春風の祝福〜桜花円舞 Part.9〜

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2017-03-04 16:35:20

審神者三兄妹本丸も無事に発足一周年を迎える。
このおめでたい日の嬉しい出来事。
いちさに恋愛物語、第9話。

Posted by @natsu_luv

少しずつ、春の訪れが近付いている。
本丸の中庭の梅の花が愛らしく咲いている。
春の息吹を感じる中、私達の本丸はおめでたい日を迎えた。
この本丸の発足一周年の記念日だ。
風月お兄様が大広間のカレンダーを見ながら、誇らしげな表情を浮かべていた。

「実にめでたいな。無事に一周年を迎えられて良かったぜ」
「そうだね。私も少しは成長したかな」
「桜は確実に成長してるわよ。時の流れは早いわね」

出雲お姉様にそう言われて、嬉しい気分になった。
すると、風月お兄様にいち兄とデートに行くことを提案された。
外でいち兄が待っていると言われ、私は本丸の門まで出た。
その時、白馬に乗ったいち兄が颯爽と現れた。
春風に乗ってやって来た王子様のようだった。

「王子様だ……!」
「はっはっは。私が王子ならば、貴方は花の姫君でございますな」
「いち兄、照れくさいよ……
「さぁ、こちらにお乗りください」

いち兄に手を引かれ、私は後ろに乗った。
馬に乗りながら眺める景色は、いつもと少し違っていた。
吹き抜ける風が気持ちいい。
馬に乗ったいち兄の後ろ姿は、本当に白馬の王子様。
小さい頃に絵本で読んだ王子様そのものだった。
私はそっといち兄の背中にしがみついた。
並ぶ木々たちに目を向けると、色とりどりの花が咲いている。

「もうすぐ春だね。梅の花が綺麗だよ」
「さようでございますな。貴方の季節ももうすぐ始まりますな」
「私の季節……?」
「桜の季節でございます。貴方の名前と同じ花が咲き誇る季節ですな」

いち兄が微笑みながら、私に語りかける。
今は葉のない木が、美しい花を咲かせる時期も近い。
本丸の周辺を馬に乗って散策した後、私といち兄は出雲お姉様に呼ばれた。
粟田口部屋に行くと、美味しそうなお菓子と紅茶が並んでいた。
紅茶は桜の香りの茶葉で、お菓子は桜餅のアイスクリームと抹茶のわらび餅だ。

「あるじさん、いち兄、ここに座って」
「大将、乗馬デートは楽しかったか?」
「うん、楽しかったよ」
「それは良かったわ。このお菓子と紅茶は、この子達が用意してくれたのよ」
「出雲さんに頼んで、主君といち兄によく似合うものを探してもらいました」
「そうなの! ありがとう」

席についた私達は、早速お菓子を食べてみた。
桜餅のアイスクリームは、もっちりとした食感と桜の香りが絶妙だ。
抹茶のわらび餅も芳醇な香りで、桜の紅茶とも合う。
今日の粟田口のお茶会も大盛況だった。
お茶会の後、私は縁側で景色を眺めていた。
本丸の中庭の桜の木も、もうすぐ切なく甘く咲き誇るのだろう。
ぼんやりしていると、聞き慣れた声が私の耳に入ってきた。

「主、隣に座ってよろしいですか」
「あっ、いち兄! どうぞ」
「雪が溶けて、春が近付いておりますな。貴方が私の主になって、ちょうど一年でございますか」
「そうだね。時の流れは早いよね。こうして、みんなと過ごせて幸せだよ」
「私も幸せです。主、貴方を愛しております……

そっと抱き寄せられ、甘い口付けを交わす。
美しく優しい、浅葱色の髪の刀剣の王子様。
審神者になったことで出逢えた、大切な愛する人。
その人が目の前にいる奇跡は、言葉では表せないほどだ。
この本丸の発足一周年を無事に迎えられたこと、いち兄という愛する人が出来たこと、おめでたいことがたくさんある。
肩を寄せ合う私達の横を春風が通り抜けていった。
桜色の風が私達を祝福してくれている。
これからも平穏で明るい本丸で、大切な仲間たちと過ごしていきたい。
そして、私も風月お兄様や出雲お姉様と肩を並べられるような審神者になりたい。


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