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2016年アニメ10選

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2016-12-31 01:12:51

2016年1月1日~12月31日に放送終了したアニメから10作品を選出(順位なし)

大家さんは思春期!
 ショートアニメといえば、その短さが作用して繰り返し見るということが起こりやすそうなものなのに、振り返ってみると自分にはそういった経験があまりない。そう気づかされるほどに、本作品は何度も見てしまいたくなるような魅力を備えていた。大家さんである女子中学生のチエちゃんがアパート住人の前田さんや麗子さん、中学のクラスメートたちと過ごす日常が描かれていて、そんな日常の中で垣間見えるチエちゃんの可愛さやクスッとくる掛け合いの面白さが短い尺でテンポよくたっぷりと堪能できる。映像面も、ショートアニメだからこそなのか、ショートアニメとは思えないほど作画クオリティが高く、何回見ても全然飽きが来ないのが凄い。この作品を見て改めて感じたのは、可愛さというのはキャラ自身の可愛さだけで表現されるものではないということだ。その可愛い様を見て可愛いと感じるキャラの存在がより可愛さを際立たせる。前田さんや麗子さんが度々チエちゃんの可愛さにときめいているが、そのリアクション自体も笑えるし、同時に彼らに共感してよりチエちゃんを可愛いと感じる、それがとても楽しいのである。そんな可愛さや面白さを支えるコミカルな音響や掛け合いの絶妙な間の取り方なども見逃せない。特に好きなエピソードは2,4,7話。

赤髪の白雪姫
 去年の10選にも挙げたが、今年もこの作品を挙げないわけにはいかない。白雪とゼンの成長と恋の物語が、第1クールでは1話や2話で完結する短編形式で描かれていたのに対し、第2クールでは8話にも及ぶ長編があり、第1クールの序盤で白雪たちと対立する形で出てきたラジや巳早といったキャラが再登場してくる。ラジは第1クールの後半で成長の片鱗を垣間見せているが、彼らの心境の変化を通して、かつて白雪が追われる形となった故郷タンバルン王国全体の成長へと繋がっていく展開は見事としか言いようがない。また短編形式の濃密で粋な話運びは長編でも健在で、続きが気になって仕方がないという長編特有の感覚が、短編形式しか見てこなかったこの作品ではどこか新鮮に感じられたのも印象深かった。キャラクターが話ありきの使い捨てをされているように感じるアニメを時々目にするが、『赤髪の白雪姫』はあらゆるキャラの役割に無駄がなく、またそれが物語の面白さに貢献しており、作り手の手腕には唸らされるしかない。

PHANTASY STAR ONLINE 2 THE ANIMATION
 PSO2というオンラインゲームを通して、人との繋がりや皆と一緒に同じ目標に向かっていくことの楽しさ、大切さを描いた傑作。第1話から、ランダムキャラクリエイトで自分にそっくりなアバターができた時の「おっ、俺に似てんじゃん!」という間の抜けた台詞や、本編では玄田哲章の渋い声で喋っていたSOROがワイプの中でノリノリで踊っているEDなどで噴き出してしまい、最初はこういう面白可笑しいところに魅力があるアニメなのだなと思っていた。実際そうだったのだが、それに留まらず、話数を重ねていくうちに上述のテーマを真剣に描いていることがわかってきた。オンラインゲームネタを交えたイツキくんやリナ会長たちの日常を描く前半から、監視者のアイカが本格的に本筋に関わってくるとともにPSO2世界が実在することが判明し現実世界への干渉が身近にも起こり始める後半へと展開していく。題材となるゲームを普段我々がするのと同様にアニメ内のキャラがプレイするタイプの作品では、そのゲームを利用して悪巧みをする一味が出てきたり、現実的なゲームから逸脱した超常的な現象が起こったりすることがしばしばある。そういう風潮もあって、前半のあくまで現実の範囲におさまったPSO2を交えたやり取りがぶち壊しになってしまうのではないかと正直心配だった。しかし、見終わってみるとこの形だからこそこのテーマをこれだけドラマチックに描くことができたのだと強く感じ入り、急なシリアスに白けてしまわないように前半の日常部分から少しずつ不穏な影をちらつかせながら後半に至っても面白可笑しい要素を保っていたりもしていてさすがだなと思い、良い意味での予想の裏切りがこの作品を印象的なものにしてくれた。また、現実側とPSO2側の出来事のバランスの取り方が上手で、終盤の、後夜祭を成功させるために一方ではリナ会長を救い出そうとPSO2世界で戦い他方ではリナ会長の不在をカバーするように文化祭の実行を進める同時進行ぶりは、まさに会長の目指した「皆が一緒に同じ目標に向かう姿」を描くもので感動的だった。イツキくんのやや脱力気味な印象を与える普段の声とダーカーと戦う時の真剣な声とのギャップが生み出す緊迫感も凄いと思ったところで、蒼井翔太は少年ハリウッドのトミーからイメージの脱却を果たせたのではないだろうか。一見するとおちゃらけたナリや振る舞いをしているように映るが、それも一つの魅力としながら中身はとても熱い心の持ち主、『PSO2』はそんなかっこいいアニメだ。

田中くんはいつもけだるげ
 無気力でだらけたがりな田中くんが、何かと世話を焼いてくれる太田くんをはじめ個性豊かな同級生たちに囲まれながらもマイペースにダラダラと過ごす日々を描く学園日常コメディ。登場するキャラクターは、声を当てる声優の好みかつピッタリなキャスティングも相まって男女ともに非常に魅力的で、4コマ漫画的な小出しのギャグもそれらのキャラクターを活かしていて安定した笑いを提供してくれた。基本的にはギャグで笑わせてくれる作品だが、ギャグアニメ的な強引な展開がほとんどなく、現実的な話運びがなされているのが、〈日常〉を大切に描いてくれているのを感じてとても好印象だった。また、川面真也監督アニメらしい気合いの入った背景美術による日常風景や、広島の基町高校をモデルにした校舎の特殊な造形も大きな見所となっている。他にも『田中くん』の気に入っている所はあるが、自分が最も買っているのは〈生活臭〉とでも言うべきものである。「いかにも日常的な風情や情趣」といった感じだろうか。「グラウンドネット越しの運動場」や「マンションなどの高い建物が見える教室の窓からの風景」など、個人的にはとても「あるある」という快感を覚えるのだが、こうした親近感のあるいろんな情景が虚構の作品に再現されていることへの感動というものをこれでもかと味わわせてくれるのだ。この〈生活臭〉の存在によって心地よい〈日常〉空間が生み出されているのが、この作品の素晴らしい所だと感じる。この例に留まらず、『田中くん』という作品は至る所に魅力を潜在させているだろう。そんな中から自分だけの魅力を見出してみるのも一興である。

聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ
 この作品の特筆すべき点はやはり、主人公ヒイロの主人公とは思えない圧倒的な弱さだろう。両親の仇である邪竜ダガンゾートを討つために剣術を10年間修行してきたにも関わらず、スライム一匹倒せないほどの弱さなのだ。それに加えて、自分の弱さにあまり自覚的でない自信過剰で厨二病的な言動の数々。でも憎めない。このようなキャラクター造形のため、復讐の物語であるはずなのに随所で笑いが生まれてくる。そうは言ってもなんだかんだ成長して強くなっていくのだろうと思いきや、仇であるダガンゾートの心臓によって〈竜体〉という状態になり暴走した強さを一時的に得ることはあっても、基本的な弱さは変わらないまま話が進んでいく。終盤になって、修行により剣士ではなく魔導士としての異常な才能が見出されるが、修行の成果が一見してわかりにくいものであったこともあり、あくまでも剣士にこだわるヒイロは自分の隠れた才能を自覚しないまま旅を続ける。終盤にこのような展開を持ってくるというだけでも凄いのに、剣を抜こうとして「剣がない!」というボケをこれまでかましてきたのが、ここで伝授される〈虚空剣〉という魔法の伏線だった――と少なくとも自分は考えている――というのだから本当に恐れ入る。最後は〈虚空剣〉で〆てくれるのだろうという期待はもちろん裏切らず、ヒロインを刺した黒幕を才能のない剣術で初めて倒すという前段階まで踏ませているのが感動的でとても熱かった。全編通して面白可笑しいシーンを散りばめながらも、その面白可笑しい要素すらプロットに組み込んで完成度の高い物語を創り出すことに成功している、実に油断ならない巧みな作品だ。

ふらいんぐうぃっち
 15歳になると一人立ちして家を出るという魔女のしきたりによって青森の親戚のもとへ引っ越してきた木幡真琴が、魔女の修行に励みながら又いとこの倉本兄妹や友達のなおたちとのんびり過ごす日常が描かれている。いかにも田舎日常モノという雰囲気に満ちている作品世界に、魔法や魔女、魔女と関わりのある少し変わった人(?)たちといったやや非日常的なスパイスがほどよく効いて、独特の居心地のいい日常空間が展開されている。会話は間の取り方が心地よく、キャラクターは造形が魅力的で動きも可愛らしい。そういった要素が青森の美しい光景と調和をなして、料理をしたり畑作りをしたりというだけの話でも終始まったく飽きさせない映像作りがなされているのが凄い。それらを間に挟む、この作品の世界へと手を引くように誘い出し、「始まったっ」という高揚感を与えてくれる楽しいOPも、「もう終わりか~」という寂しさと「今週も良いものを見た」という満足感とともにそっと幕が引かれていく優しいEDも非常に良かった。理想的なOP・EDのあり方である。誰も彼も魅力的なキャラクターの中でも、自分は倉本圭・千夏兄妹が特にお気に入りで、色んな物事に対していつも無邪気なリアクションをしてくれる千夏ちゃんも、女性陣の多い中で家事全般が得意でお化けが苦手という萌え属性を持つマイペースな圭くんも愛おしくてたまらない。1クールと言わず、半年でも一年でもずっと見続けていたい作品だ。

NEW GAME!
 放送前から異様に知られていた原作漫画のある一コマがどのような場面で出てくるのかという興味から入った口であるが、なぜ作品自体の良さが(少なくとも自分の観測範囲の中では)あまり囁かれていなかったのか不思議でならず、またあるモノがひとり歩きして有名になっていく事態に「消費的な大衆」というものを考えざるを得なかった。とまあ少し不本意に思ったことはあるが、それだけこの作品は自分にとって素晴らしいものだったのである。ゲーム会社に入社した主人公の涼風青葉が、ゲーム作りを通して労働の大変さや楽しさを経験しながら同僚たちと日常を過ごしていくお話で、女の子たちは動画工房の安定した作画で可愛らしくビビッドに描かれているし、キャラ同士の関係はカップリングが好きな人にはたまらないものとなっていて、女の子の多い日常系作品的なツボは非常に高いレベルで抑えられていた。また、競争心や悔しいという嫉妬感情を、ほわほわとした優しい空間をあまり崩さない範囲でしっかりと描いているのが、ゲーム会社を舞台にしているなかでは好印象。それによって、青葉にとってはだらしなく映る時もあるが昔からの憧れの人であり競争相手でもある上司のコウさん、コウさんにとってはAD(アートディレクター)時代の苦い経験から今度こそはと時には気さくに時には不器用に接する部下の青葉、という二人の関係が全体の大きな核として際立つ。であるからこそ、最終話でADになっても付いていくという青葉の言葉にコウさんが涙するシーンはとても感動的だった。ストーリー、キャラクターともに大変魅力的だが、キャラクターのパーソナルデータ――公式で設定されているものも、アニメ内の描写から推定されるものも(嬉しいことに推定の材料はあちこちに転がっているのだ)――から、直接描かれていないところではどんなことをしているのだろうと色々勝手に想像したりするという自由な楽しみ方もできる作品だと思う。ちなみに自分は、青コウ・青ひふ・うみねねが好き。

魔装学園H×H
 最初は、またおバカそうなエロアニメが始まるなと、食傷気味3割・楽しみ7割くらいの気分で臨んだ。エッチなことをしてパワーアップしたり規制のしかたを工夫して笑わせてくれたりというのはまあ見たことがないわけではないもののやはり面白く、そういうエロ設定を活かすためだけに戦いが描かれているわけではないという主人公やヒロインたちの心理描写も見応えアリといった様子。ところが、ヒロインの愛音がとっていた辛辣な態度や奇矯な振る舞いが自分の境遇に根ざしたものであったことが判明する第4話で、なんと不器用で健気な子なのだろうとたまらない気持ちになり、ぐっと心を掴まれた。これは思っていたより真摯にストーリーテリングがなされているのかもしれないぞと、こちらももっと真摯な態度で視聴しなければならないと居住まいを正し、最終話まで夢中になってしまったのだった。何より好ましかったのが、主人公・飛騨傷無の主人公としての扱い。男主人公の回りに複数のヒロインが配される形式では、主人公に比してヒロインの描写のほうが重視されるものは少なくない。しかしこの作品では、ヒロインの魅力ももちろん売りにしながら、作中でも視聴者が受ける印象でも非常にキーとなるキャラクターとして傷無は描かれている。前述のエロ設定にしても、戦闘に不向きな傷無の機体〈エロス〉は〈接続改装〉によってパワーアップさせたヒロインの機体の武装を複製して自らも戦えるようになっていて、最終話の各ヒロインの武装を使っての単独戦闘は熱く滾ること請け合い。もちろんエッチなシーンも大変良く、女の子が喘ぐタイプのアニメである本作に赤﨑千夏や長妻樹里を起用しているのは、私見では非常に優秀と感じた。また、海老名ちゃんを演じていた影山灯がここまでセクシーな声を出せる人だと知れたことは収穫だった。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン
 戦争モノやロボットモノは割と自分の好みからは少し遠くて、自分の心に訴えてくる何かしらの要素があれば別だが、国や組織の対立関係が複雑だったり人物や機体などの所属を把握するのが大変だったりと、話を追うことの苦労からモチベーションが低下して悪循環に嵌まってしまうことが少なくない。これには、自分の理解のペースに関わらずノンストップで進行していく映像作品故の問題があって、必ずしも作品側に非があるわけではないのだが。そういう状況がこの手の作品にはあって、それでもこれはいいぞと思うものには時々出会うのだが、この作品がまさにそうだった。では、今回の例で「自分の心に訴えてくる何かしらの要素」は何かというと、それは〈ミステリ的な快感〉とでも言うべきものである。主人公のイクタが何かにつけて「科学的」という言葉を口にしているように、研ぎ澄まされた思考によって事態を打開していく駆け引きや、彼らが身を置く国や軍隊の不合理で不条理な現状の悲哀を浮かび上がらせる話運びなどを楽しむのが基本的なところだと思う。特に前者において、いかに相手の思考を読んで裏をかき、人員や武器、環境などが限られた戦況の中で何をどのように利用するかといった問題が論理を駆使して解決される様は、ミステリにおける探偵の謎解き場面を読んでいる時のような「なるほど」という快感を与えてくれ、しかも、戦況もその解決も過度に複雑化しておらず、非常にスマートに感じられるのがとても自分好みだった。また、後者のような話運びはこうした論理的な作り込みによってより説得力を持って際立ち、「いいニュースと悪いニュースがある」的なウィットに富むよく整理された言い回しが全編を支えてもいる。ミステリ(推理小説)の評価においては、〈推理〉と〈小説〉が必ずしも両立しなければならないわけではないという考え方があるが、この作品は両者が互いに結びついたような完成度の高さを誇っている。長めのプロローグが終わったような締め方で、ぜひとも続編を望みたいところだ。

ハイキュー!!(セカンドシーズン, 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校)
 有名どころの声優を惜しげもなく起用したり、作画クオリティが安定して高かったりな日5枠で放送されていたのが1期。2期以降は局も大幅に減って深夜帯での放送になってしまったが、全体的な質は変わらないどころか、ストーリーが進むにつれどんどん熱い展開がなされていくのに比例して、制作陣の尋常でない熱量を随所に感じる素晴らしい作品となっていた。スポーツモノは動いてなんぼ、とは必ずしも思わないが、原作の古舘先生の絵も良しとしつつも、アニメで動くバレーの試合シーンは原作にはない迫力があって、手のひらから汗が溢れ出てくる。日向と影山の変人速攻なんかは、トスを上げる、スパイクを打つ、ボールがバウンドする、という流れが一瞬にして起こるあのスピード感、打点で止まるトスが完成した時のボールを中心にぐるぐる回るカメラによる収束感の表現など、映像でしかできないものだったり、映像だからこそより映えるものだったりする。そんな映像に伴う、ボールを打ったり、受けたり、バウンドしたりする時のあの体育館に響く音も良い。スポーツアニメを知り尽くしているとは到底言えないが、『ハイキュー!!』は少なくとも映像面では金字塔的存在と言っても過言ではないのではないか。自分はツッキーこと月島蛍が大好きなので、2期,3期は東京遠征編や白鳥沢戦などのツッキーにスポットを当てたお話が多かったのも嬉しく、やはり今年のアニメとしては外せないなと思った次第である。烏養コーチ役の田中一成さん、お疲れ様でした。「下を向くんじゃねえええええ!!!バレーは!!!常に上を向くスポーツだ」


おまけ

・エピソード10選
「第一話」(『昭和元禄落語心中』#1)
 『出来心』を一席まるごと演るシーンは、純粋な落語の面白さや、聞かせる噺家と聞くお客という関係の温かみに溢れている。何よりもお客の笑い声が良くて、自分が笑ったポイントで劇中のお客も笑っていると共有の嬉しさがあって、まさに笑芸を見ている感覚。漫才が好きなので、それを題材にしたアニメもできないかなぁと思ったりした。それほどにアニメの明るい展望を示してくれた一話だ。

「大家さんは世話焼き!」(『大家さんは思春期!』#4)
 カレーの匂いがする時のインドっぽいSEとか、チエちゃんが食べ終わった食器を重ねて片付ける時の動作とか、「お仕事で疲れているでしょう?」のぬるぬる動くチエちゃんのとんでもない可愛さとか、テンポの緩急の付け方とか、すべて満点。芸術的な2分である。ニコニコ動画で1話を除いて一番再生数が多いのにも納得できる。

「君との思い出に」(『灰と幻想のグリムガル』#8)
 等身大のキャラが生々しい世界で生きていく生々しさがこの作品の良いところだ。生活していくための命懸けの狩り、人間関係、恋愛模様、人の死など、劇的なようで劇的でない、劇的でないようで劇的であるような、そんなバランス感覚が静謐な映像作りとマッチしていて凄い。中でも、マナトの敵討ちや弔い、メリイ加入問題の落着など、特にカタルシスの大きいこの回を。

「戦力外通告」(『PHANTASY STAR ONLINE 2 THE ANIMATION』#9)
 #10とも迷ったがこちらを。「そこそこ」という屈託を持っていたこともあって、フォトンが覚醒したイツキくんはつい調子に乗ってしまう。この段階を踏まえることが今までの徐々に大きくなる不穏な影の蓄積と合わさって、笑えない恐怖感が胸に迫ってくるドラマチックさを生む。三人娘を通してアイカの日常を守りたいという想いに気づき、決意の表情とともに銃口を向けるイツキくんの気合いの入った濃いめのカットと蒼井翔太は天才。

「柩」(『ジョーカー・ゲーム』#11)
 真木が乗っていた列車の方向に焦点が向けられるロジックとかヴォルフ大佐と結城中佐の因縁も好きだが、原作と違って、三好(=真木)がアニメ用に名前や顔、声などの特徴づけがされているキャラだからこそ、スパイとして生きた一人の人間としての彼の死を弔う結城中佐のかっこよさが際立つのが素晴らしい一篇。

「ドラゴン・ハート」(『聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ』#13)
 サラートが刺されたことをきっかけに、ひたすら才能がないと言われていたものの、一時的に覚醒したヒイロが純粋な剣術をもって黒幕を倒す瞬間の熱さといったらない。それにとどまらず、復活した邪竜ダガンゾートを倒すには自分の中にある邪竜の心臓を貫くしかないと決めつけてしまった時にテオ老師の言葉を思い出す件は笑ってしまうくらいに技巧的だ。魔導士としての才能があるにも関わらず最後まで「さすらいの剣士」であることを貫いたヒイロは、剣術が弱すぎても確かに主人公だった。かっこいい。

「激闘!ヴァルキリーVSスプリガン!!」(『ベイブレードバースト』#15)
 この回までの積み重ねあってこその熱さや感動なのだが、真フラッシュラッシュシュートや真カウンターブレイクのぶつかり合いの映像的な迫力、スピード感が、これまで、これ以降のどれよりも屈指の名バトルだと思う。負けた後のバルトの涙が、勝つ喜びと負ける悔しさは表裏一体だという、勝負事に付き物な当たり前の図式の尊さを感じさせてくれて、こちらも涙してしまった。

「ナルトとサスケ」(『NARUTO-ナルト-疾風伝』#696-697)
 小説の話やBORUTOなどこの後もアニメは展開していくようだが、とにかくナルトとサスケ二人のラストバトルである。繋がりを断ち切ろうとするサスケとそれを切らせまいとするナルトの思想対決めいた舌戦は、これまでの『NARUTO』に降り積もった時の重みを感じさせてくれるものになっているが、総じてアニオリが良かった。ネジの幻影から始まり、ナルトの手を使って豪火球の印を結ぶやつ (あの午と寅が初めて覚えた印なのでとりわけ感慨深い!)、サスケの術で一番好きな麒麟(しかも須佐能乎状態で)、そしてたくさんの仲間の手の幻影によって形作られる最後の螺旋丸。アニ影様本当にありがとう。

「超がんばらんば!!グランプリファイナル直前スペシャル」(『ユーリ!!! on ICE』#10)
 BL好きを直撃するようなシーンが多い作品で、“色っぽさ”が関わるフィギュアスケートという題材とは非常に相性が良いように感じた。この回のエンゲージリングのアレは、勇利とヴィクトルの必ずしも恋愛的な意味ではない心の距離の近さの現れとして最高潮に達していて、両手で口を抑えて悲鳴とも嗚咽ともつかないような声が漏れ出てきた。特殊EDで明かされるヴィクトルが勇利のコーチになった理由も素晴らしい演出だった。結婚おめでとう!

「塔子と滋」(『夏目友人帳 伍』#10)
 いつもはあまり描かれない、塔子さんや滋さんの心の内や、彼ら夫妻から夏目に注がれる優しい視線。夏目を引き取るまでのお話の中で、玄関の傘立てや降り積もる白い羽根、独りのカラス、夏目にしか見えない番の白いカラスなどの比喩的な道具立てがすべて美しく作用している。5期も続いてきた積み重ねもあって、シリーズ中おそらく最も泣いたエピソードだと思う。


・キャラクター10選
茅野コウタ(『PHANTASY STAR ONLINE 2 THE ANIMATION』)
 PSO2の始め方をお手製のイラスト付きでわざわざ紙に書いてくれる主人公の友人というだけでもう可愛すぎないだろうか? 信長くんの声もハマっていて、作中で一番おいしいキャラだったと思う。

宮野(『田中くんはいつもけだるげ』)
 高森奈津美さんが出るらしいということで注目していたのがすごいヒットを叩き出した。見た目も性格も喋り方も可愛さが反則級である。白石さんの恋を見守るポジションも良い。

越前(『田中くんはいつもけだるげ』)
 宮野さんもしゅきしゅきだけど、最終的に一番好きになってたのはこちら。宮野さん、田中くん、太田くん、誰と合わせても良いカプになるのが最高。

納沙幸子(『ハイスクール・フリート』)
 一人芝居で滑り散らかしたり、ミーちゃんと感動的な別れをしたと思ったら今度はシロちゃんに懐いちゃったり、「可愛い…」というより「お前、可愛いな!」といった種類の愛おしさを感じた。

倉本圭(『ふらいんぐうぃっち』)
 女の子が多いなか貴重な男の子成分なのに料理が得意だったりお化けが苦手だったりな高い女子力の持ち主であり、我が道を行くマイペースであり、創元SF文庫の読者でありと、魅力のバーゲンセールである。

八神コウ(『NEW GAME!』)
 日笠陽子は基本的に好きだったが、今年のこれあたりからより特別な好きを感じるようになった。一番見た目がタイプなのもあるが、青葉との上司・部下の絡みが「そういうのもあるのか」という良さへの気づきを与えてくれたことも大きい。

飯田小鳥(『甘々と稲妻』)
 つむぎちゃんと接する時にたまにマダム沙織みたいになるのが好き。美味しそうにごはんを食べる姿は、本当に心の底からそう思ってるのが伝わってきて、見ているこちらも幸せになる。

布田裕美音(『ステラのまほう』)
 珠輝ちゃんがSNS部に、裕美音ちゃんがイラスト部に入ることになったそもそものきっかけがお互いの影響だったという事実には打ちのめされた。前川涼子さんの今後の活躍を期待している。

愛ヶ咲小花(『マジきゅんっ!ルネッサンス』)
 “帰宅部活動記録以降”の現時点での千本木彩花ベスト。「九重クレアを演じた声優である」という贔屓目を一切無くした上で「この人の声が好きだ」と確信を持って思えた。

久我山八重(『ガーリッシュナンバー』)
 2016年は本渡楓さんの年と言っても過言ではないので。「私の言葉、ペラいから…」は、確かにそうだからこそ、彼女がそのことに自覚的であったことにグッとくる印象的な台詞。久我山八重、いい子なんだよなぁ。


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はんげつ @hangetsu2013
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