとう怖いところから出してくれて…ありがとう怖い人から守ってくれて…もう大丈夫だからおじちゃん泣かないで…」
オップはその言葉で少し自分の心が救われたような気がした。少し気持ちが楽になった瞬間、オップの見えない瞳から大量の涙が溢れ出した。
オップ「あぁ…あぁ!!ううぅ…うわああああああん…!!」
男オバサン「…」
「あぁいやん!!アタシこういうの駄目かも!!泣きそう!!いやぁぁぁん!!ズゾゾゾゾゾゾゾゾ…!!!!(鼻をかむ音)」
シグキン「オップ…!!!!」
シグキン達もオップのもとに駆け寄った。
阿部「すみません…出過ぎた真似をしてしまって…でも俺…」
シグキン「わかってる。正直俺たちもお前のおかげで助かった…ありがとよ」
氷虎「お前は立派だよほんとに」
Jack「初対面だが、我の次に勇ましかったぞ」
オツキン「は?」
ザ・ツー「サムズアップ」
オップ「あぁ…そうですか…あの…すみません…彼の治療を…」
そう言い残すとオップはばたりと倒れた。
シグキン「おいオップ!!オップ!?」
オツキンはすかさず、オップの脈を調べた。
オツキン「大丈夫…息はあるがすぐに病院へ!!」
オップ「すみません…ちょっと疲れたみたいです…」
オツキン「あぁ…わかったもうお前は喋るな!!その子と一緒にすぐに病院に送ってやる」
オップ「お願い…しますッッッッ!!」
オツキン「だから喋んなボケ!!!!!!!!」
オップと幼いオペアンプクワガタ。そして多数の負傷者を救急車で送り、本殿周りの爆発で発生した火も収まり。あたり一面落ち着きを取り戻した。
パシリアン団員「この暴動での負傷者は多数おりますが、死者は0人です。負傷者は現在、病院で治療を受けています!!」
男オバサン「そう…わかったわご苦労様」
パシリアン団員「では…」
団員が去った後、男オバサンは疲労でぐったりと座り込んでいたシグキン達の方へ向かった。
シグキン「まさかアンタが助けに来るなんて思いもしなかった…」
男オバサン「前からあの司祭の事は調べてたのよ…でも彼らが活動する本拠地がわからなくてね…そしたら偶然貴方達と出会ったのよ」
シグキン「利用したのか…俺たちを」
男オバサン「でもお陰で全員捕まえる事ができたし、被害者の信者達も助ける事ができたわ。ありがとう本当に感謝するわ」
追加セリフ
男オバサン「異種族を差別するレイシストは、過去にもいたけど…ここまで過激な行動をする連中は、見逃すわけにはいかないわ…」
その時、シグキンは咄嗟に自分達の前に黒い人のような形をした影が現れた。
シグキン「…!?」
シグキンは黒い影が現れたほぼ同じタイミングで右手にあった鎌を振った
Jack「びゃ!!!!!!」
オツキン「シグキン!?」
シグキンはすぐ違和感に気付いた。全く手応えがない。空振りをしてしまったのか?いやそれは違う。シグキンは瞬きの瞬間で自分の振るった鎌の刃が確実に黒い影に当たっているのを捉えていた。
シグキン「おっ…とっとっとっと」
体勢を崩したシグキンは地べたに仰向けに転げ落ちていたJackに覆い被さるように同じく仰向けで倒れ込んだ
Jack「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
シグキン「確かに斬った…だけど全く手応えが無かった…何なんだコイツは…!?」
その影はシグキンをしばらく凝視した後、男オバサンの方へ向かった。
黒い影「…、これを…」
男オバサン「あら?やっぱり"コレ"アイツが隠し持ってたのね。」
シグキン「おい!!なんだソイツは…アンタの部下か…?」
男オバサン「彼らは、『ソリスト』」
「アタシに協力してくれる特別な存在。目に見えるけど、実体は無いわ。ごめんなさいね驚かせちゃって」
シグキン「そんな奴いんのか…!?」
シグキン「…まぁいい」
男オバサン「あら…」
「見たことある顔だと思ったらアンタあれね?…ガパニーズの虐殺犯ね…」
一瞬、周りの空気が張り詰めた。
周りの沼達「…っ!?」
シグキン「…」
「何故それを」
男オバサン「アタシも昔、ガパニーズの関係に少し関わっていたからアンタの事はよく知ってるのよ」
「別にひっ捕らえようとか、殺された親族の怨みがあるとかそう言うのは全く無いから安心しなさい」
「むしろアタシは…」
「アンタの行動を肯定するわ」
「アンタが奪った命の代わりに多くの命が救われている」
氷虎「一体どういう事なんだ…?」
シグキン「勘違いすんなオッサン、俺は過去に人を殺している時点で根っからの悪人だ。それ以上はない」
男オバサン「そうね、余計だったわねごめんなさい。今の言葉は忘れてちょうだい」
シグキン「…」
男オバサン「…そういえば」
「話変わるけど…アンタ達5億は見つかったの?」
シグキン「…」
氷虎「…」
オツキン「…」
ザ・ツー「…」
Jack「?」
一同「あ」
氷虎「しまったああああああああああああああああああ色々ありすぎて忘れてたああああああああああ!!!!!!」
オツキン「もう駄目だこんな爆発の後だともう燃えカスだ…終わったもう駄目だ…ああ…!!!!」
シグキン「探せええええええええええええ!!!!身が粉になっても見つけるんだああああああああああ!!!!」
Jack「え?まじなん?????????ネコババするか…(小声)」
ザ・ツー「こいつなんかネコババするとか言ってます!!!!!!!!」
Jack「言うんじゃねぇ!!!!!!!!!!!!」
全員必死になって瓦礫の山の中を探したが、結局5億ゲラを見つける事はできなかった。
氷虎「終わった…」
オツキン「もう駄目だ」
シグキン「…やっぱJack売り飛ばすか」
Jack「自分で言うのもあれだけど、多分我の価値マイナス単位だぞ」
男オバサン「…心中お察しするわ」
「でもそんな大金、何のために用意したの?」
シグキン「5億を使って情報屋から買いたかったんだ…ニャキチッチ・ネコチヤンって人の所在を…」
男オバサン「…え?」
「それアタシの事よ?」
シグキン「…」
氷虎「…」
オツキン「…」
ザ・ツー「…」
Jack「?」
一同「え?」
男オバサンの本名はなんと、シグキン達が探し求めていたニャキチッチ・ネコチヤン卿であった。
ニャキチッチ「そうねそうね!!確かに自己紹介してなかったわ!!ごめんなさ〜い!!アタシ、あんまり人に自分の事言わないから〜!!でもアンタ達なら大丈夫そうだから特別に教えちゃったわ🖤いんやぁ〜ん🖤🖤🖤」
シグキン「り…理解が追いつかない…え?」
ザ・ツー「とりあえず目的は達成できるって事だよ」
シグキン「マジか!!んじゃあもう5億のことはいっか!!」
オツキン、氷虎「良くねぇよ!!!!!!!!」
ニャキチッチ「それでそれで〜🖤🖤遠路はるばるアタシを求めて一体何が聞きたかったの〜???」
シグキン「あの…」
ニャキチッチ「うんうん???」
シグキン「会議の時の昼食何食べたいんですか…?」
ニャキチッチ「え…?」
「それだけ…?」
シグキン「それだけです…」
ニャキチッチ「…」
「…」
「……」
「煮卵」
場面は変わり、秘密屋にいたガブキンは期待に胸を膨らませながら、シグキン達から5億ゲラを待っていた。
ガブキン「…」
「5億か〜」
「5億あったらなに使おっかな〜♪」
「とりあえず、スーパーで特売とか気にせずに刺身の盛り合わせとか買えちゃうぞ〜うへへ…」
そこで電話が鳴る。
ガブキン「はいはい〜あぁ君か!!死神君〜!!それで〜あの件はどうな…」
「えっキャンセ」
end.
数日後、某日。旧マンガン王国宮殿現パシリアン本拠地にて『理事・評議会』が開催された。
評議がとり行われる会場はとても広く。多くの各国の領主達と常務理事と呼ばれる。パシリアンの中枢を担う者達が勢揃いしていた。一番出口に近い席。いわゆる「下座」と呼ばれる席には、オサールも同席していた。そして、果てしない程長い会議席の列の先の真正面は、王宮の謁見の間になっており、その中に現パシリアンの理事長「ウェルサ・マイドン」がいた。しかし、謁見の間には巨大なカーテンがかかっており、その姿をよく見ることができなくなっていた。
普段滅多に姿を現さない、理事長がこの会議の場に参加している事が珍しく。各国領主達のひそひそ話の跡が絶たなかった。
とある国の領主A「あそこにいるのが、理事長か…」
とある国の領主B「噂ではポメティよりデカい大男らしいぞ…」
とある国の領主A「ホントかよ…?」
オサール「…」
進行役「えっー…静粛に。静粛に」
「静粛に…?え静粛に?…あれ静粛にだっけ…?あぁ静粛にだ。静粛ニィッ!!!!!」
「それでは、これより『理事・評議会』を行…」
その時、一人の男が会議を行う前に声を上げた。
フワンソワ「待ってくれ…会議が始まる前に一つ」
「皆の者『上座』を見てくれ」
フワンソワが指摘した上座の前には誰も座ってはいなかった。
フワンソワ「常務理事たるニャキチッチ・ネコチヤン卿が不在ではないか」
「パシリアンの上役にはこの会議への参加義務がある。にも関わらず、彼は不在だ」
「理事長の前でこの様な無礼は、常務理事として資格を自ら放棄する事と同義ではないのかね…?」
周りがガヤガヤし始めた。
とある国の領主A「確かに不在だ。理由も特に聞いていない…」
とある国の領主B「出た〜今年も恒例のフワンソワ卿によるニャキチッチ卿落とし…」
とある国の領主C「まぁあんな事されちゃ恨んだってしょうがねぇもんな〜…」
オサール「…」
その時。理事長が声を発した。周りの会話が一瞬でぴたりと止まった。
理事長「彼は急な体調不良により、今回は不在です。私が許しました。」
フワンソワ「で…ですが、理事長。不在するのであれば代理人を」
理事長「口ごたえしないでください。私が「良い」と言ったのです。問題はありません」
フワンソワ「…」
「…失礼致しました。」
周りの人々「…」
進行役「えっー…それでは、改めましてこれより『理事・評議会』を行います」
会議は一日程行われた。会議の内容もなんとなくの現状報告となんとなくの決議案が通り、ほぼ無駄に近い様なものであった。フワンソワ卿は勿論、組織の改革案を提示した。しかし、賛成する常務理事がほとんどおらず、フワンソワ卿の改革案は却下されてしまった。
会議が終わり、ずらずらと各国の領主達が帰る中、オサールはフワンソワ卿を探していた。人混みの中にオレンジ色の短髪と何処か哀愁漂う背中を見つけた。
オサール「…」
「フワンソワ卿…!」
フワンソワ「…」
「オモイカネか」
「何用だ」
オサール「いえ…あの。今回の件は残念に思います」
「私も、今のパシリアンには改革が必…」
フワンソワ「そんな事を話す為だけにわざわざ私を呼び止めたのか?」
オサール「…!」
フワンソワ「お前にはお前の仕事があるだろう…私に話しかける暇があればすぐにユリレイズに戻り、国民に今回の決議案を公表しろ…いいな?」
オサール「は…はい…」
一度振り向き、オサールを一目見た後。フワンソワはすたすたと歩いて行った。オサールは幼い時のように待ってと言わんばかりにフワンソワ卿の裾を掴もうとしてしまったが、我に帰りに伸ばした腕をだらんと下げた。
オサール「…」
オサールはやり切れない表情のまま、小さくなっていくフワンソワ卿の後ろ姿を見届けた。
フワンソワは即座にスマホの様なものを取り出し、誰かに連絡した。
フワンソワ「私だ。彼に取り継いでくれ」
「…」
「すまない。オモイカネか…私には果たさなければならない事がある…」
翌日。
とある部屋の中に会議に参加していたフワンソワ卿以外の数人の常務理事がいた。
ニャキチッチ「いらっしゃい🖤皆良く来てくれたわね。歓迎するわ」
常務理事達「…」
ニャキチッチ「クソの役にも立たない会議ご苦労様🖤」
「皆今回もありがとね。あのジジイの議案却下してくれて」
「ま、どのみちあの子が絶対受け入れないからあいつの議案が通る事は一生無いけどね」
常務理事の一人が震えながら声を上げた。
クソオヤージュ・ムセキニン卿「そっ…そそそれで…私の私生児(ムスコ)の不祥事の件は…公表しないでくれますよね…ニャキチッチ卿っ」
ニャキチッチ「ええ、勿論よ。取引ですもの🖤」
「貴方の保身は保証するわよ」
クソオヤージュ・ムセキニン卿「へへ…感謝いたすもす」
常務理事A「それでニャキチッチ卿…今回我々を呼び出したのはこれだけではないですよね…」
ニャキチッチ「そうよ。これから私達の計画に協力してくれる心強いビジネスパートナーを紹介したくてね…」
そういうとニャキチッチは右手からリモコンを取り出した。スイッチを押すと天井からモニターが降りてきた。
常務理事達「…!」
ニャキチッチ「さて、ご紹介しま〜す」
モニターの画面が開いた瞬間。一同が愕然とした。
そこには生きた魚を被った。異常な見た目をした沼であった。
ニャキチッチ「郷切身君よ🖤」
切身「常務理事の方々。はじめまして、元MDCRの社員の郷切身です。よろしくお願いします」
常務理事達「!?!?!?」
常務理事A「郷切身…!?」
常務理事B「生きていたのか…!?」
切身「ええ…この通り生きていますよ」
ニャキチッチ「驚くのも無理は無いわ。でも彼が生きているのは事実よ」
「早速だけど、本題に入るわよ」
ニャキチッチは郷切身との契約内容の全貌を話した。
あまりにもめちゃくちゃな内容に常務理事達はただ唖然としていた。
常務理事A「な…なんと」
常務理事B「無茶苦茶ですよ!!ニャキチッチ卿こんな計画…私はっ!!」
そうするとさっきまで陽気であったニャキチッチ卿の態度が急に豹変した。
ニャキチッチ「あら?何を言ってるの。アンタ達に拒否する権利が無い事は自分でもよくわかっている筈よ?」
「何?アンタ達はアタシに全ての弱みを握られている事を忘れちゃったの…?」
そう言われると常務理事達は黙り込んだ。
「…」
するとニャキチッチはいきなり一人の常務理事に指を指した。
するといきなり後ろから黒い何かが飛び出した。飛び出してきた何かはいきなりその常務理事の胸元に刃物の様なものを突き刺しながら押し倒した。
常務理事C「ガハッ…!?!?」
他の常務理事達「!?!?!?」
クソオヤージュ・ムセキニン卿「ヒッ…!?ヒィィィィィイッ!!!!」
黒い何かの正体は、ニャキチッチ卿に使える。「ソリスト」と呼ばれる得体の知れない人の形をした何かであった。
ソリストは既に生き絶えていた常務理事の胸ポケットから何やら小さな機械を取り出した。どうやら録音機のようだった。
ニャキチッチ「んもうこれだから、人間族って嫌いなのよ…なんでアタシこんな種族に生まれちゃったのかしら…?」
「お願い」
ニャキチッチが一言かけると、ソリストは録音機を壊した後。体の形を粘土の様にぐちゃぐちゃと変え、刺し殺した常務理事と瓜二つの姿になった。
常務理事達「!?」
ニャキチッチ「良い?少しでも妙な真似をすれば家族諸共殺すわ。アンタ達の代わりなんていくらでも用意できるの。にも関わらずアタシがアンタ達を生かしてあげている理由…わかるかしら…?」
常務理事達「…」
すると先程常務理事Cと瓜二つになったソリストが答えた。
常務理事C(ソリスト)「『プリマ』がお優しいからです」
ニャキチッチ「うん🖤そッッッッッ!!!!」
「アタシは心の底から信じているの…アンタ達を。だからお願い」
「『私』にただ黙って従いなさい」
常務理事達が帰った後。がらんどうとなった部屋の中にモニターに映し出された郷切身とニャキチッチ卿だけになったが、ニャキチッチ卿の影の中からまた一人、先程のとは違うソリストが現れた。
ソリスト「…プリマが隠れ蓑にしていた診療所。その他の滞在場所全てフワンソワ卿の兵士に襲撃されました」
ニャキチッチ「そう…なるほどね。彼らを利用(つか)ってアタシの居場所を突き止めようとした訳ね」
「ウェルサの秘書の一人。ジジイの元教え子よね?無害だったから泳がせといたけど、そろそろ動きだしそうね…アンタが殺して成り代わりなさい」
ソリスト「御意に」
「あとそれと…」
ニャキチッチ「何?」
ソリストは、煮卵が3つ程詰め込まれたタッパーを取り出した。
ソリスト「プリマが会議の昼食にいただく予定だった。煮卵です。毒はありませんでした」
ニャキチッチ「まぁッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ソリスト「では…」
そういうとソリストは、ニャキチッチの影の中に沈んだ。
切身「華のない殺し方をしますね。貴方の部下は」
ニャキチッチ「アンタと違ってアタシは仕事に私情を持ち込まないの」
そういえばアンタお昼はまだよね?」
切身「えぇ、これからですけど…」
ニャキチッチ「ならこれから会食しない?オンラインで🖤」
切身「いいですよ」
しばらくした後、ニャキチッチ卿はタッパーの中の煮卵を。郷切身は、焼いた鉄板の上に置かれた300g程のビフテキを会話を挟みながら食べた。
ニャキチッチ「アンタが食べるとしたら魚じゃないの?」
切身「僕は肉しか食べない…魚なんて普段食べないし食べたいとも思わないよ」
ニャキチッチ「あら、そうなのね」
追加セリフ
ニャキチッチ「あっ、そうそう。アンタが手放した『ドカ魔剤』やっっっっと見つけたわよ」
切身「おぉ!それはそれはおめでとうございます。で?結局どこまで流れてたんですか?」
ニャキチッチ「白濁教の司祭が持ってた」
切身「そんなアングラな所まで…」
ニャキチッチ「絶大な回復効果を持つ代わりに。種の枠組みを超えてしまう魔剤…人間至上主義の司祭が使うわけないけど、どっかに売りつけて無くて良かったわ〜」
切身「貴方がもっと前持って僕に言ってくれていれば差し上げたのに」
ニャキチッチ「てかアンタはドカ魔剤は作れないの?」
切身「薬学は、範囲外です。それにドカ魔剤を開発するくらい優秀な友人がいましたからね。ま、死にましたけど」
切身「ところで…貴方の計画は進んでるんですか?ニャキチッチ卿」
ニャキチッチ「ええ順調よ。コアがないからメメントモリとしては使えないけど、ジェラルディの時と同じく代用品のコアは作れるからカタストロフィとしては機能する。抑止とするには充分」
「本当はジェラルディがどっかに隠したコアを使って。彼がやろうとした『アンチメメントモリシステム』とやらの詳細を調べて見たかったけどねえ」
切身「やめてほしいな卿。アレは今の時代には早すぎるシステムだ。実現されれば僕は困る…貴方も困るでしょ」
ニャキチッチ「ま、それもそうね〜」
「今も私がかき集めた元MDCRの開発チームが不眠不休で私の為だけにカタストロフィを復元してくれているわ」
切身「ふふ…流石ニャキチッチ卿、相変わらず人を漬け込んで使い潰すのがお得意ですね」
ニャキチッチ「ヤッダ!!!!愛が深いと言いなさいよ!!愛が深いと!!!!」
「突然の解雇とMDCRの社員だったという訳で世間から見放されて心にポッカリ穴を開けたあの子達に私が愛と生きる意味を与えてあげたのよ」
切身「へぇそう」
「あ!そうそう!!カタストロフィの戦闘プログラムを担ってた若い子。アンタのせいで心病んじゃって、治すのもアフターケアするのも苦労したわよ〜本当」
「アンタ、若い女の子の目の前で金で雇った山賊使って随分惨い事をしたみたいね。ほんっと趣味悪いわ〜〜」
切身「彼女は僕ととても考え方が似ていた…彼女は僕の理解者になってくれるかもしれない。だから僕が一番何が好きなのか、それを見せただけだったんだけど…やっぱり僕と一緒の人はなかなか現れないね…」
ニャキチッチ「やっだぁ!!いるじゃないこ・こ・に🖤」
切身「ははははははっ貴方は不純でとても下品じゃないですかぁ」
ニャキチッチ「まぁッ!?!?!?!?!?!?」
そして数日後。
夕暮れ時のとある場所でニャキチッチがタバコを吸おうととあるところに足を運んだ。
ニャキチッチ「あら…?」
ニャキチッチの先にいたのは、うずくまるように道の端にしゃがみ込んだ一人の沼であった。その沼は黒縁のサングラスを付けていた。バチキンであった。
ニャキチッチ「そこのイカしたサングラスのお沼さん。こんな所で何をしているの?」
バチキン「ん?お前誰バチ?」
ニャキチッチ「あら、やだ質問を質問で返されちゃったわ」
「これは失礼したわ。アタシはね…強いて言うなら…」
「男オバサン」
バチキン「斬新な呼び名バチね」
「『バチキン』バチ」
バチキンは、腕いっぱいに沢山のフロッグシグマを抱えていた。
ニャキチッチ「バチキンちゃん、その大量のカエル…どうするの?」
バチキン「全部使ってラーメンにするバチ!!」
フロッグシグマ達「エエエエエエエエエエーーー!?!?!?」
ニャキチッチ「ざ…斬新ね」
バチキン「友達に何でもラーメンにできる凄えやつがいるんバチよ!!顔に誤字が書かれてるけど」
ニャキチッチ「?…それ、氷虎君ね?」
バチキン「え!?なんで知ってるバチ!?」
ニャキチッチ「この間ね貴方のお友達に助けて貰ったのよ🖤」
バチキン「ヘェ〜そうバチかぁ」
「アイツら、見かけによらず良いところあるバチ」
「なんだか自分の事、褒めてくれてるようで嬉しいバチ(手の甲で目を擦る)」
バチキンは、何となく、フロッグシグマを触った手の甲で目を擦ってしまった。
ニャキチッチ「…!?コラ!!およしなさい!!」
バチキン「…!?」
「ンガァッ!!目が…目が痛いバチ…!!痛いバチ!!」
ニャキチッチ「目を閉じてなさい」
ニャキチッチは、バチキンの目元に手を当て、治癒の魔法を施した。
バチキン「ハァ…ハァ…死ぬかと思ったバチ」
ニャキチッチ「もう痛くないわね?」
バチキン「治ったバチ!!ありがとう!!オバサン良い奴バチなぁ!!」
ニャキチッチ「ふふ…フロッグシグマの皮膚に付いている粘液は毒性よ触ったら、手の甲でも目を擦っちゃ駄目よ。目が見えなくなるくらい腫れちゃうから」
バチキン「気をつけるバチ…」
「あ…」
バチキンは、先程抱えていたフロッグシグマ達が全員逃げ出してしまった事に気付く。
バチキン「全員逃げちゃったバチ…」
ニャキチッチ「もうすぐ夕暮れよ、フロッグシグマ集めはまた明日にしなさい」
バチキン「わかったバチ」
ニャキチッチ「良い子ね」
バチキン「オッサンじゃあねバチ!!」
笑顔で手を振り、帰っていったバチキンにニャキチッチは微笑みながら手を振り返した。
ニャキチッチ「(あれが元帝国の主…あまりにも純粋無垢すぎるわ)」
「(やはり、アレが取り憑いていたと考えて良いみたいね)」
「あら…?」
「珍しいはね、アンタが顔を見せに来るなんて…」
「ナナメ村の村長さん」
村長「…」
「ここは少し離れていますが、ナナメ村の所有地ですよ」
ニャキチッチ「あら?そうだったかしら」
ニャキチッチは惚けた振りをして口に咥えた煙草にライターの火を当てた。
ニャキチッチ「アンタは吸わないの?」
村長「辞めたんです。タバコは」
ニャキチッチ「フゥン…あら、そう」
「アンタが今更命を惜しむなんてね」
「まぁ、良かったわ。アタシ、あのタバコ下品で大嫌いだったから」
副流煙ともに台詞を吐いたニャキチッチは村長の横を通り過ぎていった。
ニャキチッチ「んじゃあね〜」
通り過ぎた後、ニャキチッチは下を向きながら自分の影に向かって呟いた。
ニャキチッチ「殺しなさい」
ソリスト「御意に」
ニャキチッチの影から別の影が水面下を高速で泳ぐ魚の様に村長足元に迫っていた。
すると突然村長の足元の影からソリストが飛び出し、目にも止まらぬ早さで村長の首めがけて手元の刃を振り下ろした。
村長「…」
しかし、その瞬間、ソリストの上半身と下半身が突然、くの字にパックリと割れた。切り離された断面は真っ黒で何も見えないが、そこから墨汁の様に真っ黒な血の様なものが噴き出した。
ソリスト「…っ!?」
村長「…」
村長は何も起こっていなかったようにそのまま、すたすたと歩いて行った。
振り向いたニャキチッチは、村長の後ろ姿を見ながら嬉しそうに笑いながら叫んだ。
ニャキチッチ「あはははははハッ!!…やっぱり駄目ね🖤」
村長「…」
「村には手を出すな。ガストルニムス」
村長は一歩立ち止まり、何処か虚ろな眼差しでニャキチッチを睨んだ。
ニャキチッチ「本名で呼ぶんじゃないわよクソジジィ!!」
「今後、余計な詮索はしない事ね…次は本気でぶっ殺しに行っちゃうから…」
そう言い残すとニャキチッチはその場をあとにした。
一人残った村長は、赤らむ空を眺めていた。
同じ夕暮れの空。オレンジ色の空が反射した湖畔の上で一隻の小舟があった。
フサキン「もう何日経ってんの!?本当にここに落ちてんのシュミタロウ!?」
マリキン「多分この湖にまで投げ飛ばしたと思うんだよな…」
「ってオメェ!!釣竿じゃいつまでたっても釣れるわけねぇだろ!!」
フサキン「そう言うマリキンだって何もしてないでずっとスマホいじってるじゃん!!」
マリキン「馬鹿!!俺はこの下に壺を下ろした。アイツが気が付いて壺の中に入ってくれれば、俺はそれを全力で引き上げる!!それまで待機ッ!!」
フサキン「アイツのことタコかなんかだと思ってるの…?」
シュミタロウは数日間、湖畔の奥底で仰向けになって動けずにいたが、顔面には複数の怒り筋が浮かび上がっていた。
シュミタロウ「…」
「早く来い…早くおれを……」
「引き上げろ……!!」
to be continued.