.

ads by microad

味見

豆腐屋ふうか
Publish to anyone 1favs
2017-12-06 01:40:07

趣味しかない

────某月某日、天照某所の和菓子屋にて────

 ニールは店に並べられた団子やどら焼きなどの菓子を眺めて唸っていた。
 ブリテンではそうそう手に入らない菓子はどれも魅力的に見えてしまい、つい目移りしてしまう。
「何悩んでるの?」
 隣で商品を見ていた男性に声を掛けられ、ニールの肩が跳ねる。
「驚きすぎ」
「す、すみませんローマンさん。選ぶのに夢中になってしまって……」
 慌てて頭を下げるニールの頭にローマンの手がぽん、と置かれる。
「どれも美味しそうだよね」
「友達と食べようと思いまして。それでどら焼きかお団子かの2つまで絞ったんですけど……」
 ニールが悩んでいた2つの菓子を指差すと、ローマンは少し考えた後に何か思いついた様にぽんと手を打つ。
「ならまずは味見だね」
「え?」
 首を傾げるニールをよそに、ローマンは手早く店員にどら焼きとみたらし団子を頼んで勘定を済ませる。
「半分ずつ食べよう。俺もどっちを食べようか悩んでいたんだ」
「あの、いいんですか?」
「勿論。外に椅子もあるし、早速食べよう」

 店先に用意された椅子に並んで座り、ニールはローマンから受け取った半分のどら焼きを頬張る。
「甘い〜」
 しっとりずっしりした生地に優しい甘みの粒あんを味わっていると思わず顔がほころんでしまう。
「あの、ありがとうございます。これ、とてもおいしいです」
「こっちも食べなよ。ちょうど4つだから2個ずつ食べられる」
 ニールがどら焼きを食べている間にローマンはみたらし団子を半分食べ、団子が2つ刺さった串をニールに手渡した。
「こっちもおいしかったよ」
「わあ、ありがとうございます」
 嬉しそうに団子を頬張るニールを見て、ローマンは子供みたいだなと呟いた。
「何か言いました?」
「いや……随分と嬉しそうに食べるんだな、と思って」
「おいしくってつい顔が緩んじゃうんです」
 そう答え、ニールは頬を押さえて幸せそうな顔をする。
「そうか、なら友達にも気に入った方を買っていくといい」
「はい、そうします」

 菓子を食べ終えて一息つき、それじゃと声を掛けてローマンは席を立つ。
「あっ、ローマンさんお金は……」
「気にしなくていいよ、そんなに高いものじゃないから」
「えと、でも」
 ニールが慌てた様子で財布を取り出そうとするもローマンはいいのいいのとニールを制止する。
「そんなに気にするならそうだなぁ……またこうして一緒に何か食べる機会があったらその時は君に持ってもらおうかな。それでいいかい?」
「……ローマンさんがいいなら」
 少し不満げではあるがニールは了承したようで、財布を鞄の中にしまった。
「それじゃあ俺は先に帰るよ。友達、喜ぶといいね」
「は、はいっ」

 帰り道、ニールの足取りは軽かった。
「ローマンさん、いい人だったなあ」
 甘党の幼馴染のために買ったみたらし団子とどら焼きの袋を揺らしながら急ぎ足で待ち合わせ場所に向かうのだった。

ーーーーーーーーーーーーーー

BC財団 調査員 ローマン・アディントンさん
お借りいたしました。不都合がありましたらパラレルとして扱って下さい。


ads by microad

You have to sign in to post a comment or to favorites.

Sign in with Twitter


Profile
豆腐屋ふうか @fuka_tofu
Share this page

ads by microad


Theme change : 夜間モード
© 2019 Privatter All Rights Reserved.