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ある夜のこと

豆腐屋ふうか
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2017-12-14 18:11:02

 ニール・ハミルトンは時折夢を見る。

 夢、と言っても楽しいものではない、悪夢の類である。

 目を覚ましたニールはおそらく今日も寝る間を惜しんで仕事をしているであろう同居人の邪魔をしないよう静かに居間に向かった。

 居間の真っ暗な居間のソファにぼんやりと座っていると、辺りがぱっと明るくなる。
「わ、びっくりした……明かりも点けずに何してるの」
 明かりを点けたのは同居人の一人の女性で、マグカップを手に持っているところを見るとおそらくコーヒーのお代わりを取りに来たのだろう。
「感心しないね、こんな夜遅くに」
「アコモさんこそ、そろそろ寝てください」
 ニールの返しに彼女──アコモ・デートラックという──は自分のことは気にしないでくれと苦笑した。
 それからアコモは台所でコーヒーを自前のカップに淹れ、居間に戻ってきた。
「ニール君も何か飲む?」
「いえ、お構いなく」
 アコモはそっか、とだけ返すとニールの隣に腰を下ろした。
「アコモさん?」
「ルームメイトを放って仕事に戻るほど薄情じゃなくてさ」
 そう言って微笑むアコモに彼女の人の良さを感じた。

 アコモの飲むコーヒーの香ばしい香りを嗅いでいると心が段々と落ち着いて来た。真っ暗な中でぼんやりとしている時よりもずっと。
「……明日も仕事だろう?君は外に出て歩き回るのが仕事なんだから、落ち着いたらちゃんと寝るんだよ」
「わかりました」
 そんな話をしていると、もう1人同居人のものであろう足音が聞こえてくる。
「まだ起きていたのかアコモさんは……む、2人で起きているなんて珍しい」
「メルヴィも珍しいね、こんな時間に」
「喉が乾いてしまって」
 それからメルヴィとアコモのいつものやりとりが始まる。メルヴィはアコモの身体を気遣って休むように忠告し、アコモはその忠告に「そうしたいのは山々なんだけどね」と返す。ニールはそのやりとりが好きだった。
「ニール、君からも言ってやってくれないか。彼女は根を詰め過ぎだと思うんだ」
 メルヴィは頑なに寝ようとしないアコモをなんとか説得しようとニールにも応援を求める。
「それは困るな、2対1の構図にしてまで私を休ませようとするなんて」
「倒れたら能率も何もない。徹夜はほどほどにと言っているだけだ」
 そう言ってメルヴィはアコモにコーヒーを飲み終えたら仮眠を取るよう勧める。
「もし倒れたら、の話をされると弱るね」
 アコモはバツが悪そうに溜息を吐き、カップに半分程残っていたコーヒーを飲み干す。
 そんな同居人達とのなんてことのない日常がニールは好きだった。

 こんな日常がいつまでも続けばいいのに、そう思ってしまう程に。

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BC財団 警備員 メルヴィ・アリシア・ヴェンネルバリさん
BC財団 調査員 アコモ・デートラックさん
お借りいたしました!不都合があればパラレルとして扱って下さい。


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豆腐屋ふうか @fuka_tofu
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