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flumpool今昔

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2016-06-19 11:20:46

前をしっかりと向いている顔をしながら、flumpoolが血眼になって見つめているのは過去だ。

「音楽と人(2016年3月号)」の内容は、本当に衝撃だった。個人的な話をすると、わたしがflumpoolをよく聴いていたのは人生のどん底みたいな時期で、そういう時期を乗り越えることができたひとつの大きな要因がflumpoolであることは間違いない。しかし「音楽と人」の記事について極めて正直に表現するならば、“大好きなflumpoolが、flumpoolによって破壊されてしまい、flumpoolを愛していた時間は全て否定されてしまった”気分だった。とにかく、最悪だった。flumpoolはインタビューの中で、過去の自分たちのあり方がどれだけ未熟で、納得がいかないものであったかを語り、今の環境がどれだけ素晴らしいかを話してみせた。
 今が前より素晴らしいのはとても良いことで、わたしはflumpoolが今の環境をそういうふうに捉えられているのは素敵だと思う。反対だったらゾッとする。
 確かに、今を肯定するにはある程度過去の話をしないといけないだろう。過去と比べて、「昔はここがダメだったけど今は良くなった」とか。でもflumpoolが引き合いに出したのは、それまでのflumpoolの根っこみたいなもので、わたしが愛してきた、助けられてきた全てだった。だから“最悪”だったんだと思う。だってそれを否定してしまったら、わたしが見てきたflumpoolにはほとんど何も残らなくなる。そういうレベルの話だった。
 極端に言えば、彼らは、それまでのほとんどを否定することで、価値などなかったことにしてしまった。そしてわたしは、flumpoolを追いかけていた自分が、本当は何もない空虚を追いかけていたことを知った。空虚に支えられていたことを知った。

 だからやっぱり、わたしがflumpoolを愛していた時間は、flumpool自身によって無に帰されたのだ。


以前、アルバム「EGG」についてのはてなブログの記事で、わたしはこんなことを書いていた。

“このアルバムで、わたしが大切にしていた、大好きだったflumpoolのそういう部分は決して消えていないしむしろ濃くなっているなあと感じました。”

こう思ったのは半分本当で半分嘘だ。それでも上のような言葉を選んだのは、ああ言わないとわたしの気が済まなかったからである。ああでも言わないと、わたしが好きになったflumpoolを、それを追いかけていた時代を全て否定してしまうことになったからである。

この記事を書いた後、わたしは思っていたよりEGGというアルバムが好きになったし、ライブにも行った。特にすごく変わっていたという印象はなかったし、今まで通り、きっちりと思いを届けてくれたライブだったと感じた。それでもやっぱり、「音楽と人」の内容は衝撃のままだった。だからこういう記事を書く。これは、悲しさとか悔しさとかそんな次元じゃない。わたしの大切な時間を粉々にした、flumpoolに対する怒りだ。

「音楽と人」で語られた、それまで(主に「FOUR ROOMS」より前まで)について、flumpoolは下のように語った。

○山村隆太
「やっぱり今まで、flumpoolには嘘くささっていうか、薄っぺらさがあったと思うんです。何に対してもふわっとしてて、作り笑顔で、覚悟を持って斬り込めてなかった。『みんなを守るよ』なんて、出来もしないのに、そういう歌を歌ってた」
「みんなで前を向いて行こうとか、みんなの背中を押したいとか、そういうことを唄ってきたけれど、顔も見えない不特定多数に唄うのは嘘くさくて。」

○阪井一生
「これまでの僕たちって、あまり自分から発信してない感じがしたんですよ。〈flumpoolはこういう感じ〉という漠然としたイメージが先にあって、そこに寄りかかっている感じ」
「僕らが作りたい音楽は作れてなかったというか、作らせてもらえなかったというか。」
「僕らはずっと操り人形みたいだったと思うんです。(中略)テンポも歌詞もメロディも、細かく決められた枠内で作ってたので。」
「とにかくやってて楽しくなかったんですよね。」
「昔は隆太の発言ひとつとっても、リアリティに欠けてたし、ちょっと壁がある感じだったけど」

○尼川元気
「今まで、自分たちの曲に魂を込めることが、俺たち出来てなかったんだなって思います。」
「バンドで鳴らしてる音に関して全部背負えるか、腹括れるか、って問われたら、ちょっと考えてしまうというか、そういう強い覚悟で向かい合えてなかった」
「(ベガについて)作っておきながら、あんまり好きじゃなくて」「(ベガは)自分から生まれたというより、バンドのイメージに寄せてった感じです。」
「今までの僕ら、惰性だったんですよ。演奏に満足が行かなくても、お互い〈まあ、こんなもんでしょ〉みたいな気持ちが少なからずあったと思います。」

○小倉誠司
「(楽曲について)今までそれが人任せだったから、何がしたいのか聴いてるほうもわからなかったと思うんです」
「自分たちには確信がないから、大人や経験者の意見でしか判断できなかったし、それをひっくり返す強い意志も僕らにはなかったと思う。」
「頼れるものが、数字とか動員にしかなくて、それを守るために何をするのか、しか考えてこなかったような気がするんです」
「〈flumpoolってどんなバンド?〉っていうすごくシンプルな質問に対して、答えに詰まる自分たちがいた」

これらの意見を強引に総合すると、「FOUR ROOMSよりも前のflumpoolは、方向性が大人によって決められていて、それはflumpoolがやりたい音楽とは必ずしも一致などしておらず、リアリティに欠けた薄っぺらいものだった。」ということになる。
flumpoolが作詞作曲に関わっていない「花になれ」はひとまずおいておくとして、「星に願いを」も「君に届け」も「証」も「BecauseI am」も、「明日への賛歌」も全部、全部、全部がそうなのだろうか。それらの全部、flumpoolは納得のいかないまま大人の意見を聴いて「なんか違うんだよなあ」とか思いながらわたしたちに届けていたのだろうか。

そしてわたしは、flumpoolが「なんか違うんだよなあ」と思っていた曲を聴いて涙を流し、勇気を貰い、救われていたのだろうか。


今(「FOUR ROOMS」以降)については、下のように語っていた。

○山村隆太
「守りたいものは守るけど、守らなくていいものや守れないものはもう守らない」
「僕は、好きな人の背中を押したいだけ」
「みんなにいい顔して、誰からも好きでいてもらおうなんてやめよう」

○阪井一生
「今は音楽をやってて楽しいんですよ。」

他のメンバーについては割愛するけれど、概ね「FOUR ROOMS」以降の音楽に対する態度の変化を語っていた。

生きている中で、過去を振り返って、「あの時は未熟だったな」とか「あれは若気の至りだな」とか思うことは誰にでもあることだと思う。完璧なことなんてなくて、振り返ってちょっぴり後悔することなんて、特別なことじゃない。
でも振り返ってみて恥ずかしくなるようなことって、きっとその当時は全力で、それが正解で、がむしゃらなんだとも思う。現に、わたしはこの記事を書いたことをいつか後悔するかもなって思いながらキーボードを叩いているけれど、今のわたしにとってはこの記事を書くことが正解で、それ以外に選択肢なんてない。

きっとそういうのと同じ要領で、flumpoolが過去の話をしてくれるならわたしはなんとも思わなかった。けれど彼らは過去において、必ずしも正解の道を選んでくることができなかったんだと思う。「違うな」と思いながらも道を選んでいた。そうする他なかったのかもしれないけれど。

わたしは、flumpoolが納得のいかない道を歩いているのを横から応援していた。彼らが本心とは違う言葉や音を発しているのに、わたしはそれをflumpoolの全てだと思っていた。

flumpoolが心から愛せなかった言葉や歌が、わたしは心から好きだった。


過去を愛せなくても、どんなに嫌な目に遭ったとしても、それをおおっぴらに見せびらかす必要なんてあったのか。
もしあったとすれば、やっぱりそれは「今のため」だったんだと思う。今を肯定するために、過去を否定して、引き合いに出したんだと思う。残念ながら売上とかライブの動員数とかいう数字を以て、「前より今のほうがいい」とflumpoolを評価することは難しくなってしまった。だからflumpoolは、今を肯定するために「過去がどれだけ酷かったか」を主張した。
でもそれって辛い。だってこれからも、どんどん「今」は更新されて、更新されていく「今」を肯定し続けなければいけないのに、それに使えるのが「過去への否定」だとしたら、flumpoolが必死に肯定した今も、いつか過去として否定されなければならない。

前をしっかりと向いている顔をしながら、flumpoolが血眼になって見つめているのは過去だ。

わたしは、きっと、これからもflumpoolを嫌いになれなくて。馬鹿だから、今度こそflumpoolは自分たちが納得する道を選んでいるんだと信じることしかできない。だから、もう、過去を否定することで今を肯定するような、そんな小手先のことなんかやめて、もっともっと、数字じゃなくても全然かまわないから、更新されていくflumpoolを肯定する根拠が見つかればいいなあと思って、います。



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  • @mitcha____fp
    すごく、代弁してもらった気持ち。こういう話が出ちゃうと、「最高傑作」と言っているEGGも、いずれ否定されるのかな。
    悪気はない、半分本音半分インタビュー用に盛ってるんだろうけど、あの涙は?あの感動した気持ちは?ってなるよね。
    2016-06-19 12:59:01
    @mitcha____fp
    ああ言いつつも、アンコールに持ってくるのは結局過去の曲であって、だから完全に否定した気持ちというより、EGGにインパクトと価値を持たせるための否定だとは思うけど(そうであってほしい)
    2016-06-19 13:03:11

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