@Niconico_1230
最近、彼氏のウォヌが携帯を見ては嫌そうな顔をしている。
眉間にぐぐぐっと皺を寄せて、
目はいつもより鋭くてなんだか怖いくらい。
最近、と言っても一昨日の夜飲み会に行って帰ってきてから。
彼はSEVENTEENというグループでアイドルをしていて、特に今はカムバ期間とやらでそういう付き合いも少なくはない。
共演者の方と食事をしたりするのも仕事のうちだってことは、一般人の私でも分かる。
女の子に媚を売れ、なんてことは流石に言われないだろうけど、最低でも失礼な態度は取れないわけで
常にしたいがまま、本能のままに生きてる彼だから
ちゃんと仕事を果たしてることに感心していた。
『あちゃー、ごめんねミンギュくん…』
「あ、いえいえ。大丈夫です。ほらヒョン、着きましたよ〜」
「んー… 名前…」
『ほら、シャキッと立って。ミンギュくんから離れて。』
飲み会を終えて帰ってきたウォヌは私が知る限り過去最高に酔っていた。
『こんなに飲むなんて、珍しい。』
「そうですね。…でも今回の飲み会のメンツ、めんどくさかったし…気持ちわかりますよ、」
ウォヌを庇うように笑いながらそう言うミンギュくん。
さすが、どこまでもいい子だなぁ。
デロデロのウォヌを支えながら思う。
いつもありがとう、とミンギュくんを送り出して、
ウォヌを介抱した。
「ぎもぢわるい…」
とソファに寝転がって具合が悪そうなウォヌに呆れつつも、
ウォヌなりに嫌なことも我慢したのかなと思うと甘くなっちゃって、
もうセットも崩れた黒髪を撫でた。
それが、一昨日の夜の話。
次の日の朝携帯を目にした彼は、
ゲッ
と漫画にでも出てきそうな言葉を漏らした。
なんだろう、と気になりつつも
なにかイタズラでもして、それがバレたのかな
それともなにか嫌な仕事が来たのかな
そう思って気にも留めていなかった。
そして今、また携帯を見て顔を顰めるウォヌを見てるとたまたまその事を思い出して。
『ね、なに見てるの?私も見たい。』
なんとなぁく、そう言ってみた。
いや、別に束縛とか嫉妬じゃなくてね?
普段ぬぼーっとしてるウォヌがそんなに嫌うもの、嫌がるものってなんだろうって気になっただけ。
「んー、別にいいけど、なにも面白くないと思う」
『いいのいいの〜』
お風呂上りで上半身裸の彼から携帯を受け取って、まるでマンガを見るときのようにソファに寝転がる。
鼻歌を歌いながらうつ伏せになって、携帯を開いた。
そこにはメッセージの通知が来ていて
名前は♡になってる。
えっ、え!!
『なにこのハート!!』
そう焦っていると、
「そいつが自分で自分の名前♡にしてるだけだから。」
とひとこと。
あぁ、なるほど。
浮気じゃないのね、よかった。
うーん、名前♡にする意味ある??
最近の子は分からないなぁ( )
あ、有名人だから、なにか特別な理由があったりして。
『本名はなんなの?』
聞いた直後、流石に教えてくれないよね、
仕事相手だし私に関しては一般人だし…
と思っていたけど、
「んー、なんだっけ。パク…いや、キム?あれ、わからん。」
苗字さえ覚えてないし、思い出すことを早々に諦めてしまうウォヌ。
私には嘘つかないし隠し事もしない彼だから、本当に忘れたんだろう。
まぁいいや、と思ってトーク履歴を開く。
『あ』
「ん?」
『ごめん、既読ついちゃったや』
「あー、いいよ別に」
『返信は?』
「後でする」
私の隣に座って、まだ上の服も着ずにコーヒーを飲んでるウォヌ。
なんか前より腹筋深くなってる…後で触ろ。
そんなことを考えながら、液晶画面に目を移した。
彼のトーク画面は、私がずいぶん前にふざけてピンクに設定してからずっとピンクのデザイン。
機械音痴だから、っていうのもあるけど
ずっと変えてないんだから可愛い。


『…いや、』
「?」
『流石に適当すぎるだろ!』
「そう?」
『返すのめちゃくちゃ遅いしね!』
「仕方ない」
『いやいや、えぇ!?なになに、仕事相手でしょ?大丈夫なの?これ。』
「んー、後輩だし。別に。」
『途中「感心する」とか本音漏れてるし!』
「漏れちゃった」
なんの気負いもすること無く澄ましてるウォヌが信じられない。
確かに文字を打つのが面倒だからってメッセージのやり取りを嫌うウォヌだけど、私とのトークはもっとちゃんと返してくれるけどなぁ…
私がボケたらツッコミをいれてくれるし。
興味の無い相手だと、ここまで適当なのか…
「…でもそいつ、何やっても無理だった。
毎日毎日連絡くるし真夜中に来たり常識なくて面倒だから、ミンギュに相談して言う通りにしたんだけど。
短く答えても駄目、スタンプ送っても駄目、既読無視も未読無視も駄目、もうこの際────
ブロック?してくんない?」
理不尽だとは分かってる。
ここでウォヌを甘やかさないのが私の役目だってことも分かってる。
…けど、
『ぷっ、あっはははは、』
こんなの笑っちゃうじゃん。
「なんで笑ってんだコイツ」みたいな顔を向けてくるウォヌ。
いやいや、これは笑っちゃうよ。
あのウォヌを苦戦させるこの子すごい。
「別に笑っててもいいからブロックしてよ。やり方わからん。」
『あー、おかしい。いいの?ほんとに。これから先一緒に仕事する時困らない?』
「大丈夫」
何が大丈夫なんだ、と思いながらも言われた通りブロックしてあげる。
『はい、できた』
「ありがと。」
私から携帯を受け取る姿はいつもより清々しげで、それも笑っちゃう。
「ふはっ、なんだコイツ…」
悩みの種が一つ消えて、早速携帯を見て笑ってる。
何を見て笑ってるんだろ、と思ってピッタリウォヌと体をくっつけると、
メンバーのグループトークみたい。
楽しそうな会話が、ポンポンと続いてて微笑ましい。
人の好き嫌いが激しい彼だけど、メンバーには恵まれたみたいで良かった良かった。
好きな人に対してはこんな可愛い笑い方するのに、
嫌いな人に対してはああだもんな…
そう考えると、ふと思うことがあって。
『ウォヌは、私のどこが好きなの?』
ウォヌの膝に頭を乗せて、腹筋をつつきながら聞く。
「ん、」
私の方に一瞬降ろされた目線が、なんかかっこよかった。
「…ほっといてくれるとこ、とか」
『…ほぉ、』
「詮索しないとこもだし」
『…おぉ、』
『一緒にいておもしろいし』
『お、おぅ』
「いろいろ気が楽で、
傍に帰りたいって思う」
『…』
思ってたよりも素直に、しかも沢山言われて
流石の私もキちゃった。
「なに、照れてんの」
両手で顔を覆う私に、面白そうにそう言う。
『うるへー』
「ははっ、…そういうとこも好き」
なんなんだこいつ、急に素直になってさ。
殺す気か。
『…私も好き』
「ふっ、知ってる」
『う、嘘だもんねー。引っかかったー』
「ほんとに嘘?」
そう言って、だんだんとウォヌの顔が近づいてきて
膝枕されたままキス。
「赤くなっちゃって、かーわい」
『ばーか、』
「この体制からキスは辛い。首捻りそうだから起きて。」
仕方ないなぁ、と体を起こせば
沢山のキスをしてもらった。