共依存学パロ🖤❤️
大盛がすぎる。
世界線としてはいつぞやの学パロ💜💛と似たような世界だったり…。
@wiz_library
最初のきっかけは、友達との何気ない会話だったらしい。
「ねぇ、御莉姫ってさ、いつもお昼はパンだけど足りてるの?」
「ん~?どしたの急に?」
「いや~、だってさ!見るたびにパン二個くらいしか食べてないじゃん?お腹減らないのかなって。」
「あーね。いや、減るっちゃ減るけど…やっぱ太りたくないからさ。」
「え~?十分細いのに?まだ痩せようとしちゃう?」
「油断しちゃいけないのよ、こういうのは。意識してないとすぐ太っちゃうんだから。」
お昼休みにしていた、友達とのよくある会話。気になったことを聞いて、思ったことを答えるだけの、どこにでもあるやり取り。そんな言葉たちは、その場のノリに紛れて、教室の雑踏の中に消えていく。
「…。」
「硝子宮~?」
「あ、ごめんね!今行く!」
そのはずだった。少なくとも、私にとっては。
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放課後、部活も終わった帰り道。
私は某ハンバーガーチェーンの前で決断を迫られていた。
「いや~、三日連続は流石に…。」
くぅ、とお腹の音が鳴る。正直、自分でも分かってた。お昼にパンだけじゃ足りないってことくらい。
でも!仕方ないじゃない!こんな頻繁にジャンクフードを食べていたらそりゃ太るに決まってるでしょ!!だからせめてもの抵抗としてお昼ご飯を減らしていたんだけど…。
くぅ~、ともう一度お腹が鳴る。
頭では、金銭面とか栄養価とか、いろいろ天秤にかけて悩んでるというのに…。お腹は『そんなこといいから早く食わせろ』と急かしてくる。
う~~~ん…。家に帰っても平日は料理をする気にならないのよね…。だから、どうせ宅配で何か頼むことになるだろうし…。
それなら、今日もやっぱり──
「御莉姫ちゃん?」
「ん?」
「あ、やっぱり御莉姫ちゃんだ。」
声のした方を向くと、私と同じ制服を着て、ぬいぐるみのキーホルダーがたくさん付いたバッグを抱えた子が立っていた。
「硝子宮?今帰りなの?」
「うん。今日は部活なかったんだ。」
「あぁ、それで…。って言うにはちょっと遅くない?」
「うん。委員会のお仕事はあったからね。」
「なるほど、そういうことね。」
彼女──硝子宮は私のクラスメイトで、時々お話するくらいの仲だ。
たしか吹奏楽部に入っていて、クラス委員の仕事もしていて、とにかく忙しそうにしている子。ちゃんと休めてるのかしら?人の役に立とうとするのは立派なことだけど、心配になるくらいにこの子は走り回っているのよね。
「御莉姫ちゃんは?ここでなにしてるの?」
「いや~、今日の夜ご飯、どうしようかなって思ってて。」
「あ~…。時々ならいいんじゃないかな?」
「時々なら、ね…。」
なんのお店の前に立っていたのかを見て、彼女は私がなにを悩んでいるのか察したみたいだった。
思わず「ハハ…」と乾いた笑いが漏れる。そうよね…。そりゃ『時々なら』って言いますわ。このお手軽さと美味しさにすぐに逃げてしまう自分が、なんだか恥ずかしくなってくる。
「その反応…。御莉姫ちゃん、もしかして…。」
「はい、お察しの通りです…。」
「あちゃ~。でも、美味しいもんね。仕方ないよ。」
あぁ…硝子宮さんよ…。君は優しいね…。眩しいや…。
単なる私の怠惰を慰められてしまって、なんだかいたたまれなくなってくる。
やっぱりこんな食生活良くない…。気乗りはしないけど、今日はちゃんと帰って料理をしよう。栄養を摂ろう、うん。
「ありがとう硝子宮。今日はこのまま帰って何か作ることにするわ…。」
「? えっと、どういたしまして?」
引き留めちゃってごめんね、そう言ってお別れをした。
…つもりだった。
歩き出した私の隣に、硝子宮が当然のように並んで歩いている。いや、平然と私の隣に並んでいるけど君─。
「…家こっちだっけ?」
「こっち…じゃないね。」
「えっと…どうしたの?なにか言い忘れたことでもあった?」
「えっとね…。」
口をもごもごとさせながら硝子宮は自分の髪をくるくるいじっていた。
あ、言いたいことあったんだ。じゃあさっき変に会話切っちゃったの申し訳ないな…。
しばらくもじもじとしていたけど、ようやく決心が固まったのか─もしくはやけっぱちなのか─バッグで顔を半分隠しながら、視線をそらしてこう提案してきた。
「良かったら…私の家で食べない?」
言い訳をさせてもらいます。違うんです。いや、家にお邪魔した時点で何が違うんだって話かもしれないけれど…でも違うの。
だって、あの子からあんな顔で誘われて、断れる人間なんてこの世にいないでしょ?!断言できる!絶対にいない!!
「ねえ、硝子宮?やっぱり私にも何か手伝わせてくれない?上げてもらって、それでごちそうにまでなるのに、何もしないのは…。」
「いいの!御莉姫ちゃんは座ってて!」
「アッハイ。」
『楽しみに待ってて!』と言われたから待っているのだけど…何もしないのはそれはそれでソワソワしてしまうものよね。まあ、座っていてとのことなので、おとなしく座って待つことにする。せっかくだし、課題でも終わらせておこうかな…。
──こんなの、将来の何に役に立つんだろう?よく分からないカタカナの羅列を空欄に埋めながら、そんなことを思った。勉強をやめたら一週間ともたずに消えていきそうな知識を、必死にとどめようとしているのがなんだか滑稽に思えてくる。
課題をやるのにも飽きて、変な考えがグルグルしてきた頃。いつの間にか、香ばしいお肉の匂いが部屋を漂っていた。そろそろ完成かな?なんて思ったタイミングで、ちょうど硝子宮がお皿二つを持って部屋へと入ってきた。
「おまたせ〜!」
「あ、ごめん!散らかしちゃってて…。え、すご!?」
運ばれてきたお皿の上には小ぶりのハンバーグが二つ。お店みたいに完璧じゃなくて、形は少し歪で、ところどころ焦げてたりもしていたけれど、それがむしろ美味しそうに見えた。
私の反応が良かったからなのか、硝子宮は腕を組んでふふんと鼻を鳴らして言ってきた。
「すごいでしょ!ママ…こほんっ。母上直伝のハンバーグです!」
「思ってたよりすごいもの出てきてびびってるわ…。毎日こんなの作ってるの?」
「流石に毎日じゃないよ。今日は御莉姫ちゃんが来てくれたから張り切っただけ!」
「あ~、そうだよね!流石に毎日なわけないよね!」
「うん!普段は朝に、お昼用と夜ご飯用で分けて作ってるの!」
「…あれ?硝子宮って確か、お昼にいつもお弁当食べてたよね。あれも自分で作ってるの?」
「…?うん。毎日作ってるよ?」
あぁ…一瞬期待してしまった。この子も私と同じものぐさなのかなって。そんなわけないでしょアナタ…。
というか、なんでもないことのように答えてるけど、毎日作るのって相当大変でしょうに。
「ねえ、御莉姫ちゃんって、お昼はいつもパンだよね?」
私と硝子宮の生活のレベルの差に絶望していたところへ、痛いところを突かれた。
え?どこで知ったのそんなこと。恥ずかしいんだが?
「あ~、まあ、うん。作るのが…じゃなくて、簡単に食べられるからね。」
「う〜ん、もうちょっとちゃんと食べた方がいいと思うんだけど…。」
「うっ。」
さらに痛いところを突いてくるな…。いや、嫌がらせじゃなくて親切心で言ってるのは分かってる。でもね硝子宮、それは時々、鋭い刃になって人を傷つけるものなのよ…。
ただまあ、言っていることは正しいので、私は大人しく硝子宮の言葉を飲み込むしかない。良薬は口に苦いって言うし。
「まあ、そうよね。流石にパンだけじゃね…。」
「あ、そこでなんだけどね…。御莉姫ちゃんさえよければ、お昼ご飯、私が作ってもいい?」
「え?!いやいや、それは申し訳なさすぎるって!」
「あ!違うの!みゃー、いつも作りすぎちゃって…。だから、その…。」
「はは〜ん?なるほど?残飯処理係と。」
「違うよ?!みゃー、余った分はちゃんと夜に食べてるもん!」
「それなら余計に私が食べるの申し訳ないよ。硝子宮の夜ご飯がなくなっちゃうわけでしょ?」
「えっとね…。お昼ご飯と夜ご飯が同じ生活って、結構キツイっていうかね…。」
ああ、そっか。二食同じものが続くのか。それが毎日ってなると確かにキツそうよね。
ん~、お昼をパンにしていたのも面倒さが勝っていただけだし──ダイエットと言うならパンは避けるべきだろうしね──きちんとしたご飯が食べられるなら願ったりかなったりではあるか。
「そういうことなら、いただこうかな。」
「やったあ!ありがとう!じゃあ、さっそく明日から持って行くね!」
「いやいや、こちらこそありがとうね。お世話になります。」
このクオリティ…とまではいかなくても、この子の手料理が食べられるかと思うと、ちょっと明日からが楽しみになってしまう。
まあ、後問題があるとするなら──
「…作ってもらう立場でこんなこというのも申し訳ないのだけど、私、結構好き嫌い多いのよね。」
「そうなんだ?例えばな〜に?」
「野菜とか…。」
「えへへ、みゃーもお野菜は苦手。」
お、案外好みが合いそう?
翌日。
硝子宮は本当にお弁当を作って持ってきてくれた。渡すなり委員会の仕事でさっとどこかに行ってしまったので、今日のお昼もいつもの友達グループと食べることになった。
「お~、おりひー、お弁当?珍しいね?」
「あ、そうなの。作ってもらったんだよね。」
「へ~?お優しい彼氏さんですね~?」
「え~?!彼氏?!裏切りじゃん!紹介してよ!」
「ざんね~ん!これはお友達からで~す。でもすごくない?おいしそうでしょ?」
そういえば、お昼ご飯を作ってもらうって、ちょっと恋人っぽいのか。私と硝子宮は言った通り友達だけど、そんなことを言われたら少し舞い上がってしまう。だって、友達以上の関係になれるかもしれないでしょ?
…あ、別にやましい意味じゃないからね?ただ”親友”って言えるような人が出来るのなら嬉しいなって、それだけ。
その日のお昼休みは私のお弁当のことで盛り上がったけど、やっぱり何もなく終わった。今日のお弁当も本当に美味しかったあたり、もしかして硝子宮と私の好みって、結構近いのかしら?
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外では雷が激しく鳴り響いていた。雨の時期だから仕方ないけれど、それでもやっぱり鬱陶しいし、強い雨は不快でしょうがない。
そんな中でも、私は今日も今日とて、お弁当箱を返すついでに硝子宮の部屋で夕食を食べていた。これもすっかり習慣になってしまっている。食生活が変わったおかげか、私も健康に過ごせている!──気がしてる。
「ご馳走様でした~。」
「は~い、お粗末さまでした。」
『姫の料理も食べてみたい。』──お互いをあだ名で呼び始める仲になった頃、みゃーはそう言ってくれた。私は一人暮らしで、しかも適当な食事ばかりしていたから、人に食べてもらえるようなレベルじゃなかったんだけど…まあ、それでも硝子宮──じゃなかった、みゃーは喜んでくれたからいいか。
私とみゃーの好みは、やっぱり似ているらしい。私のどんな料理も、おいしそうに食べてくれた。
みゃーが毎日私にお弁当を作ってくれるのが不思議だったけど、自分が作ったもので喜んでくれるのなら、確かに毎日作りたくもなるか。だからその日以降、お弁当の感想をなるべく詳細に伝えるようにした。これが、ちょっとでもみゃーのモチベにつながっていたら嬉しいな。
そんなこんなで、お互いに料理を作るようになってしばらく経った今日。当番が私だったから、パスタを作って二人で食べたってわけ。食べ終えて、二人で課題を終えて、そろそろ帰ろうかな〜と思った頃。みゃーは、あの日のように視線をそらしながら、遠慮がちに言ってきた。
「姫~…。」
「ん、どうしたの?」
「えっと…今日、雨すごいでしょ?雷もすごいでしょ?だから、こんな中帰るのは危ないっていうか─」
一瞬、視界が白くなった。その直後、地鳴りと一緒に大きな音が響き渡った。
「おぉ~。もしかしたら近くに落ちた?」
「怖いこと言わないでよ…。」
隣に座っていたみゃーが、音に反射して抱きついてきた。課題中にも何度かあったことだけど、今回は特に音が大きかったせいか、小さくなって震えていて、今にも泣きだしそう。
雷なんてそうそう当たるものでもないんだからそんなに怖がらなくてもいいのに…。
な〜んて、怖がっている人を目の前にして言うことでもないので、私は雷に遮られたみゃーの言葉をもう一度聞くことにする。ま、なんとなく言いたいことは分かるのだけど、一応ね。
「ごめんごめん。それで、なんて言おうとしたの?」
「あ、うん…外、雷すごいでしょ?だから、泊まっていったらどうかなって…。っていうか、みゃーのためにも泊ってほしい…。」
ん~。明日は休みだし、確かに雷も雨もひどいんだよね…。それに、この状態のみゃーを置いて帰るわけにもいかないし?
というか、雷でここまで怯えちゃうなんて…大丈夫なの、この子。
「みゃー、今までも雷は鳴ってたと思うけど…こういうとき、どうしてたの?」
「ん~、家族に電話してた…。」
「…寝るまで?」
「うん。家に帰ってから寝るまで。ずっと。」
ずっと、かぁ…。大変だろうな。親御さんも、みゃーも。一人が不安ってことなんだろうけど…なら、なんで一人暮らしを…?チャレンジ精神だけ先走っちゃったパターン?
う~ん、気になるけど聞いてもいいものなの?
…微妙にセンシティブな話題な気がするし、適当にお茶を濁しておこっかな。
「親御さん、今日の雷も心配でしょうね…。」
「大丈夫!このあと『友達と一緒にいるから』って連絡する予定!」
「え~?私まだ泊まるって言ってないよ?」
「え?!泊まってくれないの、姫…?」
本当に泣き出しそうな目でこちらを見上げてきた。さっきからずっと引っ付いてきてて、嗜虐心が疼いてしまったからちょっとしたイジワルをしたけど、流石にこれ以上はダメそうね。
「嘘よ、嘘。外は雨もすごいし…お言葉に甘えて泊まらせてもらうね。」
「やった~!ありがと!!」
ご家族との時間を奪うことになるかな…なんて一瞬思ったけれど、このみゃーを置いて帰るのは、やっぱり私の良心が痛む。ご家族の代わりに、今夜は責任持って私が安心させてあげましょうね。
…そんな決意をしたものの、どうすれば安心するの、この子は…?
分からないから、取り敢えず頭を撫でてみた。
どうやら効果はバツグンだったようで、みゃーの表情はパッと明るくなって、私の撫でる手にすり寄ってきた。
「…ところで私、今、制服しかないんだけど。」
「? みゃーの使えばいいんじゃないの?」
いや、身長差を考えてね?
「…。」
「…ぷっ。」
「ねえ?硝子宮?アナタ、笑わないって言ったよね?なにか、”ぷっ”って聞こえた気がするんだけど?」
「笑ってない、笑ってないよ。大丈夫。かわいいよ姫…!ンクク…!」
「みゃ~?そんなに笑いたいなら、思いっきり笑わせてあげるわよ!」
「わ~!待って待って!ごめんってば!!!」
シャワーから上がって、みゃーのぶかぶかの服を着た私を見て笑ってきたみゃーを、くすぐり倒してやった。
その夜は、外の激しい雷雨もかき消すくらい、私たちの笑い声が部屋に響いた。