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『それ』を使うか否か

豆腐屋ふうか
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2017-12-18 13:13:16

審判の部屋に関してのもしも
捏造しかないのでパラレルパラレル!!

 審判の部屋に入れられた人物が部屋から出てくることはない、職員を集めてMr.Dは苦しそうにそう言った。
 部屋の中がどうなっているかもわからない、部屋に入れられた人間が何をされるのかもわからない。そんな場所にスパイの容疑が掛かって居るとはいえ、仮にも財団で働いていた人間を入れてもいいのかと、渡された投票用紙をくしゃりと握りつぶした。
「多数決であの人の生きる死ぬを決めるなんて、そんなの、そんなの……」
 こんな紙切れ一枚で容疑者の運命が決まる、そんなこと考えたくもなかった。
 頑丈なカギのついた投票箱を見つめる。あの中には一体何枚の『賛成票』が入っているのだろう。
 そしてニールが悩んでいる間にも一人、また一人と投票箱に用紙が吸い込まれていく。
(どうして、どうして皆あんな涼しい顔で)
 吐きそうになるのをぐっと堪えて壁にもたれかかる。
「真っ青だネ」
 目を開けると、幼馴染が目の前に立っていて。
「それ、出さないのかイ?」
 左手の中でくしゃくしゃになった投票用紙を目ざとく見つけ出して。
「まあ、キミは迷うだろうネ」
「ボク『は』って何ですか、まるで君は何も迷わなかったよう、な」
 言い切る寸前でハッとした。
「迷わなかったサ」
「っ……!」
 聞きたくなかった。大事な幼馴染から、そんな言葉。
「なんでっ、人の生死が関わってる、のに」
 聞きたくない、答えないで、そう思いながらも口は開いてしまう。
「スパイかもしれないなら、『真実』を話してもらわなきゃならないだろウ?」
 ごまかしてほしい、そんなニールの気持ちとは裏腹に幼馴染は顔色一つ変えずにさらりと答えてしまう。
「何が本当で何が嘘なのかなんてボクらには判断しようがナイ。なら『確実に真実を問える』方法をとるべきじゃないカ」
 これ以上話し合うのはダメだ、と頭ではわかっているのに足が動かなかった。
「その結果が、あの人の無実だったらとか、考えないんですか」
「考えないネ」
「君には――――ウルムには人の心がないの!?」
 初めて幼馴染を怒鳴った。握り締めた拳と胸がずきりと痛む。
「そんな慈悲を持つ必要がアルの?」
「慈悲だなんて、そんな高尚なものじゃない。そんな権限をボクらが持つべきじゃないって、そう言いたいんだ」
「ボクらでやらなきゃ誰がやるノ?」
「それ、は」
 また、拳に力が入る。
「上に任せたら問答無用であの部屋行きだろうネ。捕まった時点で詰んでるんだヨ」
「でも、ボクはあの人を――――」
 疑いたくない、と言う前に口を塞がれる。
「そういうこと言わない方がいいヨ」
 おそらく彼なりの気遣いだろう。あまり余計なことを大勢の前で言えば疑われてしまうから。
 その気遣いが、折れかけていたニールの心を引き戻す。
「……ありがとう、ウルム」
 握り締めて血の滲んだ右手でウルムの手を退けて、彼をまっすぐに見つめる。
「やっぱり、ボクは誰かを疑うとかそんなのは向いていないみたいです」
「ニール……」
「スパイ擁護って言われてもいい。それでもボクは、彼を……ううん、『BC財団の仲間全員』、疑えない」
 にっこりと笑みを作る。
「どんな結果になっても後悔しない、ボクは信じるよ。ウルム」
「頑固だネ、キミは。いや、ボクが背中を押してしまったのカ」
 ウルムはやれやれと溜息を吐く。



 扉の前に立ったニールは、数日前の幼馴染との会話を思い出していた。
(ウルム、ボクは最後まで皆を信じられていたかな)
 今まさに『審判の部屋』に入れられようとしているのに、そんなことを考えてしまう。

 扉が開く。

(ああ、此処に入ったら、もう)

 一歩踏み出そうとして、大切な人の顔が脳裏に浮かぶ。後悔なんてしないって言ったはずなのに。

「死にたく、ないなぁ」

 いつの間にか流れ出した涙が、重い手枷を濡らした。


―――――――――――――――――――――

BC財団 研究員 ウルム=フォーダムさん
お借りいたしました!不都合があればパラレルとして扱ってください。


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豆腐屋ふうか @fuka_tofu
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