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誰のために命を懸ける?

豆腐屋ふうか
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2017-12-22 21:15:34

「重傷者から急いで治療を!」
 マクガフィンの攻撃を受けて負傷した職員の治療で周囲は騒然としていた。収容は何とか完了したがもうしばらく現場の混乱は続くだろう。
「今回はかなり被害が出たな」
「……そうですね。この様子だと……ああ、やっぱり」
 ニールは辺りを見回す。案の定、『彼』は負傷していた。
「ローマンさんは、どうしてあそこまで人のために傷つくことができるんでしょう」
 怒鳴られながら治療を受けるローマンを見ながら呟くニール。
「お前も似たようなもんじゃないか。エドマンドを庇って怪我したって聞いたぞ」
「ボクは……ローマンさんとは違います。ボクにはあの人のような固い信念なんてない」
「信念ねぇ」
 アンサンセもローマンの方に目を向ける。
「あの人みたいになりたいのか? お前には向いてないと思うけど」
「心配しなくてもボクには無理ですよ。命がいくつあっても足りないし、それに」
 ニールはアンサンセの方を向いて自嘲気味に笑う。
「ボクは他人のために命を懸けようと思える程優しくない」
 たぶん誤解される言い方だろうな、と言ってから気が付く。
「でも誰のためにも命を懸けられないと思うほど非情じゃない」
 そうだろ?と言って相棒は笑った。


『誰のためにも命を懸けられないと思うほど非情じゃない』
 その夜も相棒の言葉が頭に張り付いて離れなかった。
「ボクは、誰に生きていて欲しいんだろう」
 うっすらと腕に残った傷跡を眺める。この傷を作ったときは頭で何か考えるよりも先に体が動いていた。きっと魔法が使えても使えなくても同じことをしただろう。
 誰かのために命を懸けるとはこういうことなのだろうと、そしてその『誰か』はきっと彼なのだろうと。
 そう納得しようとした時だった。

 ふと、幼馴染のことを思い出してしまった。

「ウルムが目の前で危ない目に遭ってたら、ボクはどうするんだろう」
 何度か考えてみる。いろいろなシチュエーションで。
「……いや、考える意味なんてない。助けるに決まってる。だってウルムは――」
 大切な幼馴染なんだから。と言いかけて言葉を飲み込む。大切な幼馴染だから?

「それなら、親友だって、相棒だって」
 大切な人たちの顔が次々と浮かんでくる。誰か一人を選ばなくてはいけなくなったら?そんな考えに至るだけで胸が締め付けられる。
「だめだ、こんなこと考えちゃ」
 ぶんぶんと頭を振って布団に入る。誰か一人を選ばなきゃいけない状況なんて早々来ないんだから、と自分に言い聞かせた。

――――どうか、どうかそんな日が来ませんように――――

 信じてもいない神に祈る。

 まだ、そんな彼らを疑わなくてはいけない日が来るなんて知らなかったから。


――――――――――――――――――

BC財団 研究員 アンサンセ・デービッドさん

名前だけ
BC財団 調査員 ローマン・アディントンさん
BC財団 研究員 ウルム=フォーダムさん
BC財団 調査員 エドマンド・キャンベルさん

お借りいたしました!不都合があればパラレルとして扱ってください。


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豆腐屋ふうか @fuka_tofu
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