美味しい紅茶の淹れ方〜文学少女の日記 Part.2〜

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2017-07-08 18:59:22

茶葉のダンスと芳醇な香りが図書館に安らぎの時間を届ける。
鈴の図書館物語、第2話。

Posted by @natsu_luv

政府が発見した真っ白な本の調査で、私は忙しい日々に追われていた。
大学の課題と本の調査を両立しながら、何とか任務を果たし、ノルマも達成できた。
その調査で手に入れた文豪たちのウェイター衣装。
オダサクくん、堀くん、荷風先生、三人ともよく似合っている。
三人の新しい衣装のお披露目会をするため、私は文豪たちを食堂に招集した。

「オダサクくん、堀くん、荷風先生、こちらにどうぞ!」
「どや、これがワシの新衣装やで!」
「似合ってますか……?」
「たまには、こういった服も良いな」

三人のウェイター衣装のお披露目が終わり、私は司書室に戻ろうとしていた。
その矢先だった。
突如、オダサクくんが紙袋を持ってきたのだ。
その紙袋の中身をチラ見せして、オダサクくんはとんでもないことを言い出した。
堀くんと荷風先生も何故か笑顔だった。

「可愛い子には、可愛い服着せやんと! おっしょはんには、これを着てもらうで!」
「ええっ⁉︎」
「司書さんなら似合いますよ」
「さぁ、着替えておいで」

堀くんと荷風先生に背中を押され、司書室に戻った私は紙袋に入っていた衣装に着替えた。
衣装は半袖のロングスカートのワンピースとフリルエプロン、猫耳のヘッドドレス。
私はメイド服を着せられたのだ。
三人のウェイター服姿は素敵だけど、私のメイド服姿なんて誰が得をするのだろうか。
そんなことを思いながら、私は食堂に戻った。

食堂に着いた途端、文豪たちの拍手喝采。
藤村くんと独歩さんが写真を撮っている。
文豪たちの反応に戸惑いを隠せないでいる私に、堀くんが声をかけてきた。
文豪たちにおもてなしをしたいから、美味しい紅茶の淹れ方を教えてほしいと頼んできた。
堀くんは食堂をカフェのようにしたいそうだ。
堀くんの頼みは断れない。
私は厨房を借りて、堀くんに紅茶の淹れ方を指南することにした。
その話にオダサクくんと荷風先生も乗ってきて、私達はお茶会を開催することになった。

他の文豪たちが一旦自室に戻った後、オダサクくんと荷風先生がテーブルの配置や用意するお茶菓子を選んでいた。
その間、私と堀くんは紅茶のポットサービスの練習をすることにした。
まずは、私が見本を見せることになった。
ポットに適量の茶葉を入れ、高い位置からお湯を注ぐ。
耐熱ガラスのポットなので、茶葉が舞い上がる様子を見られる。
堀くんが茶葉のダンスを見て、目を輝かせていた。

「うわぁ……。綺麗です」
「堀くんもやってみる?」
「はい、やってみます!」

私の見本通りに、堀くんに紅茶を淹れてもらう。
飲み込みが早いのか、堀くんはいとも簡単に美味しい紅茶の淹れ方を身につけていた。
その間、私はお茶菓子の用意をしていた。
今日のお茶菓子は、荷風先生が選んでくれたクーベルチュールチョコレートのオペラケーキ。
甘味好きの文豪たちも納得すること間違いなしの贅沢なケーキだ。
ケーキの準備をしていると、何かがカサカサする音が聞こえた。
ふと目をやると、黒光りした悪魔が視界に入った。

「きゃあぁっ!」
「うわぁぁっ!」

黒い悪魔を見た瞬間、私と堀くんは悲鳴をあげて食堂内を疾走した。
いつ見ても慣れない黒い悪魔に太刀打ち出来そうにない私と堀くん。
すると、そこに颯爽とオダサクくんと荷風先生が現れて、黒い悪魔を一発で仕留めてくれた。

「後処理はワシらがやっとくから、おっしょはんとたっちゃんこは厨房に戻っとき」
「オダサクくん、荷風先生、ありがとう!」
「助かりました……!」
「お茶会、無事に成功させよう。準備が出来たら、僕に声をかけてくれ。皆を呼んでくるから」
「わかりました!」

厨房に戻った私達は、お茶会の本番の準備を進めた。
堀くん初の紅茶のポットサービスが行われるお茶会。
文壇のアイドルである堀くんの晴れ舞台を文豪たちも楽しみにしているだろう。
荷風先生とオダサクくんが食堂の扉を開けて、文豪たちをお出迎えした。
文豪たちはオペラケーキを見て、笑顔になっていた。

「堀くん、いよいよだね」
「はい、頑張ります! 司書さん、見守っていてくださいね」
「大丈夫、成功するように祈ってるよ。皆さん、今日は堀くんの紅茶のポットサービス初お目見えです!」
「よろしくお願いします……!」

堀くんは手慣れているかのように、茶葉をポットに入れて、高い位置からお湯を注いでいた。
茶葉を踊らせた後、十分に蒸らしてお茶の旨味を引き出す。
それから、文豪たちのテーブルを廻って、マグカップに淹れたての紅茶を注いだ。
紅茶の芳醇な香りが食堂内に漂う。
ポットサービスを受けた文豪たちは、みんな良い笑顔だった。
ひと通りテーブルを廻った堀くんが私の元に駆け寄ってきた。

「司書さん、ありがとうございました。これからは、朝のポットサービスも手伝わせてくださいね」
「もちろんだよ」

堀くんの紅茶のポットサービスは大成功。
笑顔で文豪たちをもてなす堀くんを見て、私も嬉しくなった。
侵蝕者との戦いはまだまだ続くけれど、図書館で過ごす日々は明るく楽しいものにしたい。
私は特務司書として、図書館での日々の安寧を願っていた。


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