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冷静な者と信じる者

豆腐屋ふうか
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2017-12-10 13:52:39

 信頼していた仲間達の中にスパイがいる──ニールはどうしてもそれを認められなかった。
 今まで仲の良かった彼等から微かにピリピリとした空気を感じる。皆表に出さずとも気が立っているのは確かだった。
 ニールは深く溜息を吐き、書き上げた報告書を持ってMr.Dの元に向かう準備をした。

 考え事をしながら歩いていると、前方が見えなくなっていたのか誰かにぶつかり尻餅をついてしまった。
「あっ……す、すみません」
 見上げると長い銀髪に顰めっ面の青年がニールを見下ろしていた。
「げ」
「『げ』、とはまたご挨拶だな。ニール・ハミルトン」
「……お怪我はありませんか、シェリダー・クリフォリア」
 ニールは嫌々といった様子でシェリダーを気遣う言葉をかけ、服を叩きながら立ち上がる。
「調査員ならば周囲に気を配って歩け」
「……少し考え事をしていただけです」
 散らばった資料を拾いながら不機嫌そうにニールは答えた。
「オブザーバーからの連絡か」
 考えていたことを言い当てられ、ニールは思わず手を止める。
「マクガフィンは世界情勢すら覆しかねん代物、我々から奪おうと考える輩がいるなんて当然の事だ」
 淡々と言ってのけるシェリダーにニールは奥歯をギリ、と噛んだ。
「どうしてそう冷静でいられるんですか」
「冷静さを欠けば出し抜かれるからだ」
「出し抜くとか出し抜かれるとか、ボクは皆をそんな風に思いたくない」
 シェリダーの眉間の皺がいつもより深くなる。
「甘過ぎる、いつか寝首を掻かれても知らんぞ」
「……誰も信じられなくなるぐらいなら頭と胴が離れた方がマシだ」
「本気か?」
「ボクは誰も疑わない、誰がスパイであってほしいとも思わない」
 書類を拾い終えたニールは立ち上がり、シェリダーを真っ直ぐ見つめる。
「クリフォリア、貴方もだ」
「……好きにしていろ、俺は知らん」
 軽く首を左右に振り、シェリダーはニールが歩いてきた方に向かって歩き始めた。
 ニールはその後ろ姿をしばらく見つめていた。

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BC財団 研究員 シェリダー・クリフォリアさん
お借りいたしました!不都合があればパラレルとして扱って下さい。


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豆腐屋ふうか @fuka_tofu
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