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恋とはどんなものかしら?

針山レゴ🐳(7/12)
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2017-12-18 16:49:04

彼の最近の個人的興味の話です。天照に来る前の本国でのあたりかな。

恋とはどんなものかしら?

こい(こひ)【恋】<名・ス自他>特定の異性に強く惹かれること。また、切ないまでに深く想いを寄せること。恋愛。「——に落ちる。」「——に破れる。」


1

幼馴染と待ち合わせるのは大体ロンドンの街中で人通りを眺められるカフェだ。ちょうどよく休憩中に顔を合わせたのでランチでもどうかという話になったのだ。
お互い注文を済ませ、他愛もない話をしたり、最近できた幼馴染の恋人との進捗を少々いじりながら聞いていく。そんな話をしているうちに、お互い注文したものがテーブルに並ぶ。
ニールがきちんとバランスをとって食事をとることは常だが、いつもスコーンやら最悪紅茶だけ、なんてこともザラでもないウルムの前にも、今日はサンドイッチが並んでいた。

「あれ? ウルム、珍しくないですか?」

いつも食事をとりたがらない幼馴染が珍しい、ときょとんとしたニールが言う。さては健康診断にでも引っかかったんだろうかなどと思案しているとウルムはレタスと卵を挟んだサンドイッチを手に取りながら自分で頼んだにしては嫌そうな顔をしながらため息をついた。

「うーん、最近ちゃんとご飯食べろって、言われるからネ。」
「へえ、でもウルムがそれを聞くのはなかなかレアですね?」

クスクスと笑いながらニールが言うとうるさいナ、と少し不貞腐れたフリをした。
実際本人はいつも言っている通り食事をとるのは嫌いなのだろう。一口が無駄に小さいし、たまに表情が曇っている。自分で苦手野菜も挟んだサンドイッチなんて頼むから、と心うちにニールは苦笑した。
話しながら食べているのもあり、ニールがクリームパスタとサラダを食べ終わる頃にやっとサンドイッチを一個食べ終わると言う始末だ。そしてもう一つに手が進まないと言うことはおそらく彼は満腹なのだろう。
最近見つかったマクガフィンのこと、よくわからないけどそれが暴発して解析班に獣の耳が生えたこと、一部調査員も巻き込まれたことなど、他愛もない笑い話をして、お互いに紅茶を一口飲んだ時、一度会話が途切れた。また他愛のない話が始まるのかと思いきや、ウルムが「そういえば関係ないんだけど」と前置きを置いて、

「ねえニール、恋ってどう言うものカナ。」

と口にした。ニールは幼馴染からそんなセリフが出てくるとは思わずに、飲み込もうとしていた紅茶を噎せかけた。

「何ですか、唐突に……?」
「うーん、最近の、個人的興味っていうカナ……。ニールは、どう考えル?」

昔から彼の興味に付き合わされたことは数あれど、突飛なことを言い出しますねと呟きつつニールは思考を巡らせずとも自然に恋人の顔が脳内に浮かんだ。

「そう、ですね……。一緒に居たいとか、こっちを向いて欲しいって、おもったりとか……なのに一緒にいると胸が苦しくなったり、とか……。」
「ワオ、思った以上に純情な答えが返ってきてボクちょっと罪悪感。」
「なんですかそれ!? ウルムが聞いたんでしょう!?」
「アハハ、ごめんごめん、アリガト。ココはボクが持つから機嫌を直してヨ。ほら、そろそろ時間だヨ。午後の仕事に戻ろうカ!」

少し顔を赤くして答えたニールがもう!と怒りながら伝票を持ったウルムを追う。テーブルの上に残った皿にはサンドイッチがまだ1組残されていた。

「あれ、ウルム結局食べきらなかったんですか。」
「ウン、お腹いっぱいだし、最近差し入れで作ってもらったのの方が美味しかったからさらに食べる気失せたダケ。」

へえ、と言いつつ2人は財団の建物に急ぐ。午後の始業まであと五分。




2

午後の柔らかい日差しがテラスにさしていた。先ほどまで一騒動に巻き込まれていたウルムは丸テーブルにもたれかかり、自分が淹れた紅茶が冒涜的なものになって行くのを眺めて居た。
黒髪に、ゴーグルのついたキャスケットをかぶる無口な彼女はすでに紅茶に大量の砂糖、ミルク、レモンを投入している。普段の彼女の食事を見ているとまだそれぞれはまともに紅茶に入れるものだけだからマシなのかな、などと思えてくるのだが。
丸テーブルには2人分の紅茶、ティーポットなどお茶用具と、ラジオが一つ。ウルムは紅茶のようなもの(ボクはこれを紅茶とは絶対に認めないからネ)を飲む彼女ではなく、ラジオに向かって声をかける。

「ねえ、レッドフードくん、恋ってどんなものカナ。」

最近幼馴染にも投げた質問と同じものだ。お喋りな精霊はウルムの言葉を聞いて1秒、2秒間を置いてから、

『はぁ?』

と何言い出したんだお前はとでもいいそうな声をあげた。そんな頭おかしいのかみたいな返事しないでヨ〜とダラけたままのウルムは言う。

『いや、だってアンタそんなこと言うやつだったかしら?』
「最近の個人的興味のテーマだヨ。」

やっぱり変なやつねアンタ、と言ってため息をつかれた雰囲気だった。丁度ドロップのカップの紅茶がなくなったことに気づき、注いでやる。今度はどんな冒涜的な紅茶ができるのか見守ろうと思って居たら、ラジオから先ほどより冷たい音声が流れた。

『エラーよ。人の感情なんて不安定でエラーみたいなものだけど、恋なんて一番の一過性の迷いのくせに人間を動かす材料になってしまう、大きなエラー。』

冷たい音声は何か別にぶつけるものがあるように感じられた。フウン、と紅茶を一口含んでうなづいて居たら、蜂蜜と、角砂糖を紅茶にいくつか淹れたドロップが口を開く。

「……ウルムは、どうしてどんなものか知りたいの。」

尋ねられたウルムはカップを置いて腕を組んだ。

「……自分の感情を名付けられなかったから、カナ。」

と言って笑うとラジオから『やっぱりアンタ変なやつよ』と聞こえてきた。
この時期は日が傾くのも早い。テラスに吹く風は少しずつ冷たくなっていた。寒さに肩を震わせたウルムは一つ息をついて、椅子から立ち上がる。

「じゃあ、2人ともアリガト。ボクはお暇するとするヨ。……あ、そうだ。人の紅茶の飲み方にどうこう言う趣味はないケド、その冒涜的な飲み方はどうかと思うヨ。」

丁度ティータイムは終わる時間。



3

パタン。

ウルムは音を立てて分厚い辞書を閉じた。言葉の意味が知りたいわけではない。自分でもわかっている。

「……切ないまでに想いを寄せる、ってなんだヨ……。」

そこに言葉を意味する説明は自分の名付けあぐねている感情とはまた違う気がする。ただはっきりしないのが余計に気持ち悪い性分なのだ。

「一緒にいたい、は……分かる気がスル。胸が苦しい、は何となく違うネ。……エラー、うん、それが一番近い気がするネ。」

ここ最近話を聞いていた意見をぽつりぽつりと呟いて、ウルムはくしゃりと前髪を掻き上げてため息をつく。
名をつけたいと同時に名付けたくないのだ、この感情に。
眺めていた辞書をしまい、ふらりと部屋を出て、気がついたら資料室に足が向かっていた。多分、この時間なら彼はデスクで資料整理でもしているだろう。それがわかってしまう自分に少しだけ苦笑をする。

目的の人物は、やはりデスクにいた。黙々とペンを走らせているあたり、今日の調査の結果でも書いているのかもしれない。足音の出やすいヒールなのを承知で足音を忍ばせて、いつものように後ろからするりと抱きつくように首に腕をまわした。そういえば、ここまで自分が人に懐くのも珍しいと同僚に言われた気がする。
ふわりとチョコレートの甘い匂いと、シャンプーだろうか、品のいい花の匂いがする。

「お疲れ様だネ、ロマンクン。本日の成果はどうカナ?」
「ああ、ウルム。ぼちぼちってところかな。君はちゃんと仕事していたかい?」
「む、ボクだっていつもサボってるわけじゃないヨ。」

もはや慣れているのだろう。ローマンは後ろから唐突に現れたウルムを慣れた様子で撫でる。ウルムも撫でられるのに慣れたものだし、そもそも可愛がられる分には好きな部類だ。
サラサラと滑る髪を撫でながらローマンは資料に目線を戻す。前に「猫みたいだ」と言われたことがあったから、おそらく片手間に甘えたの猫でも構っている感覚なのだろう。
一層の事猫のように、頭を撫でるローマンの手に擦り寄ってみる。片手間じゃなくて構ってくれないかな、なんて思ったのは気付かれなくていいし、気付かれたらそれはそれで恥ずかしい。
そういえば、ローマンには最近の個人的興味に関する質問はしていない。きっと彼も一瞬考えてから、一般のお手本みたいな答えを返してくれるだろう。
しかし、ウルムは彼にその質問を口にはしなかった。口にできないことがこの感情の答えなのだ。
それを認めたくないというエラーが彼の顔を赤くした。急に自覚したのが恥ずかしくなったというか、自分がそこまで夢を見る少女のような思考を抱くとは夢にも思わなかったのだ。ローマンの背中から離れて、彼の座る椅子の後ろにずるずると座り込んだ。伏せた顔はきっと赤いし、耳も赤い。なんだヨ、それと口の中で彼は呟いた。




恋とは、そんなものかしら?




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豆腐屋ふうかさん宅ニール・ハミルトン君
れきみさん宅ドロップ・シャドウさん、レッドフードさん
さらねずみさん宅ローマン・アディントンさん
お借りいたしました。
不都合がございましたらパラレルとしてお取り扱いください。


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針山レゴ🐳(7/12) @rego1108
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