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【祈りの先の先】

全体公開 2 1358文字
2016-08-16 19:30:16

注意、あるルートに関する続きです。公式ルートがそうなったわけではありません。
そういうルートもあるんだなあ みつを ぐらいの気持ちで見てください

Posted by @mugenwars

白い、白い部屋に、黒い淀みが浮かぶ。
淀みは滲むように広がって行き、
やがてその淀みの中から銀色の髪の男が表れた。
赤黒い角を頭に生やし、肌は青白く、白目であるはずの場所は真っ黒に染まっている。
不吉の象徴のような男は、夜明けの色をした目をゆっくり開いた。

この白い部屋の主、金糸の長い髪と、質素だが美しい純白の服を纏った、清浄の象徴のような女が来訪者を夕焼け色の瞳で捉えて、

「いらっしゃい」

とても嬉しそうに微笑んだ。


【祈りの先の先】



「祈りを、届けに来た」

銀の男の言葉に、金糸の聖女は首をかしげる。
彼の管轄で、彼女に祈るものに心当たりが見つからなかったからである。

男が差し出したのは、泣くように黄緑に輝く祈り。

「たしか、うぃり……ウィル

道中で思い出したはずの名前をまた取り落としたのだろう、彼の者の名前が出てこなくて、銀の男は難しそうな顔をした。
しかし女はまるで太陽のように嬉しそうに笑って、手をぽんと叩く。

「あの子なのね!私のことを忘れてなかったのね!」

そうして、祈りを抱く男の手をとって、そっと胸にあてた。

「よかった元気でいるのね大事なものができたのね

喜びの言葉と一緒に、まるで泣きそうな声色で、聖女は彼の者を祝福する。

……

その様子を男は黙って見つめている。
言うべきか、言わざるべきかを迷って、何度か口を開きかけては口を閉じた。

そうしているうち、聖女は満足したのか手を離す。

「届けてくれてありがとう。でも長く居てはいけないわ。ばれたらきっと驚かれてしまうもの」

くす、と悪戯っぽく笑う彼女を見て、銀色はそっと目を閉じる。

誰もを許してやってくれ。

誰かの祈りが銀色の魂の水面を打った。
目を開き、宵闇色の瞳が、真っ直ぐに黄昏色の瞳を映す。


「もう、止めにしないか」


時が止まったような一瞬を迎えたあと、金糸の聖女は笑顔を固めたまま、え?と聞き返すように声を吐いた。

「お前を愛しているものを、お前が愛した世界を、これ以上苦しめる必要は無いんじゃないか」

黄昏は曇り、
段々と、彼女の顔から笑顔が消えていく。

「もう十分だ。これから数千の時はお前を忘れたりしない」

泣きそうな、怒りそうな顔から目を背けたくなる。
それでは変わらないと、己の魂を縛り付ける。

「私の敗けでいい、だから」

「何を言っているの」

震える声が、男の言葉を遮った。

「何を止めるっていうの、馬鹿な事を言わないで」

泣きそうな黄昏もまた、夜の色を真っ直ぐに見つめている。

「もう終われないの。終わりを告げて終われるゲームではないの、わかっているでしょう」

責めるような言葉を受け止めて、銀色は悲しそうに目を細める。

「誰かが終わらせなければいけないの。駒の誰かが条件を満たさなきゃいけないの。終わってはだめ、だめなのよ!」

言葉を強くして、聖女は叫ぶ。

暫くの静寂の後、銀色は口を開く。

……すまない」

そうして、再び逃げ出すことを選んだ。











銀色が闇に帰る途中、
絶望が最悪のエンディングを書き換える。
ざりざりと耳障りな音と一緒に見える光景に、

銀色は口の端をつり上げた。


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