貿さん✕かー子。気づいてしまった話。
@san_ph7
夜ふと目が覚めてしまうことがある。
しばらくは船底を波が打つ低い音を聞いたり、横で眠っている人の横顔を眺めたりする。静かに寝息を立てて、穏やかな顔をしている。
手を握る。指輪は、いつも彼は外して眠るのだ。私もそれにならって、そうしている。細くて綺麗な手だといつも思う。書類仕事が多いせいか、暇な時間に手を揉んであげたりすると、結構気持ちよさそうにしてくれる。昼間堂々と手に触れる機会なので私も楽しい。しばらく、手を撫でて遊ぶ。
……最近気づいたことがある。この人は寝ている間は、少し体のサイズが小さいように思う。平時は10cm近くあるヒールを愛用しているので、もちろんこうして眠る時などはその分の高さを感じないはずなのだが、そうしたこととは少し違う気がする。
彼とは頭一つ分程身長の違いがあったはずだ。
起こさないように気をつけながら体を彼の方へ寄せる。足のつま先で、彼のかかとがどこにあるのか確認すると、ずりずりと、体を下の方へ移動させた。これで足の位置は同じはずだ。地面に立っているわけではないから、きっと正確には分からないだろうけど。
いつもなら、こうしていれば彼の顎が、丁度私の頭にのるくらいのところにあるはずだった。今私の目は、彼の唇を捉えている。
やっぱり少し、小さいらしかった。
どうしてだろう? 大きい方が都合がいいのだろうか?
握ったままだった彼の手がぴくりと動いた。
眠そうに薄目を開けて、私の方へ顔を向ける。起こしてしまった。握った手をぐいと引っ張られて抱き寄せられる。あたたかい。首元に顔を埋める。
「……なにしてるんですか?」
「ごめんなさい」
「なにをしてるんですかって、きいてるんですよ」
半分夢の中なのか、どこかもごもごとしたはっきりしない言い方をする。可愛い。怒ってはいないようだった。……本当に怒らせたことなど、ないような気もする。
「貴方に触りたくなって」
「……ふぅん」
大きな手が私の頬に触れた。そのまま唇が重なる。そのままぼんやりとしていると、彼が私に覆いかぶさるように体を移動させた。
「陛下、あの」
「したいの?」
目を細めたまま、私にそう聞く。とても眠そうなのに。
……あ。
彼の体の大きさが、元に戻っている気がする。
突然、何故彼が私といるときにその体型にこだわっているのか分かったような気がして、顔が熱くなった。
「ねぇ、きいてます?」
赤い瞳のその人は、眠たそうな声をしたまま、多分真っ赤になった私の顔に頬ずりをしたり、誘うように唇を舐めたりした。どぎまぎしてどうしたらいいのか分からなくなったので、覆いかぶさる彼の背に手を回して抱きつく。それを是を受け取ったのか、彼の手はするすると私の体を撫で始めた。
「いっかいだけですよ」
優しそうに、宥めるように彼は言った。