@satomi8429
!注意!
勝手に朱雀全員生き残った設定@紅南国です。
…………………………………………………………………………
「星宿様はお誕生日にもらいたいものなんてあるんですか。」
朱雀召喚から3年。少年の希望は実は星宿自身のそれでもあったのだが、念願叶って今、こうしてともに仕事をしている。
でも何でも持っていらっしゃるから難しいですね、と続ける張宿に星宿は微笑んで言った。
「私はこの国の王で、この国は私のものだ。しかし国は国民のものでなければならない。この国の自然も富も、すべて紅南国の国民のものなのだ。本当は、私自身のものなんて何もないんだよ。」
扉の向こうに、四角く切り取られた春が見える。
「私は『自分のもの』を持っていてはいけないのだ。」
「この国の何も持っていないということは、すべてを持っているとも言えるのでは?」
にこやかにこちらを見る張宿に星宿は目を丸くした。
「すべてを?」
「行きましょう星宿様。」
「行く?どこへ?」
「僕たちからのお誕生日祝いです。」
「…?」
「いってらっしゃいまし、陛下。きっと今日は、花々が咲き乱れてとても綺麗ですよ。」
いつの間にかそばに来ていた鳳綺が歌うように告げる。いやいや、そんなことしている暇はないし、と手付かずの書類の山を見遣る。見渡す、と言っていいほどに書類は山脈のごとく連なっていた。
「でも。」
「今日の陛下への贈り物は有給休暇にさしていただきましょう。公務のことはご心配なさらずに。」
「楽しんでらしてください、あなたの国があなたの生まれた日をお祝いしていますわ。」
隣でにやにやしていた右大臣も鳳綺と顔を見合わせて頷いている。
「実はもう井宿さんと相談済みなんです。術の使い甲斐があるって喜んでいましたよ。」
すこし恥かしそうに張宿がそう告白する。
そうか、みんなグルだったのか。そういうことなら、乗っかってやらねばなるまい。
「そうか、では」
星宿は筆を置き、その手で差し出された張宿の手を取った。
さあいざ、紅南国の春を感じに。