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二人の白皇 プレイ所感⑤ 女たち  ※ネタバレ

全体公開 3522文字
2016-09-26 16:41:55

主にアンジュとクオンについて

Posted by @nagaimiso

多分まだ寒い時期のことだったと思う。
1作目うたわれるものに登場するヒエンとハウエンクアの役職が左大将、右大将だということに気が付き、2作目偽りの仮面はまるで在りし日のクンネカムン側から見た物語のようだと思った。
皇は健在で、左右を二人の近衛大将がかためている。跡継ぎの娘にはまだ何の憂いも無く國は豊かで強大だった……ただし、ゲンジマルはいない。
ヤマトにはゲンジマルに該当する人物がいなかった。強いていうなら帝自身がゲンジマルのような存在とでも言おうか。
それが3作目になり國取り物語にはなったが若くしてその地位を引き継いだアンジュになんとなくクーヤとクンネカムンを見た。
色々なことを知りながら主には決して話さないハクトルがゲンジマルにだぶって見えて余計に私にそう思わせたのかもしれない。
(それはそうと作中でまさか彼が出てくるとは思わなかった。オウギの台詞からするとイズルハの同胞ゲンホウを訪ねていた節があり、その諸国をまわる道中でヤクトワルトにも出会ったのだろう)

境遇はそこまで違うわけではないアンジュとクーヤの道はどこで違ってしまったのだろう。
幼い頃から巨大な國の跡継ぎであることが決まっており、そのための教育をうけ
物語上最初から位置づけが違うと言われればそれまでなのだが、良くも悪くもアンジュがより我儘だったことが差のような気がした。。
15時間プレイした段階で思わず書いてしまった所感①では正にその我儘が鼻についてならなかったのだが結局「自身の望みも無い者がどうして他人の望みを叶えられよう」ということなのかもしれない。
クーヤよりアンジュはより動物的というか本能的で、偽りの時から串焼きが喰いたいだの薄い本を所望したりだのやりたい放題してて若干辟易しなかったわけではないのだが「民に良き暮らしを」という漠然な願いより「またあの串焼き屋が店を構えられるぐらい帝都復興を」という方が本人も目標が見えやすく達成した時の手応えも違うだろう。
つまり大抵の凡人には目に見える目標と結果と達成の一連の流れあってこそ「望みを果たした」実感を得られる。
逆に言うとハクや多分オシュトルのように身の内から湧き出る自身の望みが薄くとも、他人の願望を受け入れる器になって行動出来る方が異質なのだ。
だからこそハクにはより我儘で大きな、そして単純なアンジュの望みがぶれない指針となり得たのかもしれない。
と、アンジュのキャラ造詣がどこまで考えられているのかわからないがそんな受け取り方をしたことで最期、二人の皇女が宣誓するシーンを万感の思いで見ることが出来た。
最後はアンジュを好きになって終われた。それだけは本当に良かった。

うたわれシリーズの女性キャラは押し並べてしたたかだと思う。
一作目がエロゲーであったとはいえクオンの母親が正ヒロインで無い世界線の物語は冷静に考えるとなんともドロドロしたことを考えずにはいられない。
――って考える人も当然いると思うけれど、あの皆が母親になって娘を可愛がるって女の目線で見て私はありだと思った。
一見、男に都合の良いハーレムエンドに見えなくもないけど、ちょっと違うのだ。
今はそれについて詳しく伝えられる私自信の言葉が見つからないので、動物に例えてしまうけれど雄一頭に対して複数の雌という集団は多い。
そういう集団では生まれてきた子どもも皆で育てる。
物理的な強さとは違う強さをそこに感じる。
Fateや月姫などで奈須きのこが書く女性に男女問わずに感じる憧れた理想が詰まってるのとは違って、うたわれの女性キャラには妙に地に足ついた生々しさがあると思うのだが、うーんうまくまとめられない。

二作目、三作目で登場した彼女らも強かった強くなった。
復興場面では本当にそれを痛感した。平和な帝都での到底一國の姫と思えない言動を見てきたが故に、責任ある立場に立った彼女たちは皆強くなったなぁと思えた。メインの彼女たちだけでなくエントゥアもシスも恋も仕事も頑張れって素直に応援したくなるのだ。
それだけでプレイ中のストレスが激減する。
むしろストレスというなら私はそれを正ヒロインに一番感じた。
基本的に話を進ませる悪女がいないからそれを正ヒロインでありながらクオンが担っていた矛盾も大きいだろう。
クオン皇女としての尊大な振る舞いや、恋に浮かれた女としての双子とのやりとりとか、お疲れ様ですと言いたくなるぐらい女の子のちょっとイラッとする面を一手に引き受けてくれてた。
そう、彼女へヒトコト言うなら「本当にお疲れ様でした」が今の心境に一番近い。

雑誌のインタビュー記事でクオンは性格が二転三転したとあったけど、本当にその通りだなと思った。
結果として内なる神、もう一人の私ってこともあるのだろうけど割と乱高下するクオンのテンションはプレイ中に正直ちょっと疲れた。クオン皇女になってない時でもかなり揺れ幅大きかった気がする。
アベルカルムの所とか振れ幅以前にちょっとイラっとした。
対する相手によって性格が変わるのは誰しも程度の差こそあれ当然とはいえ性格に統一性が無いってこんなに疲れるものなのだと思った。

クオンに関して少しだけ嫌なことを言わせてもらうと、ハクはクオンを愛したしクオンもハクを求めたけど神様の力を失いタダビトである彼女の世界はもはや神世とは交わらず、彼女は探す気満々であったが夢の中でこそあえるかもしれないが今生で会うことはもう叶わない気がする。
でも叶わなくても、やがて一人の女としてハクを愛しながらも他の男と結ばれ子を成すことが出来る気がする。
というのも彼女の元にはハクがいなくなった代わりに母と、父親が戻ってくるからだ。
クオンのハクへの執心の始まりは彼を眷属無きこの世に起こした責任。
責任を保護者という名前で包んでハクの面倒を見るうちに彼への気持ちが恋だと2作目で自覚する……のは良いのだけど、クオンのハク及びハクトルへの態度って父親への憧憬に近いものも感じてしまう。
それをつくづく実感しちゃったのが最後の最後、殻から彼女を引き出すスチルが私にはGロボ最終話で草間博士がロボの中から大作を呼ぶシーンとかぶっちゃったので……
恋夢はとても素敵な曲だけど実は2作目段階ではそんなにクオンとリンクしなかった。あれは恋を自覚して尚且つ隣に歩く娘の歌だから。だからこそ3作目でこの歌が確かクオンが帰ってきてネコネと話シーンで流れた時はああ、と思った。
確かにこの歌はハクとクオンが一緒にいるシーンでは流せないと(でもここ以外でこの曲がかかった場所は覚えてないので普通に流れたかも)
話が逸れたが、保護といいながらもハクの方が冷静ではないにせよ精神的には圧倒的に大人だ。
クオンだけはハクがオンヴィタイカヤンであることを知っていることも大きかったろう。無意識にハクに対しその大いなる父への理想やらを向けていてもおかしくない。そしてそれは実際、ハクのたまに見せる閃きや発案が助長しただろう。
そもそも育ての父の服と、本当の父の武器を手にしたっていう時点で、ハクはクオンの父親の体現そのものじゃないかって
男は恋人に母を求めるというが、女とて恋人に父を見る。父親がデレデレした顔でよくいう「娘は父親に似た人を~」という常套句はあながち嘘ではないし、女が恋人の中に父を見るのは悪いことでもなんでも無い。
問題なのはクオンには見本とする父親がいないことだ。
育ての父と慕うオボロはあの通り猫かわいがり、物心ついた頃には本当の父親は相当神格化されていたと思うので、クオンの父親像はおそらく理想像に近いと思う。
そういう想像の先にハクを見ていたのなら、ハクオロという本当の父親と対面した後にハクへの気持ちはとても綺麗なモノに浄化されて彼女の心に久遠に残るのではないだろうか。
ハクオロはきっと外では立派な家ではちょっと妻の尻に敷かれ気味な父親になる気がする。そしてその姿はきっとハクとちょっとかぶる。
ハクオンを否定するわけではなく、男女の最上の結末を結婚と出産とするならこの二人は決して結ばれてはいけないと思う。
「うたわれるもの」がこの後も繋がる世界であるならクオンが父なし子を、神の子を腹に宿してはそれこそハクが神様になった意味が無い。
……多分ハクならクオンがヒトと結婚して彼女そっくりの娘を抱いてる姿を少し離れた木の上でにっこり見守ってくれる気がする。
そしてその生まれた娘がまた子を、その子がまた子をとクオンの系譜が連綿と続いていくのを慈しむように見守ってくれると、そう思う。


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