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審神者と落ち葉と細川組

@ktbkch1tosh1
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2017-03-12 19:42:25

うち本丸設定での小夜くんと歌仙さんと審神者が過ごす他愛のない秋の日の話です。2015年9月に友人に投げつけたメールより

「審神者と落ち葉と細川組」

 秋だ。
 射すようなものから、幾分柔らかくなった日差し。空の色も鮮やかな青から、薄く白い色が混じり、高く遠くなり始めている。
 本丸の庭も、山に近い方からちらほらと枯れ葉が落ちるエリアが出ている。
 なので、雑用大好きな審神者は箒片手に掃除中です。
 ──ここのシステムは未だによく分からない。
 全オートマのホログラフィーかと思えば、こうして舞い落ちる葉は本物だ。
 畑で採れる作物も、本物ではあるが、収穫までの速度は普通じゃない。しかし、放っておいて良い訳でもない。
 審神者パワーだと、ちらりと他所の審神者から聞いたが、どうなのだろう。
 そんなことを考えながら、せっせとなくならない落ち葉を掃いていると、不意に視線を感じた。
 「?───何をしているんですか?」
 縁側に、小夜左文字と歌仙兼定がいた。
 「あなたが枯れ葉を集めているようだったから」
 「終わったら、これを焼こうかと陸奥守に貰ってきたんだよ」
 歌仙くんの座す横にはかごに乗ったさつま芋が山を作っている。
 集めてるんじゃないよ。掃除してるんだよ。
 「審神者がせっせと掃除した落ち葉で焼き芋ですか。それまで眺めているだけですか。雅が泣きますよ」
 怒っている訳ではないが、いつからいたが知らないが眺められていたことが何だか気恥ずかしいので少しむくれて言ってみた。
 が、『歌仙兼定』がそんなことで負ける訳がなかった。
 「季節毎の行事を楽しむのは風流だろう?」
 「そ、それはそうだけど……」
 ひ ら き な お ら れ た !
 「……あなたは力を入れすぎだと思うよ」
 それまで黙って審神者と歌仙くんのやり取りを見ていた小夜くんが口を開いた。
 「え?」
 手を出すので、箒を渡すと、小夜くんはすたすたとまだ掃き清めていない辺りへ向かう。
 うわ、はやい。
 ひどく軽い動きでさっさと自分の背丈を遥かに越えている箒を操る。
 枯れ葉も大人しく集まっていく。
 「小夜くんすごいですね!お掃除名人です!」
 「え……」
 小さな子供の姿をした付喪神は、ひどく驚いたように目を見開いた。
 それから、箒を返してくれながら言う。
 「……そんなに力は要らないんだ」
 「力、入ってますかねぇ……」
 「落ち葉も、全部掃く必要はないんだよ」
 殲滅戦を見ているようだ、と歌仙くんが言う。そんなだったか。
 何もかもを掃き切ろうとするから時間が掛かる。しかも無駄な力が入っているから枯れ葉が次々粉々になっていくのだ、と、流石眺めていただけはある。ふたりに口々に言われると納得せざるを得ない。
 「うーん……力を入れすぎない……」
 ざっざっと箒を動かすと、やはり取りきれない分が出る。
 「これは……」
 「落ち葉が完全に落ちきるまでは、なくならないんだから、そのままでいいと思うよ」
 取れる範囲でざっくり掃いていけばいいと言う。
 「そうですか……気にしなくていいんですか。そうですか……?」
 何となく、気持ち悪くないのかと首を傾げていると歌仙くんが呆れたような顔をする。
 「君は変なところで神経質なんだね」
 「変なところってどう言うことですか」
 普段の行動は大雑把と言うことか。まさにそうだが。
 「主……僕がやるよ」
 「えっ、いえ!これくらいは自分でやります!」
 審神者には雑用くらいしか出来ないのだ。それを現在一番隊で最前線で戦っている小夜くんに任せるなんて以ての他だ。
 箒を奪われないように少し距離を取って、ふたりに言われた注意点をもう一度頭の中で繰り返す。
 力を入れすぎない、全て片付けなくていい。細かくなった葉っぱはもう追わない。
 「さ、審神者だってやれば出来るんですっ」
 「(主がYDKだなんて、誰も言ってないんだけどなぁ……)」
 「(主の分と、歌仙の分と、兄さまたちの分……。主は隊長にもあげたがるから、その分と、陸奥守にもお礼にあげないと……数足りるかな)」


 ▽審神者 の ほうき術が 1あがった!


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ちぃ
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