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恋の話を聞くとしよう

豆腐屋ふうか
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2017-12-06 16:41:23

ニマニマしてこういう話をして欲しかった
公開はしている

 某月某日、ロンドン市内の小さな喫茶店でニールは幼馴染とケーキを食べに来ていた。どうやら向こうから話があるらしいがニールには思い当たる節は無い。無いといえば無い。筈だったのだが。

「ニール、恋人ができたんだっテ?」
「え」
 一体どこから漏れたのか、幼馴染の口から2ヶ月前に出来たばかりで誰にも言っていない恋人の話題が飛び出し、ニールは思わずフォークを取り落とした。
「マダ言ってないのにってカオしてるナ」
 そういうと、幼馴染は紅茶を啜った。
「ぅ…….その……ウルムにはその、もう少し時間を置いてから言おうと思ってたんですよ」
「ほーォ? 2ヶ月もダンマリ決め込んでまだ期間開けようってのカ?」
 頬杖をついてにんまりと笑うウルム。だが、目が笑っていない。
「いや、その、興味ないかと思い……まして……」
「あるヨ、ありまくるヨ! 面白……心配じゃないカ!」
 ウルムは口を尖らせて不満をアピールする。
「それデ? 相手はどんなヤツ? 写真とかないノ? 馴れ初めハ?」
 あれこれと質問を重ねるウルムにニールはわたわたとするばかりだ。
「あの、キャンベルさんって……言って……すごく気さくな方で……あの、これが写真なんですけど……」
 顔を真っ赤にしながらニールは財布から写真を一枚取り出してウルムに見せた。金髪で眼帯が特徴的な青年がカメラに笑顔を向けている写真だ。
「……ふぅん」
 ニールから受け取った写真をちらっと見て、ウルムはすぐにそれを持ち主に返した。
「素敵な人ですよね。笑顔が眩しくて、ボクには勿体ないくらいで……」
「あのね、キミは少し自信を持たなすぎだナ」
 ウルムはわざとらしく溜息を吐いて向かい側に座るニールの頬を人差し指で突いた。
「キミにも良いところはあるんだし、もっと胸を張りなヨ、ボクみたいにサ!」
 そう言ってウルムは誇らしげに胸を張った。
「自信を持てなんて言われたってはいわかりましたって自信持てるようにはならないんですよぉ」
「キミがそういうヤツなのは充分わかってるけどサ。でもいつまでもボクなんてボクなんてって言ってたらキャンベルクンとやらも困ってしまうんじゃないカ?」
 ウルムの言葉が刺さったのかニールはへなへなとテーブルに突っ伏してしまう。
「それはとても困ります……」
「なら頑張るんだナ」
 ウルムはニールの頭をぽんぽんと叩き、それから乱暴に撫で回した。

「で、この2ヶ月の間何か恋人らしいことはしたのかイ?」

 しばし沈黙。

「……い、一緒にご飯を食べました!」
「他ハ?」
「え、えっと……一緒にジェラートを食べに」
「他」
「……一緒にカフェに」
 そこまで聞いてウルムは右手で顔を覆う。
「君の飯友と同じじゃないカ……」
「で、で、で、デートしてるじゃないですか、ちゃんと!」
「じゃあこの2ヶ月の間、手の一つでも繋いだカ? ハグの一つでもしたカ?」
「うっ」
 言葉に詰まるニール。顔には誰がどう見ても『してないです』と書かれているように見えた。
「キミってわかりやすいよネ……」
 そんなニールの顔を見てウルムはやれやれと肩を竦めた。
「ま、キミのペースで頑張ればいいんじゃなイ?」
「そ、そうですよね! 自分のペースで頑張れば良いんですよね!」

「…….向こうがキミのペースに合わせてくれるかは疑問だがネ」

 背伸びしなくても良いんだと目を輝かせるニールを見て、ウルムは聞こえるか聞こえないかという小さな声でそう呟くのだった。

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BC財団 研究員 ウルム=フォーダムさん
お借りしました!
不都合があればパラレルとして扱って下さい。


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豆腐屋ふうか @fuka_tofu
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