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まずは始めることから始めよう

全体公開 4898文字
2017-02-26 00:58:50

北原とと特務司書が審神者もしています。

Posted by @akirenge

【まずは始めることから始めよう】

帝国図書館というのは大日本帝国管轄の図書館であり、その中でも国定図書館というのは国の全ての書物を取り扱う図書館だ。
その中に国定図書館分館という建物がある。近代文学を中心として集められたこの図書館の実体は、黒く穢された書物、有碍書を浄化するために
特務司書であるアルケミストとアルケミストの力によって転生した文豪達が日々、仕事をしている。

「明日は休日だとは言え、全く……

北原白秋は宿舎の階段を降りて離れに向かっていた。分館は五日間浄化をして二日間休むという週休二日制を取っている。休めるときは休むというのが方針だ。
宿舎の方は赤い煉瓦立ての建物で、文豪達には一人一部屋与えられている。北原にも一室与えられていた。
明日は休みであるため、酒を飲む文豪達は特に飲んでいる。休みだから寝ても良いだろうと言うものだ。北原も飲む方ではあるが今日は飲んでいない。
気分では無いのだ。
離れは特務司書の少女が使っている場所で宿舎と離れは廊下で繋がっている。
今日は久しぶりに館長が帰ってきているので館長も酒宴に加わっていて、賑やかだ。賑やかさから離れるように北原は司書室のドアをノックした。
恐らく彼女はまだ起きているはずだ。

「いるかい?」

何度も叩いてみるとやがて、ドアの鍵が開けられる音がした。

「はーい。……白さん?」

「封筒を届けに来た。上では酒宴中だ。明日は休みとは言え、渡しておくべきだと想ってね」

茶髪を長髪にした緑の瞳の少女が顔を出した。着ているものは赤ずきんをモチーフとしたルームウェアだ。離れは司書室があり、司書室の奥から彼女が使っている
プライベートスペースがある。ルームウェアにはフードが着いていたが被っていない。風呂上がりだったのか良い匂いがした。
足下はボアのスリッパを履いている。

「ありがとうございます。館長、少し前に話したのに渡すの忘れてたんだ」

「これから寝るつもりだったのかな」

「早めに寝て。明日は皆と出かけるから。……出かけられたら」

出かけられたらがつくのは酒宴と聞いたからだろう。文豪は酒好きばかりだ。酒を飲み過ぎて次の日になって昼まで寝ていたとかたまにあるのだ。
特務司書の少女は未成年なので、酒は飲まないし、宴には参加しない。
皆とと言う言葉に北原が反応するが出さないようにする。

「出かけられなかったらどうするんだい」

「部屋でごろごろしたりとか、部屋でごろ寝してるの好きだし、休日はゆっくりしたいから」

「休むときには休むべきだろうね」

出かけられなかったら出かけられなかったで休むようだ。

「良かったら、お茶ぐらいなら淹れますよ。書類を持ってきてくれたお礼です」

作り笑いでは無い、気が抜けた、心から笑っている顔を彼女は見せている。明るく振る舞っている彼女だが、織田作之助のように無理にでも振る舞っているところはある。
彼女が司書室を指さした。

「なら、貰おうかな」

平静を装いながら北原は申し出を受けた。
司書室は最近、内装を変えたばかりである。離れにしろ、前の主が居なくなったの離れを彼女は使っていたのだが、殺風景すぎた。
今の司書室はと言うとステンドグラスの灯りとなり、部屋には執務机の他にもこたつが置かれている。額縁で飾られた特務司書の任命状もかけられているが、
前に彼女はこの手の認定が無いとただの怪しい奴なんだよと言っていたことを想い出す。

「特務司書として書類も書かないといけないし、お役所仕事なんだよ」

お茶を淹れるとは言え、この部屋に茶を淹れるような簡易キッチンなどは無い。プライベートスペースの方にあるのだろう。
前に一度入ったきり、入っていないのでどんな風に直したかは知らない。知らないのだが、それよりもやるべきことはある。

「司書。来てくれないか。礼の話だ」

執務机の鍵を開けて書類を放り込んで鍵をかける彼女に声をかけた。

「飲み物の話? 緑茶とか棒ほうじ茶とかあるけど、どれにします?」

彼女が近づいてくる。北原のすぐに近くにまでだ。警戒心が無い。と言うか薄い。彼女は警戒しながらもそれを出さないようにする術にも長けている。
乾かした髪の毛が揺れる。
今が、好機だった。

「君が良い」

手を伸ばして、彼女を引き寄せて北原は自身の唇で彼女の唇を塞いだ。右手で耳元の髪をかき上げて、耳に触れた。
柔らかい唇にしばらく触れてから離して、もう一度塞ぐ。口づけているだけでも愉しい。酸欠になりそうな彼女が唇を僅かに開けたので、
北原は自信の舌を入れた。歯列を軽くなぞってから割り彼女の舌と絡める。
彼女の舌の裏側を舐めると彼女の身体が大きく震えた。力が抜けたのを確認するとそのまま膝で座らせる。
このまま、まだ味わっていたかったが離した。互いの唾液が糸を引く。
混乱しているのか彼女は顔を赤くすると赤ずきんのフードを被り、視線をそらせた。思考が纏まっていないようだ。

「隠さないでも良いだろう」

「あの……あの……え? その……

「僕はずっとこうしたかったのだよ。――君はとても唇が甘いね。フードで別に隠さなくても……

……多喜二さんだって、顔を隠すじゃ無いですか。あのですね、白さ……

多喜二、小林多喜二の名が出たので苛々する。視線をそらせる彼女を振り向かせてと再び口づけて、押し倒した。フードはかぶせたままにしておく。
三度目に口づけたとき、彼女は自分を見たくないのか目を閉じていた。目を開けさせることはしない。別の手がある。
両手で彼女の耳を塞ぐと北原は深い口づけをした。目を閉じている状態で北原が耳を塞いでいる。見えないし聞こえない中、水音が司書室に響いた。
呼吸が苦しそうだったので離す。彼女は涙目で北原を見上げていた。頬が赤い。涙を指先でぬぐいながら首筋に触れるとカルクからだが反応する。

「僕と居るときは他の男の名を出さないでもらえるかな。僕はね。ずっと君とこうしたかったのだよ」

……いつから……

「いつだろうね? きっかけとかはいるのかな。好きになることに理由はいらないだろう。僕以外とこういうことしたことなかったのかい?」

指先で彼女の唇をなぞれば、せめてもの抵抗なのか、指先を噛まれた。その痛みが心地よい。舌を引っ張り上げるようにして指を動かす。
軽く舌を甘噛みすると身体が大きくはねた。彼女はこの手のことは素人だ。自分はと言うと前世のこともある。

「無いですよ」

「刀剣男士ってのにも囲まれていたのに」

……好意は寄せられてましたけど、こういうのは……

寄せられていた自覚はあるらしい。
彼女は特務司書であるが別世界では審神者をしている。審神者という刀剣男士という最強の刀剣の付喪神を率いて歴史を攻撃してくる連中から、
歴史を守っているのだ。

「手を出さないとはね……

「その、どうしてみたいな感じは」

感情を読み取ったのか問われて、解答の代わりに北原は耳たぶを軽く甘噛みしてからゆっくりと耳の縁を舌でなぞり、舐めていく。
手で彼女は唇を押さえて噛んでいる。彼女が来ているルームウェアは肌の露出が少ない。空いた手でそっと彼女の手を撫でる。
左手の手首に北原は唇を押しつけた。

「君とならこうしたいと想う男はいくらでもいるよ。僕がそうだし。それともそちらは手を出すとかで何か政府が言ってくるのかな」

……その辺は放置というか、何かあれば処理班が行くとかバビロン系やろうが仕事すれば良いよ。ほどほどにみたいな」

バビロン系というのは聖書に出てくる古代の都だ。退廃の象徴として使われている。ほどほどにと言うのは他の意味合いも入ってきそうだ。
会話ぐらいしか聞いたことは無いが彼等は付喪神で、呪われるかも知れないとかあるがそれは別に良いとなってきている。
ずっとしたかったことがこうして出来ているのだ。

「こっちはどうだったかな」

「道ならぬ恋で毒で心中やら入水自殺やら首釣って一月後発見されるぐらいなら仕事すれば良いみたいな方向で持っていくって前に館長が」

その辺りは特務司書ならば聞いている話なのだろう。出された例は文豪達の心中の例だ。自身も前世では恋愛で色々あった。今はと言うと押し倒している彼女に夢中だ。
抵抗はしていないというか、出来ないのか。呼吸が熱っぽいのを彼女は懸命に抑えようとしていた。

「僕達もその方向に持っていこうか」

「勝手に決めた!?」

「君、僕のことが嫌いなのかな。僕は君のこと、好きなんだけど」

北原は頬を何度も撫でながら視線を合わせて指先で唇を弄んだりしている。

「よく分からないんだよ。苦手ではあったかな。今はそうでもなかったのに」

「それなら、好きにさせれば良いだけの話だ。今日はこの程度にしておくから」

よく分からないと回答される。彼女はこの手の感情は分かるところは分かるが疎いところは疎いのだ。この程度と言われて彼女が力を抜いた。
――その機会を北原白秋は見逃さない。

「口づけに関してだよ」

本当はもっと色々なことをしたいが、ゆっくりやるべきだ。壊してしまいたい衝動にも駆られるが、押し倒している赤ずきんを長く長く味わいたい。
深い口づけを、北原は特務司書の少女に送った。



「白さんのせいで出かけるのが大変だったじゃ無いですか……

次の日、休日も終わる頃特務司書の少女は北原白秋を呼び出した。司書室にだ。一日、皆と出かけていた。着ているのは猫耳が着いた黒いパーカーに
白いブラウスに灰色の模様が着いたスカートに黒いタイツに茶色いロングブーツだ。首には黒色のネックウォーマーを巻いていた。
巻くしか無かった。
北原は司書室の執務机に置かれた灰皿で煙草を吸っている。

「楽しかっただろう。出かけられて」

無言で彼女はネックウォーマーを外した。首筋にいくつも赤い痕が着いているし、胸元にも赤い痕が着いている。
キスだけとは言え、慣れてなかった……というか慣れたらどうなんだあれ……ため翻弄されたというか翻弄されなかったらなどと言おうとしたが言えない。
言葉に関しては国民的詩人の北原白秋は自分の数段上強い。

「パンケーキは甘くて美味しかったです。けどっ」

「君は甘党だからね」

訴えてみるが北原は自分の所に引き寄せて口づけてくる。夜とは味が違っていた。今回は軽い。

……味が違う……

「匂いを変えてみたのだよ」

目を合わせて笑われて、またキスをされた。



気付いているのか、と北原は想う。
彼女の口に舌を入れて彼女の舌と絡ませれば、彼女の方から舌を絡めてきている。北原からすれば今のところ温和な手段はとれているのだ。
北原的にはだ。
寝間着よりも今日の服は薄い。前は無理矢理寝間着をこじ開けて印を残した。さらに進めば彼女は怒るだろうから止めておいた。
生前のこともあるので抑えるのはきついところがあるが、

「もう……

「誘っているようにみえるね。今日は皆とだけど、今度は僕と出かけてくれないかな」

上気した頬も、酔ったような瞳も、好みだ。

……行き先がはっきりしていれば……用事もいくつかすませないとだけど」

「それでもいいさ」

困ったような表情も好きで。
北原はまえにつけた痕の上から再び口づけて、白い肌に別の痕もつけていく。

「服が、選択肢がなくなるから」

「僕の方に付けても構わないよ。君は僕のもので、僕は君のものなんだから」

痕をつけるのには優越感があるのだ。彼女は他の文豪達にも好かれているから、牽制はしておかなければならない。
腹いせなのか、彼女は背伸びをして北原の黒服をめくると北原の首筋に噛みついた。

「仕返しです」

刺すように言われて、北原は顔をほころばせると、彼女をさらに味わうべく抱きしめてから、口を吸った。


【Fin】


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